【解説】インドで商標登録する~出願は?費用は?

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インドでビジネスを展開するのであれば、インドで商標登録を行うことはビジネスの上で必須事項です。しかし、日本では商標登録の経験があるけれどもインドで商標登録の経験が無い、特許事務所に手続を依頼しようと思うが基本的な知識は知っておきたいといった方に、インドでの商標登録の基本的な知識、知っておくと役に立つ情報などを紹介します。

出願の方法

商標登録の出願は、マドリッドプロトコルによる国際登録出願(マドプロ出願)か、現地国の弁理士や弁護士などの代理人を通じてインド特許庁に出願する方法があります。商品・役務(サービス)が幅広く、区分数が多い場合やインドだけでなく他のマドプロ加盟国でも商標登録したいような場合は、マドプロ出願にコスト的メリットがあるでしょう。区分数、国数によって費用は変わってきますので、インドでの商標登録手続を手配してくれる特許事務所などから事前に見積をとってみましょう。

【出願に必要な情報・書類】

① 出願人の名称・住所 英語の表記が必要です。
② 商標 文字、図形、文字と図形の組み合わせなど。音声、匂い、ホログラム、外国語文字、ドメイン名、味などの従来型ではない非伝統的商標の登録も認められています。
③ 指定商品・役務 指定商品・役務の区分は国際的な取り決めがあるので、ほぼ日本と同じです
④ 委任状 現地代理人(インドの弁理士、弁護士)によって書式が異なります。
⑤ インド国内における
商標使用の有無
インド国内ですでに使用しているか否かの情報が必要です。

登録までの審査:審査の内容及び期間

マドプロ出願

マドプロ出願をした場合、出願書類を日本の特許庁に提出してから約6ヶ月程度で国際登録され(形式審査で補正などを指摘された場合、さらに2~3ヶ月要します。)、その後、インド特許庁で、インドでの商標権の効力を認めるべきかどうかの審査が行われます。この審査結果は、遅くとも国際登録の出願から1年6ヶ月までに通知されます。

直接出願

現地の代理人を通じ、各国の特許庁に出願した場合、そのまま形式審査、実体審査が行われます。

指定商品・指定役務に関わる留意事項

国際分類を採用しており、日本と同様の商品・役務区分となります。

絶対的拒絶理由:識別性が無いとの拒絶

インドの審査では、絶対的拒絶理由、つまり、商標に識別力があるか(普通名称や記述的な表示にあたらないか)、ということが審査されます。商標に識別力があるか否かは、その表示が不特定多数に使用されているかなどの、その国での状況から判断されますので、日本では登録になっても、インドでは識別力が無いと判断される可能性があります。

相対的拒絶理由:他人の商標と抵触するとの拒絶

インドの審査では、相対的拒絶理由、つまり、類似する他人の登録商標が存在しないか、ということが審査されます。拒絶された場合、聴聞(ヒアリング)が開かれ、口頭で審査官に反論を述べることができます。聴聞(ヒアリング)で主張が通る可能性は比較的高いため、拒絶されても諦めないようにしましょう。

拒絶理由通知への対応

拒絶理由通知を受けた場合、1ヶ月以内に意見書・補正書の提出が可能で、さらに聴聞(ヒアリング)が開催される場合も多くあります。

審査期間

数年前まで審査期間は2~3年を要していましたが、現在では約1ヶ月程度(マドプロ出願は国際登録がインド特許庁に受領されてから約1ヶ月程度)で審査が終了します。

異議申立

出願公告後、4ヶ月の間に異議申立が提起される場合があり、異議申立がなければそのまま登録となりますが、異議申立を提起された場合、最終的な登録まで4~5年かかります。

審査フロー

費用は?

直接出願の場合、現地費用(現地の特許事務所・法律事務所、特許庁に支払う費用)と日本の特許事務所の費用で20万円~、マドプロ出願の場合、トータルで27万円~の費用が発生します。
※上記費用はあくまで弊所を通じて行う場合の参考費用で、区分数、商標の種類、為替レートなどで変動します。是非お見積もりのお問い合わせをください。マドプロ出願の場合、同時に出願する国が多いほど割安になります。

お問い合わせ・ご相談はこちら

商標・意匠のことならどんなことでも、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

木村 純平

木村 純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。