海外・外国で商標登録するとは?海外・外国で商標登録するポイントを解説

商標登録は、企業やブランドの保護と国際的な展開のために重要な手続きです。海外市場へ進出する際には、自社の商標を確保することがますます重要になってきます。しかし、海外で商標登録を行うためには、特定の手続きと法的要件を理解する必要があります。この記事では、海外や外国で商標登録をする際に考慮すべきポイントと手順について解説します。

海外・外国で商標登録するとは

国際的なビジネス展開における商標保護の重要性

国際的なビジネス展開において、商標保護は極めて重要です。商標は、企業やブランドのアイデンティティを象徴し、消費者に信頼と品質を伝える役割を果たしています。しかし、異なる国や地域に進出する際には、独自の法的要件や文化的な違いに対応する必要があります。適切な商標保護を行うことで、競合他社からの模倣や不正使用を防ぎ、自社の価値を守ることができます。また、商標保護は知的財産権としての価値を高め、投資家やビジネスパートナーに対しても信頼を醸成します。したがって、国際展開を考える企業は、商標保護を重要な戦略の一部と位置付けるべきです。

盗用出願や模倣品への対策として

盗用出願や模倣品への対策は、商標保護の中でも重要な要素です。現代のグローバル市場では、商標を悪用しようとする不正な出願や模倣品の存在が増えています。これに対処するためには、商標の定期的な監視や迅速な対応が必要です。盗用出願を発見した場合は、即座に異議申し立てや対応策を取ることが重要です。模倣品に対しては、予防策として包括的な知的財産戦略を立て、偽造品の市場侵入を防ぐことが求められます。さらに、消費者教育や対話を通じて正規品の重要性を啓発することも有効です。総じて言えることは、盗用出願や模倣品対策は商標保護の一環として欠かせない重要な取り組みであり、企業の信頼と価値を守るために積極的に行われるべきです。

商標登録の地理的範囲

商標登録の地理的範囲は、保護範囲を明確にする上で重要な要素です。商標登録は国ごとに行われるため、登録の地理的範囲は通常、登録国や地域に限定されます。例えば、日本で商標登録を行った場合、その保護は日本国内に限定されます。

したがって、国際的なビジネス展開を計画する場合には、各国や地域での商標登録を検討する必要があります。特にターゲット市場となる国や地域での商標登録は、ブランドの保護と競合他社からの侵害を防ぐために欠かせません。地理的範囲を考慮した商標登録戦略を立て、自社の商標を適切に保護することで、国際展開において成功を収めることができます

国際機関や特別な法域

海外・外国で商標登録をする際には、国際機関や特別な法域に関する注意が必要です。国際的な商標保護を目指す場合、WIPO(世界知的所有権機関)のマドリッド協定やパリ条約に基づく優先権を活用することが重要です。これらの協定により、一括して複数の国や地域で商標登録を行うことが可能となったり、自国出願のアドバンテージを活かすことができます。

また、特別な法域や経済連携協定によって設立された組織(例:EUの商標制度)もあります。これらの組織や法域に商標登録を行う場合には、独自の手続きや要件に対応する必要があります。したがって、海外・外国で商標登録を検討する際には、国際機関や特別な法域に関する情報を確認し、それに基づいた戦略を立てることが重要です。たとえば、香港、マカオは中国本土とは別の法域となり別途登録手続が必要です。

マドプロ国際商標登録制度とは

マドプロ(Madrid Protocol)は、国際的な商標登録を簡素化し、効率化するための制度です。この制度は、WIPO(世界知的所有権機関)の下で運営されており、複数の国や地域において商標の保護を一括して申請することができます。マドプロ制度を利用することで、単一の出願手続きと費用で複数の国や地域で商標の保護を受けることができます。

また、既存の国内商標登録との関連性を持つ国際登録も可能です。この制度は、国際展開を考える企業やブランドにとって非常に便利で効果的な手段となっています。ただし、マドプロ制度では各国の商標法に準拠する必要があり、一部の国では追加的な手続きが必要となる場合もあります。したがって、マドプロ制度を利用する際には、各国の要件や手続きについて詳細な情報を確認することが重要です。

パリ条約に基づく優先権とは

パリ条約に基づく優先権は、国際的な商標登録において重要な概念です。この制度は、商標を最初に出願した国での優先権を保護するものです。具体的には、商標を出願した国で一定期間内に他の国や地域において同じ商標での出願を行う際、初出国での出願日時が優先されるという仕組みです。

つまり、初めて商標を出願した国での出願日時が参照され、後続の出願に先立つ権利を得ることができます。これにより、初出国での商標出願後に他の国や地域に展開する際、後続の出願者に先んじて商標の保護を受けることができる利点があります。パリ条約に基づく優先権は、国際的な商標展開をする際に戦略的に活用される重要なツールとなっています。

商標登録を管理する各国の組織

日本の特許庁のように各国には商標登録を管理する組織が存在し、国内外の商標保護を担当しています。たとえば、米国の米国特許商標庁(USPTO)、中国の国家知識産権局(CNIPA)、欧州連合の欧州知的財産庁(EUIPO)などがあります。これらの組織は、商標登録の審査や登録証の発行、商標権の管理、異議申し立ての処理などを行っています。

また、WIPO(世界知的所有権機関)も国際的な商標登録の管理や調停を担当しており、マドリッド協定などを通じて複数国への商標登録が可能となっています。各国の組織は商標登録に関する情報や手続きを提供しており、国内外での商標保護を支援しています。企業やブランドが海外展開を考える際には、各国の商標登録組織に対して適切な手続きを行うことが重要です。

現地代理人とは

現地代理人とは、特定の国や地域において商標登録や商標関連の手続きを代行する特許事務所や法律事務所のことを指します。海外で商標登録を行う際には、その国や地域の商標制度や手続きに精通している現地の専門家の支援が不可欠で、多くの国では現地の当局への手続は現地代理人を通じて行わなければならないという法的ルールが存在します。現地代理人は、登録手続きの助言や出願書類の作成、審査の監視、異議申し立ての処理などを行い、企業やブランドの商標保護をサポートします。現地代理人の専門知識と経験は、商標登録の成功や商標権の有効な行使において不可欠です。したがって、海外での商標活動を検討する際には、信頼できる現地代理人との連携を考慮することが重要です。

商標登録までの流れ

商標の決定

海外・外国で商標登録する際、どのような商標を選択すべきかは、以下のような判断基準に基づいて選ぶことが重要です。

①独自性と識別力

商標は他の企業やブランドとの混同を避けるため、独自性が求められます。他と差別化された独自の商標を選ぶことで、商標の識別力を高めることができます。

②法的要件

各国や地域には商標登録に関する法的要件が存在します。商標は特定の国や地域の商標法に準拠している必要があります。商標の選択時には、登録に必要な識別力といった商標法の要件を確認し、適合しているかどうかを判断する必要があります。マドプロ国際登録出願する場合、国内出願・登録と同一の商標を対象とする必要があります。

③文化や言語の考慮

商標は国や地域の文化や言語に対しても適切である必要があります。商標が特定の地域で意味合いやイメージを持つ場合、その地域の文化や言語の理解を考慮しなければなりません。

④国際的な展開の可能性:

商標を選ぶ際には、将来的な国際展開を考慮することも重要です。異なる国や地域で商標の保護を受けるためには、他の商標との混同を避けるための独自性が求められます。

⑤商標の調査

商標の選択前に、既存の商標との競合や類似性を調査することも重要です。商標の調査を通じて、他の商標との重複や侵害のリスクを低減することができます。

これらの判断基準を考慮しながら、独自性のある商標を選ぶことが、海外での商標登録において成功するための重要な要素です。商標の選択には、専門家の助言や商標登録組織のガイドラインにも参考にすることをおすすめします。

指定商品・役務

外国で商標登録する際、指定商品・役務に関しては以下の点に気を付ける必要があります:

①正確な商品・役務の選択

商標登録では、商標が使用される具体的な商品や役務を指定する必要があります。適切な分類と具体的な商品・役務の選択が重要です。商品・役務の範囲を広く設定すると、他の類似商標との競合や異議申し立てのリスクが高まる可能性があります。逆に、過度に限定的な指定は将来的な事業展開の制約になる場合があります。

②地域の文化や法的要件の考慮:

指定商品・役務は、登録を希望する国や地域の文化や法的要件に適合している必要があります。一部の国や地域では、商品・役務の表現や分類に特定の制約がある場合があります。そのため、現地の商標登録組織や専門家のアドバイスを受けることが重要です。

③将来的な事業展開の考慮

商標は将来の事業展開にも影響を与えるため、指定商品・役務の選択は戦略的に行う必要があります。将来的な拡大や新しい商品・役務の追加を見据えて、幅広い範囲の商品・役務を指定することが賢明です。

④競合他社との比較

商標の指定商品・役務は、他の競合他社と比較しても適切である必要があります。類似業界や関連商品・役務の商標も調査し、自社の商標が他と混同されないようにするために適切な指定を行うことが重要です。

以上の要点を考慮しながら、指定商品・役務を適切に選択することが、外国での商標登録の成功につながります。専門家の助言や現地の商標登録組織のガイドラインを活用することもおすすめします。

商標調査

外国で商標登録する際に商標調査を実施する際は、以下の点に気を付ける必要があります:
①地域の商標制度の理解: 商標調査は、各国や地域の商標制度に基づいて行われるため、調査対象の国や地域の商標制度を理解することが重要です。商標の登録手続きや法的要件が異なる場合がありますので、それに合わせて調査方法を選択します。
②商標データベースの活用: 商標データベースは商標調査において重要な情報源です。各国や地域の商標登録データベースを活用し、調査対象となる商標が既存の商標と重複しているか、類似しているかを確認します。商標データベースの検索方法やフィルタリングの使い方を十分に理解し、効果的に調査を行います。
③専門家の協力: 商標調査は専門知識と経験が必要な作業です。調査を専門家に依頼することによって、調査結果の解釈や判断に専門家のアドバイスや支援が役立ちます。商標弁理士や商標代理人に相談し、調査の範囲や方法、調査結果の解釈について専門家の意見を参考にすることが重要です。
④国際的な調査の実施: 商標調査は国際的な視点から行うことも重要です。特に、拡大を考えている市場や競合他社の活動がある国や地域に対しても調査を実施し、商標の重複や侵害のリスクを最小限に抑えることが重要です。
⑤定期的な調査の継続: 商標調査は一度だけでなく、定期的に継続して行うことが推奨されます。市場や競合状況は常に変化するため、定期的な調査によって最新の情報を把握し、商標保護を強化することが重要です。
類似性の判断: 商標調査では、既存の商標との類似性を判断することが重要です。商標の外観、発音、意味などの要素を考慮し、他の商標との混同や誤解を招く可能性があるかを評価します。
⑥活動範囲の考慮: 商標調査では、他の企業や競合他社の商標活動範囲も確認することが重要です。商標登録だけでなく、商標の使用状況や市場での認知度なども評価し、競合関係や商標の強さを判断します。
⑦非登録商標の調査: 商標調査は商標登録だけでなく、非登録の商標(コモンロー商標)も対象に含めるべきです。特にアメリカなど一部の国や地域では、非登録商標も商標権を持つ場合がありますので、それらの商標も調査対象として考慮することが重要です。
⑧ドメイン名やソーシャルメディアの調査: 商標調査は商標登録だけでなく、関連するドメイン名やソーシャルメディアの使用状況も確認することが重要です。他の企業や個人が既に商標に関連するドメイン名やソーシャルメディアアカウントを所有している場合、商標のオンライン上での保護が脅かされる可能性があります。
⑨リスク評価と戦略の策定: 商標調査の結果を基に、商標のリスク評価を行い、適切な戦略を策定します。重複や類似性がある商標に対しては、商標登録を見送るか、商標のデザインや表記を変更するなどの対策を検討する必要があります。
商標調査は商標登録の重要な段階であり、適切な調査の実施によって商標の保護を強化することができます。

各国・各地域個別に商標登録出願する

各国・各地域個別に商標登録出願する際には、以下の点に気を付ける必要があります:
①国や地域の商標制度の理解: 各国や地域には異なる商標制度が存在します。商標登録の手続きや要件、期限などは国ごとに異なる場合があります。それぞれの国や地域の商標制度を理解し、手続きを適切に進める必要があります。
②地域の商標の存続期間と更新手続き: 商標登録の有効期間や更新手続きも国や地域によって異なります。商標の存続期間や更新手続きに関する情報を把握し、期限を守ることが重要です。商標の保護を継続するために、更新手続きを漏らさないように注意しましょう。
③専門家のアドバイスの活用: 各国や地域の商標登録には専門知識が必要です。日本の商標弁理士や現地代理人に相談し、適切な戦略や手続きを確立することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、商標登録に関する手続きを進めましょう。
④費用の予算化: 各国や地域ごとに商標登録の費用が異なるため、予算を立てて事前に計画することが重要です。登録料、手数料、代理人費用などの費用を把握し、事前に見積りをとるなど予算化しておくことで、予期せぬ費用の増加を避けることができます。
⑤優先権の活用: パリ条約に基づく優先権制度を活用することで、最初に出願した商標を基に他の国や地域での出願にアドバンテージが得られます。商標の国際的な展開を検討している場合、優先権の活用についても考慮しましょう。
これらの点に留意することで、各国や地域個別に商標登録を進める際のリスクや問題を最小限に抑え、効果的な商標保護を実現することが可能です。 マドプロ国際商標登録制度を利用して商標登録出願する際には、以下の点に気を付ける必要があります:
①出願国・地域の選択: マドプロ国際商標登録では、出願したい国・地域(指定国)を選択する必要があります。審査は各国・地域で実施されますので各国・地域の商標制度や要件を確認し、商標の保護範囲や出願費用を考慮して出願国・地域を選びましょう。
②指定商品役務: 出願の言語は英語などの外国語になります。指定商品役務は基礎出願・登録の商品役務ですが、国によって認められる表記が異なりますので、各国の審査も考慮し指定商品役務を翻訳、表記しましょう。
③書類の正確性と提出期限: 出願書類の正確性は非常に重要です。必要な情報を漏れなく提出し、パリ優先権に基づく出願を行う場合は出願期限を厳守しましょう。手続きのミスや期限の遅れは商標登録の遅延や無効化の原因となります。
④費用の管理と予算化: マドプロ国際商標登録には費用がかかります。出願料や出願手数料、代理人手数料などを事前に予算化し、費用の管理を適切に行いましょう。予期せぬ追加費用に備えるためにも、予算の設定と運用は重要です。各国の審査で中間対応が必要になる場合もあります。
⑤優先権の活用: マドプロ国際商標登録制度でもパリ条約に基づく優先権制度を活用できます。最初に出願した商標を基に他の国や地域での出願にアドバンテージが得られます。商標の国際的な展開を検討している場合、優先権の活用についても考慮しましょう。
これらの点に留意することで、マドプロ国際商標登録制度を利用して商標登録を進める際のリスクや問題を最小限に抑え、効果的な商標保護を実現することが可能です。

東アジア

東南アジア

南アジア

欧米その他


マドプロ国際商標登録出願

マドプロ国際商標登録制度を利用して商標登録出願する際には、以下の点に気を付ける必要があります:
①出願国・地域の選択: マドプロ国際商標登録では、出願したい国・地域(指定国)を選択する必要があります。審査は各国・地域で実施されますので各国・地域の商標制度や要件を確認し、商標の保護範囲や出願費用を考慮して出願国・地域を選びましょう。
②指定商品役務: 出願の言語は英語などの外国語になります。指定商品役務は基礎出願・登録の商品役務ですが、国によって認められる表記が異なりますので、各国の審査も考慮し指定商品役務を翻訳、表記しましょう。
③書類の正確性と提出期限: 出願書類の正確性は非常に重要です。必要な情報を漏れなく提出し、パリ優先権に基づく出願を行う場合は出願期限を厳守しましょう。手続きのミスや期限の遅れは商標登録の遅延や無効化の原因となります。
④費用の管理と予算化: マドプロ国際商標登録には費用がかかります。出願料や出願手数料、代理人手数料などを事前に予算化し、費用の管理を適切に行いましょう。予期せぬ追加費用に備えるためにも、予算の設定と運用は重要です。各国の審査で中間対応が必要になる場合もあります。
⑤優先権の活用: マドプロ国際商標登録制度でもパリ条約に基づく優先権制度を活用できます。最初に出願した商標を基に他の国や地域での出願にアドバンテージが得られます。商標の国際的な展開を検討している場合、優先権の活用についても考慮しましょう。
これらの点に留意することで、マドプロ国際商標登録制度を利用して商標登録を進める際のリスクや問題を最小限に抑え、効果的な商標保護を実現することが可能です。

審査

外国で商標登録出願する際には、審査で以下の点に気を付ける必要があります。

①類似商標の存在

出願した商標がその国の先行商標と類似している場合、審査で拒絶される可能性があります。事前に商標の類似性を調査し、他の商標との競合リスクを最小限に抑えましょう。

②登録可能性の判断

審査では先行商標との類否だけでなく、識別性の要件、形式的な要件を満たすかの審査が行われます。商標が商品役務の普通名称や品質を表示するに過ぎない言葉である場合など、審査で拒絶される可能性があります。独自性や識別力のある商標を選び、出願書類を正確かつ適切に準備しましょう。

③指定商品・役務の区分・表記の適正な選択

商標登録は商品役務を指定して行われます。商品役務の区分・表記は国際的なリスト(商品・サービス国際分類表(ニース分類))が作成されていますが、各国の審査はその国独自の審査基準で判断されます。その審査基準に合わない商品役務表記は修正を要求される可能性があります。概念範囲の広すぎる表記は不明確とされる場合があります。明確かつ具体的な範囲を選択し修正を求められないように心掛けましょう。

④審査要件の把握

各国や地域によって異なる審査要件が存在します。商標登録制度や規則を理解し、審査基準や手続きに従って出願書類を準備しましょう。専門家のアドバイスを受けることも重要です。

これらのポイントに留意することで、外国での商標登録出願において審査をスムーズに通過し、商標の保護を確保することができます。審査での拒絶を避けるために、事前の準備と正確性の重要性を忘れずにおこないましょう。

拒絶理由通知を受けた場合の対応

審査で拒絶理由が発見された場合、拒絶理由通知を受けます。その場合以下のような対応が必要となります。

①現地代理人

現地代理人がいない場合、その国に住所を有する現地代理人を指定する必要がある場合が多いです。出願を現地代理人を通じて行っている場合は新たな指定は不要です。

②拒絶理由の確認

まずは拒絶理由通知を詳しく確認しましょう。通知には審査官からの指摘や要求が記載されています。拒絶の具体的な理由や対応方法を把握することが重要です。

③対応策の検討

拒絶理由に基づいて、対応策を検討しましょう。商品役務の補正や追加情報の提出、意見書の提出などが考えられます。必要な修正や補足情報を迅速に準備し、審査官に対して適切な回答を行いましょう。

④専門家の助言を求める

拒絶理由に対して適切な対応策を見つけるためには、専門家の助言を求めることが有益です。商標弁護士や代理人に相談し、適切な戦略を立てることで対応がスムーズになるでしょう。

⑤期限の守備

拒絶理由通知には応答期限が設定されています。期間は各国で異なります。必ず期限を守り、応答しましょう。期限を過ぎると出願が却下される可能性がありますので、注意が必要です。

⑥継続的なフォローアップ

応答した後は、審査の進捗を定期的に確認しましょう。現地代理人の報告を確認しましょう。データベースでステータスを確認することも多くの国の場合できます。
拒絶理由通知は商標登録のプロセスにおいて一般的なものです。冷静な判断と適切な対応を行い、商標登録の取得を目指しましょう。

審査期間

外国で商標登録出願する際の各国の審査期間や出願から登録までの期間は、国や地域によって異なります。
例えば、アメリカ合衆国では、商標出願から登録までの一般的な期間は約9〜12ヶ月です。審査期間は通常6〜9ヶ月であり、その後に登録手続きが行われます。
欧州連合(EU)では、商標出願から登録までの期間は通常約7〜9ヶ月です。審査期間は約4〜6ヶ月であり、その後に登録が行われます。
中国では、商標出願から登録までの期間は一般的に約12〜18ヶ月です。審査期間は約9〜12ヶ月であり、その後に登録手続きが行われます。
ただし、これらの期間は一般的な目安であり、実際の期間はケースバイケースで異なることがあります。特に審査において異議や拒絶理由通知への応答の必要性が生じた場合、期間が長くなることがあります。
外国で商標登録を行う際は、各国の審査期間や登録までの期間を事前に把握しておくことが重要です。計画的に手続きを進め、適切なタイミングで商標の保護を確保しましょう。専門家のアドバイスや情報の収集も有用です。

商標権の管理と利用

商標権の効力

外国で商標登録する際、その商標権の効力は重要なポイントです。
商標登録が成立すると、登録国や地域において独占的な使用権を保有することができます。商標権は、他の事業者や競合他社が同じまたは類似した商標を使用することを制限する効力を持ちます。
具体的には、商標登録者は登録された商標を使用し、同じまたは類似した商品や役務を提供する他の事業者からの侵害行為に対して法的な手段を取ることができます。商標権は、商標の強力な保護を提供し、ブランドの価値や信頼性を確立するのに役立ちます。
ただし、商標権の効力は登録された国や地域に限定されます。したがって、外国で商標登録を行った場合でも、他の国や地域では保護されない可能性があります。したがって、国際的なビジネス展開を行う場合は、目的地の国や地域での商標登録も検討する必要があります。
外国で商標登録することは、ブランド保護と競争力の確保に不可欠です。商標権の効力を理解し、適切な登録手続きを行うことで、自社の商標を有効に保護しましょう。専門家のアドバイスや国際的な商標保護のルールを把握することも重要です。

存続期間と更新

外国で商標登録を行う際には、商標の存続期間と更新手続きについても注意が必要です。
商標の存続期間は国や地域によって異なりますが、一般的には10年間が一つの基準となります。商標権は、登録後もしくは出願後10年間有効とする場合が多いです。10年ごとに定期的な更新手続きが必要です。
マドプロ国際商標登録の場合、一括で指定国全てについて更新手続が可能です。
商標の更新手続きは、存続期間の満了が近づいた時に行われます。多くの国や地域では、商標登録の存続期間の満了前に更新手続きを行うことで、商標権を維持することができます。更新手続きには手数料がかかる場合がありますので、時間通りに手続きを行うことが重要です。
商標の更新手続きを怠ると、商標権が失効する可能性があります。その結果、他の事業者が同じまたは類似した商標を登録し、使用することができるようになります。
外国で商標登録を行う際には、存続期間と更新手続きについてのルールを把握し、期限を守ることが重要です。商標の継続的な保護と権利の維持を確保するために、更新手続きを忘れずに行いましょう。専門家の助言や国際的な商標登録制度のガイドラインを参考にすることもおすすめです。

使用主義

外国の商標登録において、使用主義の国では商標の登録・管理に注意が必要です。使用主義の国では、商標を登録するだけでなく、実際に商標を使用することが要件とされます。

たとえば、アメリカは商標登録において使用主義を採用している国の一つです。商標を登録する際には、商標の実際の使用が必要とされます。アメリカでは、商標を使用し、商業活動で実際に商品やサービスと関連付けることで、商標権を確立できます。商標登録を出願する際には、商標の使用宣誓を提出することが求められます。また、商標の使用状況や使用範囲に関する情報として使用証拠を提供する必要があります。フィリピンやカンボジアでも権利の存続のため、使用宣誓書が必要です。

このような国では、商標の使用状況や品質の維持など、商標の実効性が重視されます。商標の登録後も定期的な使用報告や更新手続きが求められる場合もあります。商標使用主義の国で商標登録を管理するためには、商標の実際の使用を計画し、必要な文書や証拠を整理・保存することが重要です。また、商標の使用状況のモニタリングや法的要件の遵守も不可欠です。

商標使用主義の国における商標登録管理は、商標の権利を維持し、有効な商標としての地位を確保するために欠かせません。適切な管理を行い、商標の価値を最大限に活かしましょう。

商標権の移転・譲渡

外国で商標登録を行った場合、商標の権利を他の事業者に移転または譲渡する場合があります。この場合、各国の商標管理官庁、各国際機関に権利の移転・譲渡手続きが必要です。権利の移転・譲渡の効力を第三者に対抗するには、特定の手続きや文書の提出が必要です。一般的には、移転元と移転先の当事者間で契約が結ばれていることを前提に、商標権の譲渡を記録するための手続きが官庁で行われます。
手続きの内容や要件は国や地域によって異なりますので、各国の法的な要件に従って手続きを進める必要があります。移転・譲渡手続きを正確かつ適切に行うことで、商標の権利を新しい所有者に移転することができます。国によっては、書面の認証手続が必要です。
外国で商標登録を行った際には、商標の権利移転や譲渡に関する手続きについても事前に調査し、適切な手続きを行うようにしましょう。専門家のアドバイスや各国の商標登録機関のガイドラインを参考にすることが重要です。
マドプロ国際登録の場合、WIPOに一括で移転・登録手続が可能です。

商標権者の住所・氏名の変更

外国で商標登録を行った後、権利者の住所や名称が変更される場合があります。このような場合、正確な情報の更新と変更手続きが必要です。
権利者の住所や名称の変更手続きは、各国の商標登録機関の規定に従って行われます。一般的には、変更が発生した場合に商標登録機関に対して変更届を提出する必要があります。
変更手続きには、変更内容の証明書や関連する書類の提出が求められることがあります。権利者の住所や名称の変更が正確に反映されるようにするためには、手続きの期限を守り、必要な情報を提供することが重要です。国によっては、書面の認証手続が必要です。
外国で商標登録を行った場合、権利者の住所や名称に変更が生じた場合は、速やかに適切な手続きを行いましょう。正確な情報の更新は商標権の維持に不可欠であり、法的な問題を回避するためにも重要です。商標登録機関の指示に従い、変更手続きを適切に行うようにしましょう。
マドプロ国際登録の場合、WIPOに一括で移転・登録手続が可能です。

商標権侵害

外国で商標登録を行った場合、他の事業者が同じまたは類似した商標を使用することにより商標権が侵害される可能性があります。
商標権侵害は、他の事業者が商標を無断で使用することや、酷似した商標を使用して市場に混乱をもたらすことを指します。商標権侵害が発生した場合、権利者は法的手段を取ることができます。
商標権侵害に対処するためには、まず侵害行為を把握し、証拠を収集することが重要です。その後、弁護士や専門家の助言を得ながら、適切な対応策を検討しましょう。商標権の侵害を証明するためには、登録証明書や商標使用の実績などの証拠が重要となります。
外国で商標登録を行う際には、商標権侵害に対して適切な対応策を持つことが重要です。商標権を守り、他者による商標の不正使用や混乱を防ぐために、早期の対応と専門家の助言を活用しましょう。

税関登録

外国で商標登録を行った場合、税関登録も重要な手続きの一つです。税関登録は、商標を保護し、偽造品や模倣品の輸出入を防ぐために行われます。
税関登録により、商標権を保持する企業は、関税当局に商標を登録し、正規品として認識されることができます。これにより、偽造品や模倣品の輸出入を監視・制限することができます。
税関登録手続きには、関連する文書や情報の提供が必要となる場合があります。また、各国の税関法や規制に従って手続きを進める必要があります。
外国で商標登録を行った場合、税関登録手続きが可能となります。必要に応じて検討しましょう。これにより商標の保護範囲を拡大し、権利侵害からの保護を強化、特に模倣品の拡大の防止を行うことができます。専門家のアドバイスや各国の税関当局のガイドラインに従い、適切な税関登録手続きを行いましょう。

まとめ

外国の商標登録は、グローバルなビジネス展開において重要な要素です。この記事では、外国で商標登録をする際の手続きや注意点について解説しました。商標の選択基準や指定商品・役務への注意点、商標調査や拒絶理由通知への対応方法など、実務に役立つ情報を提供しました。また、マドプロ国際商標登録制度や国際機関、現地代理人の役割についても触れました。さらに、商標権の効力や存続期間、権利の移転や更新手続きに関する情報も提供しました。外国で商標登録を考えている方にとって、本記事は参考になるでしょう。正確な情報の把握と適切な手続きを行い、商標の保護を確実にしましょう。

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この記事を書いた人

木村 純平

木村 純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。