マレーシアで商標登録するとは?マレーシアで商標登録するポイントを解説

マレーシアで商標登録するとは?

マレーシアは東南アジアで急速に発展している経済大国であり、商標登録は企業やブランドの保護に欠かせません。本記事では、「マレーシアで商標登録するとは?」と題し、商標登録に関する重要な情報を提供します。マレーシアの商標登録手続きやポイント、注意事項を解説すると共に、審査プロセスや権利の保護方法についても詳しく説明します。さらに、マレーシアのビジネス環境や東南アジア市場への展開における商標登録の重要性にも触れます。マレーシアで成功するためには、適切な商標登録戦略を構築し、法的な保護を確保することが不可欠です。

マレーシアの商標登録制度の概要

マレーシアの商標に関する法規則

マレーシアの商標に関する法規則は、商標法、商標規則、商標審査基準の3つが重要です。商標法は商標の登録や保護に関する法律を定めており、商標の権利や侵害について規定しています。商標規則は商標出願や審査の手続きに関する具体的な規定を含んでおり、商標出願者はこれに基づいて手続きを進めます。また、商標審査基準は商標の審査基準や要件について定めており、商標出願が審査される際の基準となります。これらの法規則は商標出願者が法的な要件を遵守し、商標登録を取得するために重要な役割を果たします。正確な法規則の理解と適切な対応は、マレーシアでの商標登録を成功させるために欠かせません。

マレーシアの商標登録の手続の概要

マレーシアの商標登録制度は、出願から登録までの手続きが進められます。まず、出願手続き、方式審査、実体審査(調査および審査)、公告、登録という順序で進みます。商標権の存続期間は登録日(出願日が登録日とみなされる)から10年間であり、10年ごとに更新が可能です。さらに、マレーシアはマドリッドプロトコルに加盟しており、国際登録出願を利用して商標登録が可能です。これにより、他の加盟国にも商標の保護を拡大することができます。

マレーシアにおける商標登録のメリットと重要性

マレーシアにおける商標登録には多くのメリットと重要性があります。まず、商標登録によって独自のブランドイメージを確立し、商品やサービスの識別力を高めることができます。これにより競争力を強化し、市場での差別化を図ることができます。また、商標登録は商標権の法的な保護を受けるため、他者による商標の不正使用や模倣品の流通を防止することができます。さらに、商標登録は事業拡大や国際展開にも重要です。マレーシアは東南アジアでのビジネス拡大の拠点として注目されており、商標登録を通じて近隣諸国にも商標権を保護することができます。総じて、マレーシアにおける商標登録は企業の信頼性や競争力を高め、ビジネスの成功に不可欠な要素となります。

商標先行調査

商標先行調査はマレーシアで商標登録を考える際に重要なステップです。aseanTMviewを利用することで簡単に先行商標を調査することができます。aseanTMViewはマレーシアを含むASEAN諸国の商標データベースであり、無料でアクセスできます。このデータベースを利用して類似商標や競合他者の商標権を調査し、自身の商標登録の可能性やリスクを把握することが重要です。先行調査を行うことで、重複や衝突を避け、商標登録の成功率を高めることができます。商標先行調査は商標登録を検討する際の基本的な手続きであり、信頼性と確実性を追求するために欠かせないものです。

マレーシアの商標登録手続きの詳細

マレーシアで商標登録するには、マレーシア知的財産公社(Perbadanan Harta Intelek Malaysia、英語名はMyIPO)に出願手続を行う方法(個別出願)と国際登録出願を行う方法があります。

個別出願とは

マレーシアの現地代理人(特許事務所、法律事務所)を通じて、出願を行います。直接、現地代理人に依頼することもできますが、通常は日本の特許事務所などに依頼すれば、提携する現地代理人を通じて行うことができます。

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

英語の表記が必要です。

商標

ブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。漢字や英語(ローマ字)だけでなく日本語の登録も可能です。

色彩が異なるだけの複数の商標は、連続商標(シリーズ商標)として1出願でまとめて出願が可能です。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。1出願で多区分にわたる商品・役務を指定することができる1出願多区分制を採用しています。

所定の商品・役務の表記で無い場合、補正を求められる場合があります。aseanTMclassで所定の商品・役務の表記を検索できます。

宣誓書

出願ごとに宣誓書の提出が求められます。宣誓書は公証役場などで認証手続をとる必要があります。

国際登録出願(マドプロ出願)とは

国際登録出願(マドプロ出願)とは、1つの手続で複数の国に商標登録出願を可能とする国際的な枠組み(マドリッドプロトコル)を通じた、商標登録出願のことです。日本で手続を行う場合、特許庁に出願書類を提出するか、オンラインで出願することができます。日本の特許事務所に依頼すれば、手続を行ってくれます。マレーシアを指定国の1つとすることで、マレーシアへの出願手続となります。

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

英語の表記が必須です。

商標

日本のブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。漢字や英語(ローマ字)だけでなく日本語の登録も可能です。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。

所定の商品・役務の表記で無い場合、補正を求められる場合があります。国際登録出願で認められる商品・役務表記はMadrid Goods & Services Managerで調べられます。マレーシアの審査で認められる商品・役務表記はaseanTMclassで検索できます。

審査

商標出願の流れ:以下のようなフローで審査が行われます。

審査フロー図


※国際登録出願(マドプロ出願)の場合、国際登録(要6ヶ月程度)の後、審査が行われます。

拒絶理由通知

商標登録を申請する際には、拒絶査定のリスクも考慮する必要があります。マレーシアでの商標登録において、拒絶される理由の多くは、①識別力がない、②他人の商標との類似、などです。日本の商標制度にも類似の拒絶理由が存在し、捉え方はほぼ同じと考えてよいでしょう。商標の一部に識別力がない語が含まれる場合、その語の権利不要求(その語については権利が発生しない旨の宣誓)が求められる場合があります。商標の独自性や識別力の強化、他の商標との差異化など、拒絶査定を回避するための適切な戦略が求められます。そのためには、出願前に商標先行調査を行うことが重要となります。

マレーシア商標法では、コンセント制度が規定されています。同意書は、先行登録商標と同じまたは類似する商標の拒絶を回避するための解決策の一つとして活用されます。ただし、同意書は審査官に拘束力を持ちません。審査官が同意書に関わらず混同の可能性を認めた場合、商標の登録は拒絶されます。コンセントに基づく登録である旨の情報は、公告や登録簿に記載されます。

マレーシアの商標登録手続きでは、日本の商標制度と同じく、拒絶理由通知を受けて反論する機会が与えられます。出願人は拒絶理由通知書の日付から2ヶ月以内で、商品・役務の補正や反論を述べる回答書を提出する機会を与えられます。

聴聞

審査官は、拒絶理由が解消されていないと決定する場合、出願人に対し拒絶査定書を送達し、出願人は当該拒絶査定の通知の日付から2ヶ月以内に所定の料金を添えて聴聞を申請することができます。聴聞の申請を行わない場合、出願人は出願を放棄したものとみなされます。出願人は聴聞において、回答書に記載したものと同様の主張または追加の主張、提案または証拠の提出を行うことができます。

不服審判

審査官の決定に不服がある場合には、マレーシア高等裁判所に不服申立を提起することができます。裁判所は、必要な場合は出願人と審査官の審理を行い、出願の登録を認めるか否か、さらに場合に応じてどのような条件、補正または限定を付して認可するかを決定します。

異議申立

登録公告後2ヶ月間、登録に不服があれば、一定の利害関係を有するものは異議申立を行うことができます。勝手に自分の商標を登録された場合の主な対応手段の一つです。

商標権の管理

商標権の登録と更新

商標登録出願が承認され、異議が申し立てられずに公告期間が経過するか、または異議が申し立てられても出願人に有利な決定が下された場合、所定の手数料を納付することで商標は登録簿に登録され、商標登録証が発行されます。 商標権の有効期間は登録日(登録出願日が登録日とされます)から10年であり、10年ごとに更新が可能です。商標登録の更新は、商標権の有効期間満了日の3か月前から行うことができます。また、商標権の有効期間満了後1か月以内にも更新登録が可能です。

不使用取消

マレーシアでは、「先使用主義」の原則が採用されています。つまり、ある商標を最初に使用することで所有権が得られるのです。登録商標が3年以上使用されていない場合、他者はその商標の不使用取消請求を高等裁判所に提訴することができます。不使用取消訴訟では、商標の取消を求める側が不使用の証拠を提出する責任があります。

商標侵害対策と権利の保護

マレーシアでは、商標権侵害に対して民事訴訟や刑事訴訟による権利行使が可能です。さらに、行政手続も支援しています。民事訴訟では侵害品の差止めや引き渡し、廃棄、損害賠償が請求できます。刑事訴訟では侵害者に罰金や禁固刑が課せられます。行政手続では税関が関与し、商標権侵害品の押収や留置、輸入に対する異議申請が可能です。これらの手段を適切に活用することで商標権の保護を行います。

まとめ

マレーシアで商標登録を行うことは、企業や個人にとって重要なステップです。商標登録によって独占的な権利を確立し、ブランド価値の向上と消費者の信頼を獲得することができます。しかし、マレーシアでは模倣品や横取り商標の問題も存在し、これらに対処するために商標登録のメリットと重要性を理解する必要があります。商標登録手続きの詳細や出願資格、必要な書類や情報、商標先行調査の重要性など、正確な知識と適切な戦略が成功につながります。マレーシア市場でのビジネス展開やブランド保護を考えるなら、マレーシアでの商標登録について詳しく理解し、専門家の助言を受けることが重要です。

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    プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

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    この記事を書いた人

    木村 純平

    木村 純平

    2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。