シンガポールで商標登録するとは?シンガポールで商標登録するポイントを解説

シンガポールで商標登録するとは?

シンガポールで商標登録を考えている方に向けて、本記事ではシンガポールの商標登録について詳しく解説します。商標登録の重要性やメリット、登録手続きのポイントなど、具体的な情報をご紹介します。シンガポールはアジア太平洋地域でのビジネス展開において重要な拠点となっており、商標登録はブランド保護のために欠かせません。正確な知識と戦略的なアプローチによって、シンガポールでの商標登録を成功させましょう。記事を通じて必要な情報を獲得し、ビジネスの成果を最大化しましょう。

シンガポールの商標登録制度の概要

シンガポールの商標に関する法規則

シンガポールの商標に関する法規則は、商標法、商標規則、商標国際登録規則の3つが重要です。商標法は商標の登録や保護に関する法律を定めており、商標の権利や侵害について規定しています。商標規則は商標出願や審査の手続きに関する具体的な規定を含んでおり、商標出願者はこれに基づいて手続きを進めます。また、商標国際登録規則はマドプロ国際登録出願であって、シンガポールを本国または指定国とする出願に関する手続きに関する具体的に規定したものです。これらの法規則は商標出願者が法的な要件を遵守し、商標登録を取得するために重要な役割を果たします。正確な法規則の理解と適切な対応は、シンガポールでの商標登録を成功させるために欠かせません。

シンガポールの商標登録の手続の概要

シンガポールでは、主な商標登録出願手続は、出願、方式審査、実体審査、商標登録出願の公告、異議申立、登録証の発行の手順で進められます。商標登録出願の公告後2ヶ月以内に異議申立てをすることができ、異議申立てがない場合または異議申立てが却下された場合に、登録証が発行されます。商標権の存続期間は、出願日から10年であり、更新により10年間延長することが可能です。さらに、シンガポールはマドリッドプロトコルに加盟しており、国際登録出願を利用して商標登録が可能です。これにより、他の加盟国にも商標の保護を拡大することができます。

シンガポールにおける商標登録のメリットと重要性

シンガポールにおける商標登録には多くのメリットと重要性があります。まず、商標登録によって独自のブランドイメージを確立し、商品やサービスの識別力を高めることができます。これにより競争力を強化し、市場での差別化を図ることができます。また、商標登録は商標権の法的な保護を受けるため、他者による商標の不正使用や模倣品の流通を防止することができます。さらに、商標登録は事業拡大や国際展開にも重要です。シンガポールはアジア太平洋地域でのビジネス展開において重要な拠点であり、商標登録を通じて近隣諸国との流通において商標権を保護することができます。総じて、シンガポールにおける商標登録は企業の信頼性や競争力を高め、ビジネスの成功に不可欠な要素となります。

商標先行調査

aseanTMview

商標先行調査はシンガポールで商標登録を考える際に重要なステップです。aseanTMviewを利用することで簡単に先行商標を調査することができます。aseanTMViewはシンガポールを含むASEAN諸国の商標データベースであり、無料でアクセスできます。このデータベースを利用して類似商標や競合他者の商標権を調査し、自身の商標登録の可能性やリスクを把握することが重要です。先行調査を行うことで、重複や衝突を避け、商標登録の成功率を高めることができます。商標先行調査は商標登録を検討する際の基本的な手続きであり、信頼性と確実性を追求するために欠かせないものです。

商標検索データベースIPOS Digital Hub

商標先行調査はシンガポール知的財産庁(IPOS)ウェブサイトでも可能です。シンガポール国内の商標登録・出願のデータベースであり、無料でアクセスできます(特許・意匠の調査も可能です)。

シンガポールの商標登録手続きの詳細

シンガポールで商標登録するには、シンガポール知的財産庁に出願手続を行う方法(個別出願)と国際登録出願を行う方法があります。

個別出願とは

シンガポールの現地代理人(特許事務所、法律事務所)を通じて、出願を行います。直接、現地代理人に依頼することもできますが、通常は日本の特許事務所などに依頼すれば、提携する現地代理人を通じて行うことができます。

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

英語の表記が必要です。

商標

ブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。英語(ローマ字)だけでなく日本語の登録も可能です。

連続商標制度があります。連続商標とは、商標登録の際に複数の商標を一つの出願でまとめることができる制度です。連続商標は、重要な細目は似ているものの、商標の同一性には実質的な影響を与えない非識別的な特徴のみが異なる商標のことを指します。この制度を利用することで、一度の出願で複数の商標を効率的に登録することが可能となります。連続商標の活用によって、商標の多様なバリエーションを保護しながら、費用や手続きの効率化を図ることができます。

シンガポールでは、ローマ字以外の文字や英語以外の言語で構成される商標の出願をする際には、願書に当該文字や言語の英語翻訳などを記載する必要があります。具体的には、日本語で使われるひらがな、カタカナ、漢字などの文字やそれらを含む商標の場合、英語による翻訳が必要とされます。これはシンガポールの商標登録制度において重要な要件となっています。英語以外の言語や文字で商標を出願する場合には、適切な翻訳を行い、出願書類に正確に記載することが求められます。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。1出願で多区分にわたる商品・役務を指定することができる1出願多区分制を採用しています。

所定の商品・役務の表記で無い場合、補正を求められる場合があります。aseanTMclassで所定の商品・役務の表記を検索できます。

また、シンガポール知的財産庁(IPOS)ウェブサイトでも調査可能です。

国際登録出願(マドプロ出願)とは

国際登録出願(マドプロ出願)とは、1つの手続で複数の国に商標登録出願を可能とする国際的な枠組み(マドリッドプロトコル)を通じた、商標登録出願のことです。日本で手続を行う場合、特許庁に出願書類を提出するか、オンラインで出願することができます。日本の特許事務所に依頼すれば、手続を行ってくれます。シンガポールを指定国の1つとすることで、シンガポールへの出願手続となります。

【解説】マドプロとは?海外で商標登録する効果と費用

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

英語の表記が必須です。

商標

日本のブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。英語(ローマ字)だけでなく日本語の登録も可能です。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。

所定の商品・役務の表記で無い場合、補正を求められる場合があります。国際登録出願で認められる商品・役務表記はMadrid Goods & Services Managerで調べられます。シンガポールの審査で認められる商品・役務表記はaseanTMclassまたはIPOS Digital Hubで検索できます。

登録までの審査:審査の内容及び期間

マドプロ出願

マドプロ出願をした場合、出願書類を日本の特許庁に提出してから約6ヶ月程度で国際登録され(形式審査で補正などを指摘された場合、さらに2~3ヶ月要します。)、その後、シンガポール知的財産庁で、シンガポールでの商標権の効力を認めるべきかどうかの審査が行われます。この審査結果は、遅くとも国際登録の出願から1年6ヶ月までに通知されます。

直接出願

現地の代理人を通じ、各国の特許庁に出願した場合、そのまま形式審査、実体審査が行われます。

絶対的拒絶理由:識別性が無いとの拒絶

シンガポールの審査では、絶対的拒絶理由、つまり、商標に識別力があるか(普通名称や記述的な表示にあたらないか)、ということが審査されます。商標に識別力があるか否かは、その表示が不特定多数に使用されているかなどの、その国での状況から判断されますので、日本では登録になっても、シンガポールでは識別力が無いと判断される可能性があります。

相対的拒絶理由:他人の商標と抵触するとの拒絶

シンガポールの審査では、相対的拒絶理由、つまり、類似する他人の登録商標が存在しないか、ということが審査されます

拒絶理由通知への対応

拒絶理由通知を受けた場合、4ヶ月以内に意見書・補正書の提出が可能です。

出願公告と異議申立

審査を無事通過すると、出願公告(審査された出願内容の公示)されます。出願公告後2ヶ月の間に第三者からその商標登録に対して異議申立が提起される場合があります。

出願から登録までの期間

出願から登録までの期間は出願日もしくは国際登録日から6ヶ月程度です。

シンガポール審査フロー

商標侵害対策と権利の保護

商標登録を行った後も、商標侵害には注意が必要です。シンガポールでは商標侵害に対して法的な保護措置があります。侵害が発生した場合は、民事訴訟や刑事訴訟を通じて権利を主張することができます。差止命令や損害賠償の請求などの対策を取ることで、商標権の保護が可能です。また、商標監視や定期的な商標調査を行うことも重要です。適切な対策を講じることで、商標の権利を確実に守ることができます。

まとめ

シンガポールで商標登録を行うことは、企業や個人にとって重要なステップです。商標登録によって独占的な権利を確立し、ブランド価値の向上と消費者の信頼を獲得することができます。しかし、シンガポールでは模倣品や横取り商標の問題も存在し、これらに対処するために商標登録のメリットと重要性を理解する必要があります。商標登録手続きの詳細や出願資格、必要な書類や情報、商標先行調査の重要性など、正確な知識と適切な戦略が成功につながります。シンガポール市場でのビジネス展開やブランド保護を考えるなら、シンガポールでの商標登録について詳しく理解し、専門家の助言を受けることが重要です。

費用は?

直接出願の場合、現地費用(現地の特許事務所・法律事務所、特許庁に支払う費用)と日本の特許事務所の費用で25万円~、マドプロ出願の場合、トータルで25万円~の費用が発生します。
※上記費用はあくまで弊所を通じて行う場合の参考費用で、区分数、商標の種類、為替レートなどで変動します。是非お見積もりのお問い合わせをください。マドプロ出願の場合、同時に出願する国が多いほど割安になります。

詳細な費用は以下の海外商標お見積もりフォームから弊所にお問い合わせください。

お問い合わせ・ご相談はこちら

商標・意匠のことならどんなことでも、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

木村 純平

木村 純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。