決定的な証拠が必要??

平成12年(ネ)第5926号 損害賠償、営業行為差止等請求控訴事件 平成13年06月20日 東京高等裁判所(原審:平成10年(ワ)第4447号・同年(ワ)第13585号 平成12年7月17日 東京地方裁判所)

[カンケツハンケツ®]
本件顧客情報に依拠したことを推認させる間接事実からも不正競争行為が推認できる。
※「カンケツハンケツ®」は、判決の重要ポイントに一言でインデックスをつけるために、プライムワークス国際特許事務所が独自に作成して提供しているものです。

[判旨]
(原判決より引用)
 被告枝川の個人所有のパソコンのハードディスクには本件顧客情報が入力されていたこと、被告会社のダイレクトメールの送付先には原告会社の顧客が多く含まれているのみならず、他社にとって有利な条件で契約を締結できる可能性のある顧客の占める割合の高いこと、その他本件顧客情報に依拠したことを強く推認させるデータの共通性が存在することからすれば、被告枝川が本件顧客情報を不正に取得し、同被告、被告松谷、被告会社がこれを利用してダイレクトメールの送付先を選定し、前記の通り約二六〇〇か所の事業所に送付したものと推認することができる。
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前置審尋が原則全件対象になります

平成20年7月10日付の特許庁HPの発表によると、平成20年10月以降に審理着手時期に至る事件については、原則全件に対して前置審尋が行われることになりました。

[対象]
原則として前置報告書が作成された事件の全件を対象に前置審尋が送付されます。ただし、早期審理事件は除かれます。早期審理事件については閲覧請求をして前置報告の内容を知り、上申書によって意見を提出するしかありませんので、ご注意ください。

[回答期限]
審判請求人は前置審尋に対して回答書を提出できますが、その提出期限(指定期間)は、60日(在外者については3箇月)です。

[回答内容]
回答書では、前置審査の報告書に示された理由に対する反論を争点として整理した形で示し、審判請求人の主張を明確化します。前置審尋は拒絶理由通知ではないため、補正の機会は与えられません。(補正ができるのは原査定が維持できず、新たに拒絶理由が通知された場合に限られます。)

ただし、この段階で補正案を提示しておくことはできます。「補正案が一見して特許可能であることが明白である場合には、迅速な審理に資するため、審判合議体の裁量により、補正案を考慮した審理を進めることもあります。」とのことです。

[回答後の審判合議体による審理]
前置審尋に対する回答書提出の指定期間経過後、前置審査での審査官の見解とともに、審査官の見解に対する審判請求人の反論を参酌して審判合議体による審理・審決が行われます。
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First Action Interview Pilot Program

米国特許庁が最初の拒絶理由通知前に審査官にインタビュー(面談)する機会を与えるファーストアクションインタビュー試験プログラム(First Action Interview Pilot Program)を2008年11月1日まで実施しています。

審査官によるサーチ結果をもとに出願人と審査官が審査の初期段階で対話し、潜在する拒絶の理由を解消する機会を設けることで、審査を促進し、可能ならば早期に特許査定を出すことをねらいとしています。

[推奨]
 早期権利化を求めており、かつ、審査官とのインタビューも実施したい場合は本試験プログラムの利用をお勧めしますが、そうでない場合は、応答期間が短い、インタビューが不成功に終わった場合、コストが余分にかかるといったデメリットがあるため、本プログラムの利用はあまり勧められません。本プログラムの利用にあたっては、下記のメリットとデメリットをご勘案されることをお勧めします。

[ファーストアクションインタビューの流れ]

1.出願人は本試験プログラムの適用が可能であるとの通知を受理する。

 以下の条件に当てはまる出願のみが試験プログラムの対象となっています。
(1)2005年9月1日以降の出願で、最初の拒絶理由通知を受けておらず、クラス709(コンピュータ、デジタルプロセッシングシステム、マルチ・コンピュータ・データ転送)に属するもの、または
(2)2006年11月1日以降の出願で、最初の拒絶理由通知を受けておらず、クラス707(データプロセッシング、データベース、ファイル管理またはデータ構造)に属するもの

2.ファーストアクションインタビューをリクエストする。

 出願人がFirst Action Interviewをリクエストしなかった場合は、通常の審査の流れに入ります(最初のオフィスアクションの通知を待つことになります)。

3.インタビュー前のコミュニケーション(Pre-Interview Communication)が届く。

 審査官が先行技術をサーチして、潜在的な拒絶の理由を通知します。(PCTの「見解書付きサーチレポート」のような形式のものです。)

4.出願人は「インタビュー前のコミュニケーション」に対して、1箇月以内(延長なし)にインタビューの実施/不実施のリクエストをする。

5-1.インタビューを実施しない旨のリクエストをした場合、すぐにファーストアクションインタビュー・オフィスアクション(1回目のオフィスアクションとみなされる)が通知され、1箇月以内(1箇月だけ延長可能)に応答しなければならない。

 インタビューの実施を見送る場合でも、インタビューを実施しない旨のリクエストを庁に提出しなければ、出願が放棄されたことになりますので、ご注意ください。

5-2.インタビューを実施する旨のリクエストをした場合、審査官とのインタビューが開かれる。

 出願人(または代理人)は請求項の補正書案/意見書案を準備してインタビューに臨みます。複数の補正書案/複数の意見書案は提示することは認められません。

6-1.インタビューの結果、特許性について出願人と審査官の間で合意に達した場合、インタビューのサマリーが作られ、補正書/意見書がエンターされた上で、許可通知が出る。

6-2.インタビューの結果、特許性について合意に達しなかった場合、インタビューのサマリーとともにファーストアクションインタビュー・オフィスアクション(1回目のオフィスアクションとみなされる)が通知され、1箇月以内(1箇月だけ延長可能)に応答しなければならない。

[メリット]

 現行の規則では、出願人は最初の拒絶理由通知の前に審査官とのインタビューを求めることができますが、インタビューの求めに応じるかどうかは審査官の裁量であり、出願人が先行技術に対する特許性を示すことが求められます。本試験プログラムでは、審査官が先行技術調査をして拒絶の理由を示し、出願人にインタビューの機会を与えます。したがって、以下のメリットがあるといえます。

(1)出願人は先行技術調査が不要である。
(2)インタビューの機会が保証されている。
(3)インタビューの結果、審査官と特許性について合意できれば、早期に権利化される。

[デメリット]

(1)応答期間が1箇月(延長は1箇月限り)と短い。

 インタビューの結果、特許性について合意に達しなかった場合、ファーストアクションインタビュー・オフィスアクションが出され、1箇月以内に書面で応答しなければならならず、延長は1箇月しか認められません。
 通常のオフィスアクションでは、3箇月(延長3箇月可能)の応答期間があるのに比べて、応答期間はきわめて短いです。
 ファーストアクションインタビューをリクエストしてしまうと、サーチ結果だけをもらっておしまいにすることはできず、インタビューを実際にはしなかった場合であっても、ファーストアクションインタビュー・オフィスアクションを受け取りますので、応答期間はやはり1箇月(延長1箇月可能)に限られてしまいます。

(2)インタビューの結果、特許査定にならなかった場合、費用が余計にかかる。

 現地代理人費用をかけてインタビューをしても、審査官と特許性に関して合意が得られなかった場合、ファーストアクションインタビュー・オフィスアクションが出され、通常のオフィスアクションのように少なくとも書面で応答しなければならないので、費用が二重にかかります。

(3)インタビューの結果、特許査定にならなかった場合、余計なプロセキューションヒストリーを作ってしまう。

 インタビューで提出した補正書案/意見書案はエンターされず、無駄になる上、陳述内容が審査記録に残り、包袋禁反言を形成しますので、後で不利になることがあります。
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新たな拒絶理由での拒絶査定維持審決は不意打ち?

平成19年(行ケ)第10056号 審決取消請求事件 平成19年10月31日 知的財産高等裁判所)

[カンケツハンケツ®]
拒絶査定不服審判請求時の補正を、新規な拒絶理由で事前通知なしに却下しても不合理ではない。
※「カンケツハンケツ®」は、判決の重要ポイントに一言でインデックスをつけるために、プライムワークス国際特許事務所が独自に作成して提供しているものです。

[判旨]
 原告は、発明に該当しない(29条1項柱)という拒絶理由は、(拒絶査定不服審判請求時の限定的減縮の)本件補正により生じた拒絶理由ではなく、本件補正前から存在し、(審査段階で)見落とされていた拒絶理由であるから、特許法17条の2第5項(現特許法17条の2第6項)が適用され(て補正却下(159条1項において読み替えて準用する53条1項)され)るべきではない旨主張する。
 しかし、補正の却下を定めた上記規定において、原告の主張を裏付ける規定はない。
 原告は、本件補正を(仮に)行なわなかった場合、(補正却下がされることはないので)拒絶理由通知(50条)を発することなく、いきなり不意打ち的に「発明該当性の欠如」(29条1項柱)を理由として拒絶審決を行なうことが許されないこととのバランスなどともいう。
 しかし、上記各規定に照らしても、拒絶査定を維持する審決とその手続きにおける補正の却下において、出願人に対する事前の査定と異なる拒絶の理由の通知をする必要性については、取り扱いが異なるのであり、不合理であるとは必ずしも認められず、原告の主張は採用できない。
注意:(カッコ)書き説明は、筆者にて追加。
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どこまでが公序良俗違反??

平成19年(行ケ)第10303号 審決取消請求事件 平成20年1月31日 知的財産高等裁判所

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商標の使用態様によって他人の特許権等を侵害しても、直ちに公序良俗に反する商標には該当しない。
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[判旨]
原告は、審決には、本件商標の商標法4条1項7号該当性等の判断の誤りがあることなどを取消事由として主張している。
商標が商標法4条1項7号に該当するかどうかは、特段の事情のない限り、当該商標の構成を基礎として判断されるべきものであり、指定商品または指定役務についての当該商標の使用態様が他人の権利を侵害するか否かを含めて判断されるべきものではない。
本件においてこれをみると、本件商標は「iモード」を標準文字で表す構成からなる典型的な文字商標であって、本件商標の構成・内容から他人の特許権等を侵害するものということはできない。そうすると、原告の主張に係る本件商標の使用が原告の有する本件各特許権に抵触するという理由をもって、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するということはできず、この点の原告の主張は失当である。
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お花見@西郷山公園

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米国特許庁敗訴-継続出願の回数制限と請求項数の制限

2007年11月に米国特許商標庁USPTOが導入しようとした、「継続出願の回数制限および請求項数の制限」に関する特許法規則改正(以下"Final Rules"と呼ぶ)に対して、米国特許庁を相手に同規則改正の施行を差し止める訴えが地裁に提起されていましたが、2008年4月1日付で判決が出ました。

判決の骨子は、
「米国特許庁は特許法規則を制定する権限をもつ」(35 U.S.C. §2(b)(2))という法の規定は、実体的な(substantive)特許法規則(の制定)にまで及ぶものではない。上記"Final Rules"は、その性質上実体的なものであるから、無効である(null and void)。

というものです。USPTOの全面敗訴であり、出願人にとっては朗報です。詳しくは、Patently-Oの記事を参照。

4月2日時点の情報では、USPTOのGeneral CounselのJames Toupin氏はCAFCに控訴するというコメントを発表していますが、判決が覆る可能性は低いと思われます。しかし、現在、米国議会で審議中の特許法改正では、米国商標特許庁に実体的な規則を制定する権限をもたせるように、法律を改正しようとする動きもあるようです。
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パリ優先権基礎出願の早期審査着手(JP-FIRST)

平成20年4月から、特許庁は、日本から海外へのパリルートの出願の基礎となる日本出願(パリ優先権基礎出願)を早期に審査着手する施策(JP-FIRST)を実施します。

パリ優先権主張の基礎出願のうち、出願日から2年以内に審査請求されたものが、他の出願に優先して審査着手されます。出願人からの手続きは一切不要で、特許庁が該当する出願を本施策の対象として選定します。目安として、審査請求と出願公開のいずれか遅い方から、原則6月以内に審査着手されるということです。特許庁の一次審査結果は世界に発信され、他国の特許庁で利用されます。

平成18年4月1日以降の出願が対象となりますが、PCT出願の基礎となる出願については既に国際調査報告により審査結果の共有がなされているため、対象外です。

なお、本施策の対象となる出願であっても早期審査を申請することができます。早期審査の着手時期は申請から平均3箇月と言われています。

本施策は、特許審査ハイウェイとも連動していきます。日本で早期に特許査定になった場合は、現在のところ、米国、韓国、英国およびドイツにおいて審査ハイウェイの申請が可能です(英国およびドイツの審査ハイウェイは試行段階)。

P.S. 戦略的には、日本出願の審査を外国出願よりも先に進めたくない(たとえば、日本での進歩性に関するネガティブな判断を他国の審査が始まる前に発信されるのは好ましくないなど)こともあろうかと思います。その場合は、出願から2年を経過して審査請求すれば、JP-FIRSTの対象から外れます。
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周知技術の濫用への戒め!?

平成18年(行ケ)第10281号 審決取消請求事件 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所

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容易想到性を肯認する際、審査/審判手続で挙げられていない文献を周知技術として挙示し、かつ、引用例として用いることは違法である。
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[判旨]
 審決が認定した「…」は,たとえ周知技術であると認められるとしても,特許法29条1,2項にいう刊行物等に記載された事項から容易想到性を肯認する推論過程において参酌される技術ではなく,容易想到性を肯認する判断の引用例として用いているのであるから,刊行物等に記載された事項として拒絶理由において挙示されるべきであったものである。
 しかも,本件補正発明1が引用例1に記載された発明と対比した場合に有する相違点2の構成は,本願発明の出願時から一貫して最も重要な構成の一つとされてきたのであり,出願人である原告が,審査及び審判で慎重な審理判断を求めたものであるのに,審決は,この構成についての容易想到性を肯認するについて,審査及び審判手続で挙示されたことのない特定の技術事項を周知技術として摘示し,かつ,これを引用例として用いたものであるから,審判手続には,審決の結論に明らかに影響のある違法があるものと断じざるを得ない。
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ビリヤード&ダーツ in 渋谷

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