アメリカの商標使用証拠:ウェブページを商品商標の使用証拠とする際の注意点

この記事のまとめ(3つの要点)

  • アメリカの商標登録では、出願の種類によって使用証拠の提出が義務付けられています。使用意思に基づく出願・使用に基づく出願の場合、登録されるまでの間に商標の使用証拠を提出する必要があります。マドプロ出願・外国出願・外国登録に基づく出願でも、登録から5〜6年目および9〜10年目の更新時に使用証拠の提出が求められます。認められる証拠には、商品・包装のラベル・タグの写真、ディスプレイのスクリーンショット、カタログ、商品を表示したウェブページなどがあります。
  • ウェブページを使用証拠として提出する場合、「商標と商品の関連性」と「注文手段の明示」の2点が必須要件です。ウェブページが商品商標の使用証拠として認められるには、①商品の画像または説明の記載、②その商品と関連付けられた商標の表示、③ショッピングカートボタン・電話番号・メールアドレスなど商品を注文するための具体的な手段の提示、の3つをすべて満たす必要があります。単なる「お問い合わせ」ボタンや、商標と商品の説明が離れた位置にある場合は不適切と判断されることがあります。
  • ウェブページが「商品商標」ではなく「小売りサービス商標」の使用と判断されるケースに注意が必要です。ウェブページ上部に商標が配置されている場合、URLに商標が含まれている場合、同一ページ内に複数の他社商標が表示されている場合などは、商品商標ではなく小売りサービスの商標使用とみなされることがあります。また、広告パンフレット・プレスリリース・SNSの広告バナー・名刺・請求書などは、使用証拠として一切認められないため注意が必要です。

アメリカで商標登録及びその維持のためには、マドプロ出願・外国出願・外国登録に基づいた出願の場合、登録から5~6年の間及び更新手続時(登録から9~10年の間)、それ以外の出願(使用意思に基づく出願、使用に基づく出願)の場合、それに加え登録されるまでに商標の使用証拠の提出が要求されます。

どのようなものが商標使用証拠として満たされるかは、TMEP(審査手続商標マニュアル)に詳細が説明されていますので、今回は、そこにある注意点を紹介してみたいと思います。特に、商品商標について、ウェブページを使用証拠として提出する場合の注意点は参考になると思います。

https://tmep.uspto.gov/RDMS/TMEP/current#/current/TMEP-900d1e636.html

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ラベルとタグ

商品や商品の包装に付けられるラベルやタグは基本的に使用証拠として認められます。商品や商品の包装に付けられたラベルやタグを写真にとって使用証拠として提出するのが最も一般的です。

ディスプレイ上の表示

コンピュータプログラム、ビデオ、および映画等のコンテンツを商品とする場合、ディスプレイ上に表示された商標のスクリーンショットを使用証拠とすることができます。ダウンロード可能なコンピュータソフトウェアについては、インターネットウェブサイト上のダウンロード画面にある商標のスクリーンショットを使用証拠とすることができます。

カタログ

カタログは使用証拠として認められます。ただし、商品を注文するために必要な情報(例えば、注文フォーム、発注のための電話番号、住所、または電子メールアドレス)を含む必要があります。

商品を表示したウェブページ

ウェブページは、次の場合、商品商標の使用証拠として認められます。

(1)商品の画像または文言による説明を含む

(2)商品に関連する商標を表示する

(3)商品を注文するための特定された手段が提示されている

ウェブサイトは第三者のウェブサイトでも問題ありません

アメリカのデパート「macy’s」のオンラインショップで、「LACOSTE」の商品が販売されている例です。商品(ベッドリネンなど)の写真、その価格が表示されており、商品の情報に近接して商標「LACOSTE」が表示されていますので、この商標がその商品に関連した商標であると分かります。また、ページ右上には「shopping bag」のリンクがあり、商品を注文するための手段が提示されています。

使用証拠として不適切な例:商標と商品との関連性が明確である必要があります

この商標の指定商品は「公共事業および公共資産の管理のためのコンピュータソフトウェア」です。ソフトウェアに関する記述があるのですが、商標はその記述と離れたページ左下に配置されています。また、ウェブページ上に多数の他のマークが存在し、左側のサイドバーには、ソフトウェアに関連しないビジネスに関する記事やニュースへのリンクがたくさんあります。そうすると、商品と関連してこの商標が関連付けられて使用されているのかが不明確となってしまいます。

と言うわけで、このウェブページは商標の使用証拠として不適切と見なされました。

商品商標ではなく小売りサービス商標の使用と見なされる例1

商標「macy’s.com」がウェブページの上部に表示されていますが、小売のオンラインショップの多くがこの位置に商標を配置しますので、小売りサービス商標の使用と見なされる可能性が高くなります。さらに、他の商品商標と思われる商標(「Cuisinart」、「Club Room」、「Charter Club」、「Ralph Lauren Polo」)が同ページ内に表示されていることも、対象商標が小売りサービス商標とみなされる原因になります。

商品商標ではなく小売りサービス商標の使用と見なされる例2

ウェブサイトのURLに対象商標が含まれていると、商品商標とは認められず、小売りサービス商標と見なされます。

また、同一のウェブページ内に第三者の商標を含むフレーズ(「Tektroniの最先端トナー」または「Xerox / Tektronixトナーのリーディング価格」など)が表示されていると、小売りサービス商標の使用とみなされる原因となります。

商品商標の使用と見なされる例

商標「RING IN THE NEW YEAR WITH OUR RINGS」の使用証拠例です。商標はウェブページの左上ではなく、一番下に配置され、その後に「TM」が付いています。「TM」は「Trademark」の略で、全般的な商標を意味することもありますが、「SM」(サービスマーク)に対して、「商品商標」を指し示す語なので、対象商標が商品商標であることを認識させてくれます。

また、商標の中に「RING」という商品を示す語が含まれていることも商品商標と判断される要因になります。

注文に関する手段と認められるもの

注文に関する手段と認められるものには以下のようなものがあります。

  • 「ショッピングカート」ボタンや「ショッピングバッグ」ボタンとリンク
  • 注文のための電話番号の表示
  • 注文のためのEメールアドレスの表示

単なる「お問い合わせ」のボタン、リンクは注文に関する情報とは認められません。

使用証拠と認められないもの

広告のパンフレット、価格リスト、プレスリリースなどのお知らせ、名刺、店舗の紹介、検索エンジンの検索結果ページ、ソーシャルメディアに表示されるオンライン広告バナーなどは使用証拠と認められません。さらに、社内業務を行うために使用される書類(請求書、送付状、保証書)や社名が入ったメモ用紙といった文房具などのグッズも使用証拠と認められません。

※上記記事の内容、画像はUSPTOのTMEP(審査手続商標マニュアル)からの引用です。https://tmep.uspto.gov/RDMS/TMEP/current

よくある質問(FAQ)

Q. アメリカの商標登録で使用証拠として認められるものと認められないものを教えてください。

使用証拠として認められるものには、商品や包装に付けられたラベル・タグの写真、コンピュータソフトウェア等のディスプレイ表示のスクリーンショット、注文フォームや連絡先を含むカタログ、そして「商品の画像・説明」「商標の表示」「注文手段(ショッピングカートボタン・電話番号・メールアドレスなど)」の3つをすべて含むウェブページが挙げられます。なお、ウェブページは自社のサイトだけでなく、百貨店のオンラインショップなど第三者のウェブサイトでも問題ありません。一方、認められないものには、広告パンフレット、価格リスト、プレスリリース、名刺、検索エンジンの検索結果ページ、ソーシャルメディアの広告バナー、請求書・送付状・保証書などの社内書類、社名入りメモ用紙などが含まれます。これらは商品やサービスとの直接的な取引を示すものではないとして、USPTOのTMEP(審査手続商標マニュアル)において使用証拠として不適切と明記されています。

Q. アメリカに商標登録する費用はいくらかかりますか?マドプロ出願と直接出願どちらがよいですか?

費用の目安として、アメリカへの直接出願(米国特許商標庁への直接出願)の場合は、現地の特許事務所・法律事務所費用と日本の特許事務所費用を合わせて25万円〜が目安です。マドリッド協定議定書に基づく国際出願(マドプロ出願)の場合もトータルで25万円〜が目安ですが、同時に複数の国を指定するほど1か国あたりのコストが割安になるメリットがあります。どちらの方法が適しているかは、出願する国の数・商標の種類・区分数・為替レートによって変わります。また、アメリカでは使用意思に基づく出願の場合、登録前に使用証拠の提出が別途必要となり、その手続き費用も発生します。正確な費用は個別の状況によって大きく異なるため、複数の特許事務所から見積もりを取ることをおすすめします。

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この記事を書いた人

木村 純平

木村 純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。