海外商標

【解説】中国で商標登録を拒絶されたら、その対応方法

執筆者 : 木村純平

中国で商標登録を拒絶されるとは

中国で商標登録するには、審査を受けて登録要件を満たすことが必要になります。登録要件を満たさない商標は、登録を拒絶されます。この記事では登録を拒絶されてその対応を行うまでの流れと、各拒絶理由への対応方針を解説します。

商標登録出願から拒絶査定、拒絶査定不服審判まで

商標登録の出願手続を行うと、方式審査と実体審査の2段階の審査が行われます。各段階で出願が拒絶理由に該当すると拒絶理由が通知されます。

方式審査での拒絶とは

出願の書式や記載事項、署名・捺印等に不備がある場合、不受理通知書が発行されます。商品・役務表記と商標見本等に不備がある場合、補正通知書が発行されます。

方式審査段階で拒絶されるのは多くは商品・役務表記に不備がある場合です。中国の商標当局から、商標登録のための商品・役務表記に関する「類似商品及び役務の区分表」が公開されています。商標登録出願に記載する商品・役務表記は、この「類似商品及び役務の区分表」にある記載、もしくは、ニース協定の国際分類表に記載されている表記から選択すれば、ほぼ問題ありません。

適切な商品及び役務の表記は「中国商標網」(http://wcjs.sbj.cnipa.gov.cn/)から調べることができます。調べ方は以下の記事を参考にして下さい。

「類似商品及び役務の区分表」もしくはニース協定の国際分類表に記載されている表記以外の商品・役務表記を行った場合、拒絶されることが多いです。拒絶された場合、適切な商品及び役務の表記に補正を行うか、その商品・役務に関する資料を提出して商品・役務の内容を審査官に説明します。

実体審査での拒絶とは

出願から約4ヶ月程度で実体審査の審査結果が通知されます。拒絶理由が発見されない場合は登録査定が通知され、拒絶理由が発見された場合は拒絶査定が通知されます。

日本のように拒絶理由通知に対して意見書で反論する機会は与えられていません。

拒絶査定の通知を受領後、15日以内に拒絶査定不服審判(再審)を提起して、拒絶を争うことができます。オンライン出願もしくは国際登録出願(マドプロ出願)の場合、さらに15日のみなし送達期間があたえられます。

他人の先行商標との抵触による拒絶理由

商標登録出願は原則として早いもの勝ちですので、先行する商標出願、商標登録と商標及び指定商品・役務が類似する場合、拒絶されます。類似の判断は「商標審査および審理基準」に基づいて行われます。

日本からの出願だと、ローマ字で構成される商標が多いと思います。判断の基準は上記の「商標審査および審理基準」に複数記載がありますが、先頭文字が同一で、構成文字が1文字もしくは2文字違い、といったような場合、拒絶されることが多いです。日本の審査よりも判断が厳しいと言えるでしょう。

識別力が無いとの拒絶理由

商標が、指定商品・役務の普通名称や品質、主要原材料、効能-、用途、重量、数量およびその他の特徴を直接表示したにすぎない表示である場合は識別力が無いとして拒絶されます。

品質などに誤認を生じさせるとの拒絶理由

商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標は拒絶されます。日本では指定商品・役務を限定する補正を行うことにより対応できることも多いですが、中国ではそのような対応はできません。

特にある程度知られた地名に関しては拒絶される可能性が高く、対応も難しいので、出願時から考慮する必要があります。たとえば、「東京」「TOKYO」という文字が一部にでも含まれる商標であれば、この拒絶理由が該当すると判断される可能性が高いでしょう。

この拒絶理由については以下の記事を参考にして下さい。

拒絶査定不服審判(再審)とは

拒絶査定不服審判(再審)とは、拒絶査定に不服を申立て、再審理を行う制度です。拒絶査定の通知を受領後、15日以内に提起する必要があります(拒絶査定の通知を受領後、15日以内に拒絶査定不服審判(再審)を提起して、拒絶を争うことができます。オンライン出願もしくは国際登録出願(マドプロ出願)の場合、さらに15日のみなし送達期間あり。)。

国際登録出願(マドプロ出願)の場合、新たに現地中国の代理人(弁理士、弁護士)を選任する必要があります。

拒絶査定不服審判(再審)の審理期間は、現在のところ、6~8ヶ月となっています。

対応方法

拒絶理由をみて、拒絶査定不服審判(再審)で覆せるか検討を行います。

他人の先行商標との抵触による拒絶理由

文字商標

文字商標で、以下の条件が当てはまると、反論は難しいかもしれません。

  • 他人の先行商標(引用商標)と先頭文字が同一
  • 引用商標と構成文字の相違が2文字以内
  • 造語であって、引用商標と意味の相違を主張できない

逆に、ロゴをデザイン化していて外観上の相違が顕著な場合や、既成語で意味の相違が主張できるような場合など、反論を検討する価値があります。

図形商標

図形商標の場合、モチーフが同じ(たとえば、両商標がブタのキャラクターを表している。)で、図の構成が共通・ポーズが似ている場合、反論は難しいかもしれません。

引用商標の取消

引用商標を取り消すことができれば拒絶理由は解消します。取り消す方法は異議申立、不使用取消、無効審判などがあります。詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

注意しなければいけないのは、再審と並行して行う場合、再審の決定は待ってくれません。取り消す前に再審の決定が出されると、拒絶理由を克服できません。

識別力が無いとの拒絶理由

識別力の低い語に何か付け加えた語なのか否か、商標をロゴデザイン化しているか否か、同じ語を含む他人の商標が登録されていないか否か、など検討してみるとよいでしょう。

まとめ

中国の審査官は早期の判断を求められるため、柔軟な判断は行わず、少しでも拒絶理由に抵触していると考えると拒絶する傾向があります。したがって、拒絶査定不服審判(再審)で判断が覆る可能性は結構あります。ただし、概ね日本の商標審査の感覚よりも厳しい判断が行われますので、判断を覆せるか否かは、現地代理人(中国の弁理士、弁護士)にアドバイスを求めた方がよいでしょう。

プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

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  • この記事を書いた人

木村純平

2013年日本弁理士会意匠委員。2008~2011年日本弁理士会著作権委員(2011年副委員長)。2006年弁理士試験合格。日本弁理士会(JPAA)、日本商標協会(JTA)所属。1975年生まれ。

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