前置審尋が原則全件対象になります

平成20年7月10日付の特許庁HPの発表によると、平成20年10月以降に審理着手時期に至る事件については、原則全件に対して前置審尋が行われることになりました。

[対象]
原則として前置報告書が作成された事件の全件を対象に前置審尋が送付されます。ただし、早期審理事件は除かれます。早期審理事件については閲覧請求をして前置報告の内容を知り、上申書によって意見を提出するしかありませんので、ご注意ください。

[回答期限]
審判請求人は前置審尋に対して回答書を提出できますが、その提出期限(指定期間)は、60日(在外者については3箇月)です。

[回答内容]
回答書では、前置審査の報告書に示された理由に対する反論を争点として整理した形で示し、審判請求人の主張を明確化します。前置審尋は拒絶理由通知ではないため、補正の機会は与えられません。(補正ができるのは原査定が維持できず、新たに拒絶理由が通知された場合に限られます。)

ただし、この段階で補正案を提示しておくことはできます。「補正案が一見して特許可能であることが明白である場合には、迅速な審理に資するため、審判合議体の裁量により、補正案を考慮した審理を進めることもあります。」とのことです。

[回答後の審判合議体による審理]
前置審尋に対する回答書提出の指定期間経過後、前置審査での審査官の見解とともに、審査官の見解に対する審判請求人の反論を参酌して審判合議体による審理・審決が行われます。
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First Action Interview Pilot Program

米国特許庁が最初の拒絶理由通知前に審査官にインタビュー(面談)する機会を与えるファーストアクションインタビュー試験プログラム(First Action Interview Pilot Program)を2008年11月1日まで実施しています。

審査官によるサーチ結果をもとに出願人と審査官が審査の初期段階で対話し、潜在する拒絶の理由を解消する機会を設けることで、審査を促進し、可能ならば早期に特許査定を出すことをねらいとしています。

[推奨]
 早期権利化を求めており、かつ、審査官とのインタビューも実施したい場合は本試験プログラムの利用をお勧めしますが、そうでない場合は、応答期間が短い、インタビューが不成功に終わった場合、コストが余分にかかるといったデメリットがあるため、本プログラムの利用はあまり勧められません。本プログラムの利用にあたっては、下記のメリットとデメリットをご勘案されることをお勧めします。

[ファーストアクションインタビューの流れ]

1.出願人は本試験プログラムの適用が可能であるとの通知を受理する。

 以下の条件に当てはまる出願のみが試験プログラムの対象となっています。
(1)2005年9月1日以降の出願で、最初の拒絶理由通知を受けておらず、クラス709(コンピュータ、デジタルプロセッシングシステム、マルチ・コンピュータ・データ転送)に属するもの、または
(2)2006年11月1日以降の出願で、最初の拒絶理由通知を受けておらず、クラス707(データプロセッシング、データベース、ファイル管理またはデータ構造)に属するもの

2.ファーストアクションインタビューをリクエストする。

 出願人がFirst Action Interviewをリクエストしなかった場合は、通常の審査の流れに入ります(最初のオフィスアクションの通知を待つことになります)。

3.インタビュー前のコミュニケーション(Pre-Interview Communication)が届く。

 審査官が先行技術をサーチして、潜在的な拒絶の理由を通知します。(PCTの「見解書付きサーチレポート」のような形式のものです。)

4.出願人は「インタビュー前のコミュニケーション」に対して、1箇月以内(延長なし)にインタビューの実施/不実施のリクエストをする。

5-1.インタビューを実施しない旨のリクエストをした場合、すぐにファーストアクションインタビュー・オフィスアクション(1回目のオフィスアクションとみなされる)が通知され、1箇月以内(1箇月だけ延長可能)に応答しなければならない。

 インタビューの実施を見送る場合でも、インタビューを実施しない旨のリクエストを庁に提出しなければ、出願が放棄されたことになりますので、ご注意ください。

5-2.インタビューを実施する旨のリクエストをした場合、審査官とのインタビューが開かれる。

 出願人(または代理人)は請求項の補正書案/意見書案を準備してインタビューに臨みます。複数の補正書案/複数の意見書案は提示することは認められません。

6-1.インタビューの結果、特許性について出願人と審査官の間で合意に達した場合、インタビューのサマリーが作られ、補正書/意見書がエンターされた上で、許可通知が出る。

6-2.インタビューの結果、特許性について合意に達しなかった場合、インタビューのサマリーとともにファーストアクションインタビュー・オフィスアクション(1回目のオフィスアクションとみなされる)が通知され、1箇月以内(1箇月だけ延長可能)に応答しなければならない。

[メリット]

 現行の規則では、出願人は最初の拒絶理由通知の前に審査官とのインタビューを求めることができますが、インタビューの求めに応じるかどうかは審査官の裁量であり、出願人が先行技術に対する特許性を示すことが求められます。本試験プログラムでは、審査官が先行技術調査をして拒絶の理由を示し、出願人にインタビューの機会を与えます。したがって、以下のメリットがあるといえます。

(1)出願人は先行技術調査が不要である。
(2)インタビューの機会が保証されている。
(3)インタビューの結果、審査官と特許性について合意できれば、早期に権利化される。

[デメリット]

(1)応答期間が1箇月(延長は1箇月限り)と短い。

 インタビューの結果、特許性について合意に達しなかった場合、ファーストアクションインタビュー・オフィスアクションが出され、1箇月以内に書面で応答しなければならならず、延長は1箇月しか認められません。
 通常のオフィスアクションでは、3箇月(延長3箇月可能)の応答期間があるのに比べて、応答期間はきわめて短いです。
 ファーストアクションインタビューをリクエストしてしまうと、サーチ結果だけをもらっておしまいにすることはできず、インタビューを実際にはしなかった場合であっても、ファーストアクションインタビュー・オフィスアクションを受け取りますので、応答期間はやはり1箇月(延長1箇月可能)に限られてしまいます。

(2)インタビューの結果、特許査定にならなかった場合、費用が余計にかかる。

 現地代理人費用をかけてインタビューをしても、審査官と特許性に関して合意が得られなかった場合、ファーストアクションインタビュー・オフィスアクションが出され、通常のオフィスアクションのように少なくとも書面で応答しなければならないので、費用が二重にかかります。

(3)インタビューの結果、特許査定にならなかった場合、余計なプロセキューションヒストリーを作ってしまう。

 インタビューで提出した補正書案/意見書案はエンターされず、無駄になる上、陳述内容が審査記録に残り、包袋禁反言を形成しますので、後で不利になることがあります。
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