パリ優先権基礎出願の早期審査着手(JP-FIRST)

平成20年4月から、特許庁は、日本から海外へのパリルートの出願の基礎となる日本出願(パリ優先権基礎出願)を早期に審査着手する施策(JP-FIRST)を実施します。

パリ優先権主張の基礎出願のうち、出願日から2年以内に審査請求されたものが、他の出願に優先して審査着手されます。出願人からの手続きは一切不要で、特許庁が該当する出願を本施策の対象として選定します。目安として、審査請求と出願公開のいずれか遅い方から、原則6月以内に審査着手されるということです。特許庁の一次審査結果は世界に発信され、他国の特許庁で利用されます。

平成18年4月1日以降の出願が対象となりますが、PCT出願の基礎となる出願については既に国際調査報告により審査結果の共有がなされているため、対象外です。

なお、本施策の対象となる出願であっても早期審査を申請することができます。早期審査の着手時期は申請から平均3箇月と言われています。

本施策は、特許審査ハイウェイとも連動していきます。日本で早期に特許査定になった場合は、現在のところ、米国、韓国、英国およびドイツにおいて審査ハイウェイの申請が可能です(英国およびドイツの審査ハイウェイは試行段階)。

P.S. 戦略的には、日本出願の審査を外国出願よりも先に進めたくない(たとえば、日本での進歩性に関するネガティブな判断を他国の審査が始まる前に発信されるのは好ましくないなど)こともあろうかと思います。その場合は、出願から2年を経過して審査請求すれば、JP-FIRSTの対象から外れます。
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