ベトナムで商標登録するとは?ベトナムで商標登録するポイントを解説

ベトナムで商標等臆するとは?

ベトナムで商標登録を行うことは、ビジネス展開やブランド保護において重要なステップです。本記事では、ベトナムの商標登録制度の概要や手続のポイントを解説します。商標先行調査や出願の方法、審査の流れ、登録までの期間などについて詳しく紹介します。さらに、ベトナムにおける商標登録のメリットと重要性を明確にし、商標侵害対策や権利の保護についても触れます。ベトナムは東南アジアでのビジネス拡大において注目の市場ですので、ベトナムでの商標登録について正確な知識を身につけましょう。

ベトナムの商標登録制度の概要

ベトナムの商標に関する法規則

ベトナムの商標に関する法規則は、知的財産法が重要です。知的財産法は商標をはじめとして特許、意匠、著作権の登録や保護に関する法律を定めており、商標の権利や侵害について規定しています。知的財産法は2022年に改正されました。この改正の目的は、現行法の明確化と国際的な条約への適合です。具体的には、環太平洋パートナーシップに関する包括的な協定(CPTPP)、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)の規定を法律に盛り込むことです。これにより、ベトナムの知的財産法をより明確で国際的な基準に適合させることが目指されています。正確な法規則の理解と適切な対応は、ベトナムでの商標登録を成功させるために欠かせません。

ベトナムの商標登録の手続の概要

ベトナムの商標登録制度は、出願から登録までの手続きが進められます。まず、出願手続き、方式審査、実体審査(調査および審査)、公告、登録という順序で進みます。商標権の存続期間は登録日(出願日が登録日とみなされる)から10年間であり、10年ごとに更新が可能です。さらに、マレーシアはマドリッドプロトコルに加盟しており、国際登録出願を利用して商標登録が可能です。これにより、他の加盟国にも商標の保護を拡大することができます。

ベトナムにおける商標登録のメリットと重要性

ベトナムにおける商標登録には多くのメリットと重要性があります。まず、商標登録によって独自のブランドイメージを確立し、商品やサービスの識別力を高めることができます。これにより競争力を強化し、市場での差別化を図ることができます。また、商標登録は商標権の法的な保護を受けるため、他者による商標の不正使用や模倣品の流通を防止することができます。さらに、商標登録は事業拡大や国際展開にも重要です。ベトナムは東南アジアでのビジネス拡大の拠点として注目されており、商標登録を通じて近隣諸国にも商標権を保護することができます。総じて、ベトナムにおける商標登録は企業の信頼性や競争力を高め、ビジネスの成功に不可欠な要素となります。

商標先行調査

商標先行調査はベトナムで商標登録を考える際に重要なステップです。aseanTMviewを利用することで簡単に先行商標を調査することができます。aseanTMViewはベトナムを含むASEAN諸国の商標データベースであり、無料でアクセスできます。このデータベースを利用して類似商標や競合他者の商標権を調査し、自身の商標登録の可能性やリスクを把握することが重要です。先行調査を行うことで、重複や衝突を避け、商標登録の成功率を高めることができます。商標先行調査は商標登録を検討する際の基本的な手続きであり、信頼性と確実性を追求するために欠かせないものです。

ベトナムの商標登録手続きの詳細

ベトナムで商標登録するには、ベトナム国家知的財産庁(National Office of Intellectual Property of Vietnam:NOIP)に出願手続を行う方法(個別出願)と国際登録出願を行う方法があります。

個別出願とは

ベトナムの現地代理人(特許事務所、法律事務所)を通じて、出願を行います。直接、現地代理人に依頼することもできますが、通常は日本の特許事務所などに依頼すれば、提携する現地代理人を通じて行うことができます。

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

現地代理人(現地の弁護士、弁理士など)に英語の表記を伝えます。

商標

ブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。漢字、カタカナ、ひらがなのみから構成される商標は、ベトナム国内で使用による識別力を持つことが認められない限り、登録されません。商標登録の対象は、1色または複数の色で表される文字、単語、図形、画像、立体形状、またはこれらの組み合わせであり、視覚的に認識できるものとされています。また、改正法により音商標も追加されました。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。1出願で多区分にわたる商品・役務を指定することができる1出願多区分制を採用しています。

委任状

出願人が署名した委任状の提出が必要となります。

国際登録出願(マドプロ出願)とは

国際登録出願(マドプロ出願)とは、1つの手続で複数の国に商標登録出願を可能とする国際的な枠組み(マドリッドプロトコル)を通じた、商標登録出願のことです。日本で手続を行う場合、特許庁に出願書類を提出するか、オンラインで出願することができます。日本の特許事務所に依頼すれば、手続を行ってくれます。ベトナムを指定国の1つとすることで、ベトナムへの出願手続となります。

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

英語の表記が必須です。

商標

日本のブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。上述のとおり、日本語のみからなる商標はベトナム国内で使用による識別力を持つことが認められない限り、登録されないので注意して下さい。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。

所定の商品・役務の表記で無い場合、補正を求められる場合があります。国際登録出願で認められる商品・役務表記はMadrid Goods & Services Managerで調べられます。

登録までの審査:審査の内容及び期間

マドプロ出願

マドプロ出願をした場合、出願書類を日本の特許庁に提出してから約6ヶ月程度で国際登録され(形式審査で補正などを指摘された場合、さらに2~3ヶ月要します。)、その後、ベトナム国家知的財産庁で、ベトナムでの商標権の効力を認めるべきかどうかの審査が行われます。この審査結果は、遅くとも国際登録の出願から1年6ヶ月までに通知されます。

直接出願

現地の代理人を通じ、各国の特許庁に出願した場合、そのまま形式審査、実体審査が行われます。

指定商品・指定役務に関わる留意事項

国際分類を採用しており、日本と同様の商品・役務区分となります。

異議申立

出願が公表されてから登録証の発行に関する決定が下されるまでの間、第三者はベトナム国家知的財産庁に対して登録の許可または拒絶に関する意見を提出する権利を持つことができます。

絶対的拒絶理由:識別性が無いとの拒絶

ベトナムの審査では、絶対的拒絶理由、つまり、商標に識別力があるか(普通名称や記述的な表示にあたらないか)、ということが審査されます。商標に識別力があるか否かは、その表示が不特定多数に使用されているかなどの、その国での状況から判断されますので、日本では登録になっても、ベトナムでは識別力が無いと判断される可能性があります。

上述のとおり、日本語のみからなる商標は識別性がないと判断され、ベトナム国内での使用による識別性の確保が未お目られない限り登録できません。

また、商標に識別性がない要素が含まれる場合、権利不要求が求められます。

相対的拒絶理由:他人の商標と抵触するとの拒絶

ベトナムの審査では、相対的拒絶理由、つまり、類似する他人の登録商標が存在しないか、ということが審査されます

拒絶理由通知への対応

拒絶理由通知を受けた場合、3ヶ月以内に意見書などの提出による応答が可能です。

審査期間

審査期間は出願日もしくは国際登録日から18ヶ月程度です。

拒絶査定に対する不服申立

出願者は知的財産庁に対する不服申立(第1回目の不服申立)を、査定結果受領後90日以内に行います。その後、知的財産庁長官が不服申立に対する決定を下します。もし長官の決定に不満がある場合は、長官決定受領後30日以内に科学技術省に対して不服申立(第2回目の不服申立)を行います。この際、科学技術大臣が不服申立に対する決定を行います。


※国際登録出願(マドプロ出願)の場合、国際登録(要6ヶ月程度)の後、審査が行われます。

商標権の管理

商標権の登録と更新

商標登録出願が承認され、異議が申し立てられないか、または異議が申し立てられても出願人に有利な決定が下された場合、所定の手数料を納付することで商標は登録簿に登録され、商標登録証が発行されます。 商標権の有効期間は出願日から10年であり、10年ごとに更新が可能です。商標登録の更新は、商標権の有効期間満了日の3か月前から行うことができます。

不使用取消

登録商標が正当な理由なく継続して5年間使用されていなかったときは、いかなる法人または個人も、商標局に当該登録商標の取消を請求することができます。

商標侵害対策と権利の保護

ベトナムでは、知的財産権の侵害に対して行政措置、民事措置、および刑事措置で救済を求めることができます。また、国家所管当局は適切な場合に知的財産権関連の輸入および輸出の管理措置を行う権限を持ち、行政罰が科されることもあります。

これらの機関は、知的財産権の権利者の要求に基づき、偽造品や知的財産権の侵害品に対して立入検査を行い、一時押収や没収、違反者への処罰を行います。また、偽造品や知的財産権の侵害品を廃棄処分したり、侵害部分を排除することもできます。

まとめ

ベトナムで商標登録を行うことは、企業や個人にとって重要なステップです。商標登録によって独占的な権利を確立し、ブランド価値の向上と消費者の信頼を獲得することができます。しかし、ベトナムでは模倣品や横取り商標の問題も存在し、これらに対処するために商標登録のメリットと重要性を理解する必要があります。商標登録手続きの詳細や出願資格、必要な書類や情報、商標先行調査の重要性など、正確な知識と適切な戦略が成功につながります。ベトナム市場でのビジネス展開やブランド保護を考えるなら、ベトナムでの商標登録について詳しく理解し、専門家の助言を受けることが重要です。

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この記事を書いた人

木村 純平

木村 純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。