海外商標

【解説】韓国で商標登録する~出願は?商標制度は?~

執筆者 : 木村純平

韓国でビジネスを展開するのであれば、韓国で商標登録を行うことは必須事項でしょう。しかし、日本では商標登録の経験があるけれども韓国で商標登録の経験が無い、又は特許事務所に手続を依頼しようとは思うが基本的な知識は知っておきたいといった方に、韓国での商標登録の基本的な知識、知っておくと役に立つ情報などを紹介します。

出願の方法

商標登録の出願は、マドリッドプロトコルによる国際登録出願(マドプロ出願)か、現地の弁理士や弁護士などの代理人を通じて韓国特許庁に出願する方法があります。商品・役務(サービス)が幅広く、区分数が多い場合や、韓国だけでなく他のマドプロ加盟国でも商標登録したいような場合は、マドプロ出願にコストメリットがあります。一方、韓国代理人を通じて手続をする場合は、区分数によって費用が変わりますので、現地の特許事務所などから事前に見積りをとっておきましょう。

登録までの審査:審査の内容及び期間

マドプロ出願

マドプロ出願をした場合、日本の特許庁に出願書類を提出してから6ヶ月程度で国際登録され(形式審査で補正などを指摘された場合、さらに2~3ヶ月要します。)、その後、韓国特許庁で移行し、韓国での商標権を認めるべきか否か審査が行われます。審査結果は韓国特許庁に出願情報が届いてから1年6ヶ月以内に通知されるようになっています。

直接出願

現地代理人を通じて出願した場合、韓国特許庁で形式審査、実体審査が行われます。審査期間(出願から最初の審査結果が出るまでの期間)の目安はおよそ6~9ヶ月です。

指定商品・指定役務に関わる留意事項

ニース国際分類を採用しており、商品34区分、役務11区分があります。ですので、ほぼ日本と同じ商品・役務表記で問題は無いでしょう。また、日本と同じように類似群コードによる指定商品・役務間の類否判断を行っているので、類否の判断がわかりやすいと言えます。日韓の類似群コードの対応は以下のサイトをご覧ください。

「日韓類似群コード対応表」(日本特許庁)
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/jpo_kipo-ruiji2016.htm

1区分につき指定商品・役務が20を超える場合は、超過の1商品・役務ごとに加算手数料が発生します。同一の類似群コードの指定商品・役務であれば、商標権の効力は及びますので、権利が重複する指定商品・役務を省くことも一策です。

絶対的拒絶理由:識別性が無いとの拒絶

韓国の審査では、絶対的拒絶理由、つまり、商標に識別力があるか(普通名称や記述的な表示にあたらないか)が審査されます。商標に識別力があるか否かは、その表示が不特定多数に使用されているかなど、その国での状況から判断されますので、日本で登録されても韓国では識別力なしと判断されることもあります。

相対的拒絶理由:他人の商標と抵触するとの拒絶

韓国の審査では、相対的拒絶理由、つまり、類似する他人の登録商標が存在しないかについても審査されます。コンセント制度(引用商標権者から同意書を得た場合に併存登録を認める制度)は採用されていません。

拒絶理由通知への対応

審査で拒絶理由が発見されると拒絶理由が通知されます。これに対し2月以内(1ヶ月ずつ2回延長可能)に意見書や手続補正書の対応が可能です。

異議申立

審査の結果、拒絶理由がなければ公告され、その後、2ヶ月以内に誰でも異議申立を提起することができます。

商標の使用に関する留意点

使用証拠

登録にあたり使用宣誓書等を提出する必要はありません。

商標権の管理に関する留意事項

存続期間の起算と存続期間

商標権の存続期間は設定登録日から10年間です。

プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

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  • この記事を書いた人

木村純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。 経歴など詳しくはこちらを

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