海外商標制度まとめ:中国における商標登録のポイント

出願に必要な情報・書類

①出願人の名称・住所 中国語の表記が必須です。社名に漢字以外の文字(ローマ字やカタカナなど)が入っている場合、意味や読みから当て字の名称を作成する必要があります。
【例】
Google(谷歌)、Amazon(亚马逊)・・・漢字の読みから
Apple(苹果)・・・意味(「リンゴ」)から
②商標 文字、図形、文字と図形の組み合わせなど。
③指定商品・役務 指定商品・役務の区分はほぼ日本と同じですが、決められた商品・役務表記から選択しない場合、拒絶される可能性が高いので注意が必要です。
④出願人の証明書類 法人の場合、登記簿謄本の写しが、自然人の場合、パスポート、運転免許証などの写しが必要です。
※発行からの有効期限は特にありません。
⑤委任状 現地代理人(中国の弁理士、弁護士)によって書式が異なります。

 

審査

商標出願の流れ:以下のようなフローで審査が行われます。


※国際登録出願(マドプロ出願)の場合、国際登録(要6ヶ月程度)の後、審査が行われます。

拒絶査定

拒絶になる理由の多くは以下の2つです。出願の前に事前調査を行えば、拒絶のリスクを抑えることができます。

  • 識別力・・・単に商品・役務の内容・特徴などを示すに過ぎない商標は拒絶されます。
  • 他人の商標との類似・・・他人が先に出願して、登録されている商標と類似する商標で、指定商品・役務も類似するものは拒絶されます。

※日本のように査定前に拒絶理由通知を受ける機会はなく、審査結果がそのまま査定となります。

不服審判

審査で拒絶になった場合、不服を申し立てる(反論する)ことができ、審査官とは別の審判官により再審理されます。拒絶査定の受領から15日以内に申立を行わなければならないので、迅速な判断が必要となります。

異議申立

登録査定公告後3ヶ月間、登録に不服があれば、誰でも異議申立を行うことができます。勝手に自分の商標を登録された場合の主な対応手段の一つです。

 

商標権の管理

商標権の更新

存続期間・更新手続:商標権の存続期間は、登録日から10年です。存続期間が経過する10年毎に、商標権を更新することができます。

不使用取消

3年間以上登録商標を中国国内(香港、マカオ除く)で使用していない場合、他人から登録の取消を請求される可能性があります。
自分の商標登録の障害となる他人の登録を取り消すための手段としても有効です。

 

プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

 

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もうすぐ始まるミャンマー商標登録制度をわかりやすく解説

ミャンマーは、東南アジアのインドシナ半島西部に位置し、日本の1.8倍程度の国土と5,000万人以上の人口を保有する国で、近年、軍事政権から民主政権への移行と同時に国外に開かれた経済政策を推し進めており、高い経済成長が期待される注目の国です。

 

商標法成立の経緯

そんなミャンマーでは、今まで、商標法が存在せず、やっと、2019年1月30日に商標法が国会で成立しました。従来、商標の保護は、商標法以外の法律(刑法、登録法など)によって、限定的に守られているに過ぎず、商標を守るためには、登録所に商標の所有者宣言を登録し、それを自分で新聞に掲載して権利の主張を行う、といったことが行われていました。また、商標の争いでは、先使用主義(先に使用している方が優先されるという考え)が採用されていました。

 

しかしながら、法制度を整備し国外からの投資を呼び込むため、2017年に商標法などの知的財産法案(特許法、意匠法、商標法、著作権法)が国会に提出された後、2019年になって、ようやくこれら法律が成立にいたりました。

 

ただし、知的財産行政を担う知的財産庁は現在設立準備中で、商標法の施行もその設立に合わせて決められる方針で、具体的な施行時期は今のところ決まっていません。

 

商標法の概要

標章の定義

登録対象である標章は、文字やロゴ、図形など「視覚的に認識できる標章」に限られ、音や匂いの商標は登録の対象にはなりません。

拒絶理由

登録には実体的な審査が行われ、識別力がない・公序良俗に反する等といったいわゆる絶対的拒絶理由の審査と、先登録商標と同一又は類似する・登録又は未登録の周知商標と同一又は類似する等、といった相対的拒絶理由に関する審査が行われます。

パリ優先権

他国の出願を基礎として、パリ優先権が主張可能です。

公告・異議申立

審査を通過した出願は公告され(60日間)、だれでも異議申立を提起することができます。異議申立が無い場合、もしくは、異議申立が認められない場合に、商標は登録となります。

存続期間

登録となった商標は出願日を起算として10年間、権利保護が認められます。それ以降は10年毎の更新手続きが可能です。

移行措置

すでに現行制度で登録している商標を出願する場合、登録されている証拠を出願時に提出しなければならないとされていますが、どのような移行措置を受けることができるのかはまだ決まっていません。

 

上述のとおり、商標法が成立し、商標登録制度の基本的な仕組みは明らかになったものの、商標登録の具体的運用を管理する知的財産庁が設立されていないため、細かな規則やいつから制度の運用が開始されるかはまだ分かっていません。

 

しかしながら、近日中には新商標制度が開始されると思われますので、現行制度で登録を行っている商標権者の方々は以下の準備を行うことをお勧めします。

  1. 現在登録している商標をリストアップし、確認し、出願に備える
  2. 出願時に提出できるように、現在の登録所への登録を証明する書面を確認する
  3. 商標をミャンマーにて既に使用しているか確認する
  4. 使用している場合、使用開始日、現地の取引業者の情報など詳細を確認する
  5. 使用証拠(商品の写真、取引書類)を準備する
  6. 商標登録制度に具体的な運用に関する情報を継続的に収集する

 

また、新制度に合わせて新規にミャンマーへの商標登録を検討されている皆様も、商標をリストアップし、商標登録制度に具体的な運用に関する情報を継続的に収集することをお勧めします。

プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

 

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新元号は「令和」!商標の問題は何かあるのか? – どうやらしっかり調べた模様です –

皆さん、ついに新しい元号が発表されましたね。5月1日から元号は「令和」だそうです。「令和」について商標出願される方がいらっしゃるかもしれませんが、前回記事で書いたとおり、元号をそのままで出願したとしても商標登録されませんのでご注意ください。

商標審査基準「第3条第1項第6号(前号までのほか、識別力のないもの)」(特許庁ウェブサイトより) https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/10_3-1-6.pdf

「4.元号を表示する商標について:商標が、元号として認識されるにすぎない場合は、本号に該当すると判断する。元号として認識されるにすぎない場合の判断にあたっては、例えば、当該元号が会社の創立時期、商品の製造時期、役務の提供の時期を表示するものとして一般的に用いられていることを考慮する。」

とはいえ、発表される前に審査を受けていた場合には商標登録されてしまいます。そこで、特許庁データベースJ-PlatPatで「令和」について検索してみました。

<どうやらしっかり調べた模様です>

なんと、検索するも「令和」という商標は1件も検出されませんでした。もしかすると、複数の新元号案が挙がったときに、誰かが商標登録しているものは除外したものかもしれません。

次に、「レイワ」の称呼(読み方)を持つ商標の有無も確認してみましたが、こちらも1件も検出されませんでした。漢字2文字で「レイワ」と読むものはいくつもパターンがありそうですが、それについてもしっかりと確認済みのようです。

なお、現在の審査運用では、漢字2文字からなる商標が同じ称呼(読み方)だったとしても、使用されている漢字が異なれば、非類似と判断されて併存登録されることが多いです。漢字にはそれぞれ意味があるので、違う漢字を使えば外観(見た目)と観念(意味)が異なるため非類似と判断されるのが最近の傾向です。そのため、同じ読み方のものがあっても問題ないのですが、そうした商標さえも存在しないとはさすがです。

念のため、「令」と「和」の文字を使っている商標はあるのかな?と検索したところ、下記の2件が検出されました。

・商標登録第4512958号「本格和室 佳辰令月」第36類(商標権者:株式会社ミリエーム)

・商標登録第4512959号「本格和室 佳辰令月」第37類(商標権者:株式会社ミリエーム)

これらの商標は「和」と「令」の時が含まれていますが、別々の言葉に分かれているので「令和」とは明らかに非類似です。

ここまで似ているものがなければほぼ万全といっていいんじゃないでしょうか。調査を担当された弁理士さんにはお疲れ様と言いたいです。

<新元号の由来は...?>

今日は朝から新元号が気になって仕事が手につきませんでしたが、商標的な問題もなさそうなので、ひと安心です。午後から仕事を頑張ります。

さて、Wikipediaにもさっそく「令和」の項目が挙がりましたが、その中で由来について言及されていました。「万葉集」の巻五、梅の花の歌序に「時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。」という一節があるとのことです。

ちなみに、最初に「令和」の文字を見て検索したところ、早稲田大学政治経済学部長の方が「川岸令和(のりかず)」さんというお名前だそうです。まさか自分の名前が(読みは違うとしても)元号になってしまって、ご本人も驚いたんじゃないでしょうか。

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平成ノブシコブシさん、大丈夫ですよ! – 平成が使えなくなるという「誤解」について –

突然ですが、私は昭和46年生まれです。昭和のど真ん中に生まれて平成を過ぎ、この5月に3つめの元号を迎えます。高校2年生のとき、当時の官房長官だった小渕さんが「へいせい!」と言ったことが昨日のことのように思い出されます(あれ、結構インパクトありましたよね)。

当時、新しい元号は「平成」なのかー、とあまりピンと来ませんでしたが、そんな平成とともに30年を過ごして、今ではなんとなく愛着もあるくらいです。人生2度目の改元はどんな思い出になるのか楽しみです。そんな中、元号と商標に絡んだニュースを見かけました。

 

「ノブコブ、コンビ名に『平成』使えない説浮上 新元号へ思わぬ余波『ちょっと大変です』」(ORICON NEWS:2019年3月19日付)

https://www.oricon.co.jp/news/2131813/

 

人気お笑いコンビの平成ノブシコブシさんが、コンビ名に「平成」が使えないんじゃないかと不安になっているという記事で、「特許庁が1月30日、新旧の元号を商標として使えないよう改訂した」ことに言及されています。

<いきなり「使えなくなる」わけじゃありません>

この「特許庁が改訂した」というのは、商標の審査基準を改訂したことを受けています。商標審査基準とは、どういう商標が登録できて、どういう商標は登録できないのか、その判断基準をまとめたものです。商標が登録できるか否かを判断するものであって使えるかどうかを規定するものではありません。なので、この改訂でいきなり彼らのコンビ名が使えなくなる!わけじゃありません。

<何がどうかわったのか>

では、今回の改訂で何がどう変わったのかを見てみましょう。

 

商標審査基準「第3条第1項第6号(前号までのほか、識別力のないもの)」(特許庁ウェブサイトより)

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/10_3-1-6.pdf

 

改訂前と改訂後を比べてみると、こんな感じです。

 

改訂前「4.元号を表示する商標について:商標が、元号として認識される場合(「平成」、「HEISEI」等)は、本号に該当すると判断する。」

改訂後「4.元号を表示する商標について:商標が、元号として認識されるにすぎない場合は、本号に該当すると判断する。元号として認識されるにすぎない場合の判断にあたっては、例えば、当該元号が会社の創立時期、商品の製造時期、役務の提供の時期を表示するものとして一般的に用いられていることを考慮する。

おわかりいただけただろうか...?

これまで、現元号の「平成」は商標登録できないとされていたのが、「現」が外れて新元号も旧元号も「元号として認識されるにすぎない場合は」商標登録できないという規定になりました。つまり、改定前の規定でも「平成」は商標登録できないとなっており、平成ノブシコブシさんにとって状況は何も変わっていません。

でも、今後、彼らのコンビ名が突然使えなくなることはないでしょう。「平成ノブシコブシ」は「元号として認識されるにすぎない」に該当しないからです。特許庁のデータベースJ-PlatPatで「平成」の文字を含む商標を検索すると100件以上検出されます。例えば、スタジオ・ジブリが「平成狸合戦ぽんぽこ」を、松竹が「平成中村座」を、フジテレビが「平成教育委員会」を商標登録しています。これらは映画のタイトルだったり、歌舞伎の公演だったり、テレビ番組名だったりとさまざまですが、どれも対象とする商品やサービスとの関係で、元号として認識されるにすぎないものではないと判断されて商標登録を受けています。「平成ノブシコブシ」も有名なお笑いコンビの名称と認識されるので、元号として認識されるにすぎないものにはあたりません。彼ら(というか所属先の吉本興業)が商標出願すれば登録を受けられるでしょうし、他人が出願すれば登録が拒絶される可能性が高いです。コンビ名が突然使えなくなることはないと言っていいので、お二人には安心してください!と伝えたいです。

<特許庁の狙いは?>

今回の改訂の目的には2つの意味があります。1つめが、5月の改元前に新元号が発表されるので、改元前に新元号が商標出願されても(現元号ではなくとも)拒絶されることを明確にすることです。2つめが、改元後も、元号そのものであれば登録できないことを明確にすることです。元号は多種多様な場面で使用されるので、下手に商標登録されてしまうと問題が起こりかねません。今回特許庁が審査基準の改訂を行ったのは、そうした問題を予防することが目的であり、むしろ皆さんが安心して元号を元号として使えるようにするための対応なので、勘違いして特許庁さんを責めないようにしていただければと思います。

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「いきなり!ステーキ」とその「フォロワー」達。- 商標法による模倣防止の限界 –

今朝、駅に向かって歩いていたら、途中で新しいお店の工事をしていました。どんなお店ができるのかなと看板を見ると、「アッ!そうだステーキ」とあります。ん!?なんか見覚えあるような気が...。

(出典:チムニー株式会社「アッそうだ!ステーキ」ひたち野うしく店ウェブサイトより)

 

赤いビックリマークに「ステーキ」の文字から、「いきなり!ステーキ」を連想してしまいました。ネット検索してみたところ、オーダーカット方式&グラム単位の料金体系のステーキレストランだそうです。「いきなり!ステーキ」と同じ業態ですね。これは“寄せていった”感が!

そこで「いきなり!ステーキ」のウェブサイトを見てみました。あれ?ビックリマークがない!

(出典:株式会社ペッパーフードサービス「いきなり!ステーキ」ウェブサイトより)

 

ビックリマークだと思っていたのはロケットだったんですね。これまで気がつきませんでした。でも、サイト内のテキスト表示では「いきなり!ステーキ」とビックリマークが使われています。ロケットのイラストと「!」を併用していたんですね。だから「!」のイメージがあったのかと納得しました。

気になって「アッ!そうだステーキ」の運営会社を調べてみたら、なんとチムニー株式会社とあります。私は大学時代「居酒屋チムニー」に通い詰めていて、お店が「はなの舞」に業態変更するときも、最終日に“お別れ飲み”をしたくらい行きつけだったのですが、まさかこんな”寄せに行く”会社になってしまうとは!しかも、同社ウェブサイトで他の店舗名称を見てみたところ、「磯丸水産」ならぬ「豊丸水産」など、他にも”寄せに行った”店舗名称が見つかりました。ううむ。。。

 

<「いきなり!ステーキ」と「アッそうだ!ステーキ」は類似?非類似?>

でも、これらの店舗名称は商標的には「全然アリ」と判断される可能性が高いです。現在の商標審査運用ではこの程度の“寄せ具合”であれば非類似と判断されるはずです。

「いきなり!ステーキ」の運営企業、株式会社ペッパーフードサービスは、文字商標「いきなりステーキ」(ビックリマークなし!)を2件登録していて、うち1件は「飲食物の提供」というサービスを権利範囲とします(商標登録第5663544号「いきなりステーキ」第43類「飲食物の提供」他)。一方、チムニー社は商標出願中でした(商願2018-46251「アッそうだ! ステーキ」第43類「ステーキを主とする飲食物の提供」他)。

チムニー社の商標はまだ出願中で審査結果は出ていません。ですが、共通する「ステーキ」部分は「提供する飲食物」を意味するとして除外して「いきなり」と「アッそうだ」部分を比較しても、音や意味が大きく異なるので非類似と判断されるでしょう(商標全体で比較しても同様です)。「いきなり!ステーキ」が有名なことを考慮しても、両者を「区別するのが難しい程に」混同することはないと判断される可能性が高いです。そのため、チムニー社の商標はじきに登録されて、商標権が並存することになるでしょう。

 

<商標法による保護の限界>

このように、商標の類似範囲(特許庁や裁判所が類似と判断する範囲)は皆さんが思っているよりも“狭い”のが現状です。でもそれは商標の使用者側から見るからで、もしあなたが新規参入する側であれば「類似の幅が広すぎると困る」と思うはずです。

ただ、問題は商標法の範疇を超えたところにあるような気がします。両者はステーキレストランという料理のジャンルが同じだけでなく、オーダーカット方式やグラム単位の料金体系という具体的な業態までがほぼ同じなので、その分紛らわしくなっています。しかし、商標法ではこうした「具体的な業態」が酷似していることは考慮されにくいのです。

個人的には、新しい市場を創りだした先行者に報いるような制度であるべきでは?と思ってしまいますが、難しいところですね(それを商標法ですべきか否かも含めて)。飲食業界では、ある業態が流行すると同種の店が一気に増えることがよくあります。そのこと自体を問題視するつもりはないですが、店舗名称・レイアウトなども流行りの店に”寄せすぎる” のはさすがにやり過ぎじゃないかと思ってしまいます。でも、こうした「フォロワー」が出ること自体「流行っている証」でしょうし、後発であってもそれがよい店であれば、先行者であっても淘汰されるのが飲食業界の常なのかもしれません。

 

最後に、他に「いきなり!ステーキ」のフォロワーはいないかなと検索したところ、やっぱりありました。

(出典:株式会社モンテローザ「カミナリステーキ」ウェブサイトより)

 

なんと「カミナリステーキ」です!「魚民」や「山内農場」「俺の串かつ黒田」で有名な“フォロワー界の横綱”株式会社モンテローザによるオーダーカットのステーキ店だそうです。ロゴデザインは随分イメージが違いますが、「○○ナリステーキ」まで“寄せてくる”のはさすがだなと思いました。

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「COACH」と「高知」、うーむ…。- パロディと便乗の違いは?

以前、スイスの高級腕時計ブランド「FRANCK MULLER(フランク・ミュラー)」のパロディ商品「フランク三浦」の登録商標に対する無効審判とその取消訴訟が話題になりましたが、最近また、似たような(?)話が出てきているようです。

「ノンスタ・石田の投稿で話題の“高知の財布”、注文殺到中! 独自のSNS戦略にも注目」(@niftyニュース:2018年8月15日付)
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12184-42129/

概要は、アメリカの高級ブランド「COACH」と似たようなデザインの財布が「高知」ブランドで販売されているというものです。「高知」ブランドの財布を見ると、「COACH」の典型的な財布のデザインや色味と近く、同じ「コーチ」ということもあり「寄せていった?」と思わせる仕上がりです。

初のテレビ取材と話した内容について

この件を私が知ったのは、昨日、フジテレビの朝の情報番組「めざましテレビ」の方から取材依頼の電話を受けたことがきっかけです。夕方に電話取材して翌朝に放送したいとのことで、そのスピード感に驚きましたが、今朝放送された番組を見てさらに驚きました。この「高知の財布」を作った中島匠一さんご本人が登場してインタビューを受けていたからです。中島さんは「名前の面でもデザインの面でも『COACH』さんとは関係ない」とコメントしていて、その後に、私の電話取材が入り、商標の世界で言うと明らかに非類似であるとか商標権侵害となる可能性は低いなどのコメントが続きました。

ちなみに、私には中島さんを応援したり、彼の商売に”お墨付き”を与える意図もありません。あくまでも、「COACH」というブランド名と「高知」を比較して、さらに、「COACH」が使用するデザイン化された「C」の図形(商標)と「高知」の装飾文字(商標)とを比較すると、類似商標ということはできず商標権侵害が認められる可能性は低いだろうという見解を出したまでです。商標法にはこういったパロディ商品(に関する商標)について長く争われてきた歴史もあり、元ネタとなる商標とパロディ商標との「距離感」が問題となります。その点、今回のケースは侵害が認められる程に「近い」とまではいえない、と考えた次第です。

また、放送中で「問題となる可能性は低い」と、商標に限らず問題なし、と受け取られかねない言い方をしていましたが、この点も私の意図するものではありません。コメントは商標権侵害に関するものなので、他の法域でどういった問題が生じるか、道義的な問題はないのか、などの点には触れていません。放送で誤解を招きかねない流れになっていたので、念のため私の立場を明らかにしておきます。

なお、個人的にはこういう「パロディ商売」は好きじゃありません。パロディ化すること自体は別にいいとは思いますが、それを商売に利用した時点で、他人の褌を利用した「便乗商売」になるわけです。「面白いからOK」という風潮もあるようですが、だからって商売に利用するなよ、と思ってしまいます(あくまでも個人的な意見ですが)。

 

「専門家の見解」として出てしまうことの怖さ

いずれにせよ、こうしたテレビの取材を受けたのははじめてなので、いろいろ勉強になりました。電話の際は30分以上話しましたが実際に使われるところは一瞬であるとか、言葉遣いに細心の注意を払わないといけないことだとか、やってみないとわからないものですね。

ちなみにこの前、とある飲食業界絡みのポータルサイトから取材を受けて、その内容が記事になりました。こちらは最近精力的に関わっているトレードドレス(店舗内外装のデザイン)に関するものです。もしご興味あればご一読ください。

https://www.foods-ch.com/gaishoku/1531823446118/

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お前はどこの「きのこ」じゃ? – 「きのこの山」立体商標の登録を(個人的に)お祝いします –

去年は「カ~ル」が東日本で販売されなくなるという衝撃のニュースのせいでしばらく仕事に手がつきませんでしたが、その後通販でチーズあじ(昔は「チーズがけ」でしたよね)とうすあじの5個ずつパックが販売されているのを見つけてひと安心。お陰様で我が家には常にカ~ルがストックされていています。

さて本題ですが、ついに「きのこの山」の“あの形”が立体商標として登録されたというニュースが飛び込んできました!断然きのこ派の僕としてはうれしい限りです。(たけのこ?なにそれおいしいの?)

「『きのこの山』が立体商標に 『登録拒絶』乗り越え」(ITmediaビジネスオンライン:2018年5月10付)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180510-00000047-zdn_mkt-bus_all

記事によれば、2015年に一度出願したものの拒絶されてしまい、再チャレンジした結果だそうです。なんといっても発売から40年以上の大ロングセラーですから、この結果も当然ではないかと思います。

立体商標を登録する難しさ

本来、商標は文字や図形など平面的なものを対象としていましたが、立体物を商標として登録できるのが同制度の特徴です。立体物の表面に文字や図形などの「識別要素」があれば登録は簡単ですが、今回のような「形そのもの」を登録したい場合は一気にハードルが上がります。商標は物やサービスの出所を表す「識別標識」なので、識別できるものでないとダメなわけです。例えば、「どら焼き」といえば誰でも「丸く茶色いカステラ風生地の間にあんこが挟まっている形」をイメージすると思いますが、この形だけを手がかりとしてどこの商品か「識別」することは困難です。でも、表面に文字や図形の焼き印があれば、どこの商品なのかわかるようになるでしょう。

逆に言えば、焼き印のような「マーク」がないものを商標として登録するには、その形を見ただけでどこの商品だかわかる程度に知られていることが必要です(これを「周知性」といいます)。今回であれば、あの形を見て人々が「あ、きのこの山ね」とわかるかどうか、というハードルがあったわけです。

“知られている”ことをどう証明するか

記事には、明治さんが「きのこの山」の生産数、販売数、広告宣伝量などをとりまとめた意見書や首都圏と関西圏での認知度が90%以上であるという調査結果を提出したとあります。この「調査結果」(立体商標の周知性を証明するアンケート調査結果)が登録の成否を左右する重要なものといわれています。

それも、単に調査結果を出せばいいというものではなく、客観性が担保されているか非常に厳しい基準があります。過去に、ヤクルトの容器が形状のみの立体商標として登録されていますが、こちらも2度の商標出願を経て登録されていて、最初に出願したアンケートは質問内容に誘導する要素があったとして証拠採用されていません。2回目のアンケートでは誘導と考え得る要素が排除され、かつ、大学教授の鑑定意見(アンケート内容が適切である旨)も提出して、ようやく証拠採用されています。

こういった話を聞くと、よく選挙のときに投票所の前でやっているようなアンケートにどれだけ意味があるのか、ちょっと笑ってしまいます。僕も昨年の衆議院選挙でとある新聞社のアンケートを受けましたが、あまりに偏向した質問ばかりで驚きました。もしこんなアンケートを提出したらあっさり却下されるでしょう、笑。

さて、登録までのハードルは高いとしても、こうした登録事例が増えていくことで有名な商品がしっかりと保護を受けられるようになるのはよいことだと思います。個人的に「きのこの山」は定番としてずっと売っていてほしいものなので、メーカーさんが権利維持に頑張ってくれているのはうれしい限りです。No Moreカ~ル!

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「日本酒」に含まれるのはどこまで? – 商標における指定商品等の範囲について –

僕は結構お酒を飲むのが好きで、定期的に高校時代の友達や大学時代の仲間、新卒時代の同期や以前勤めた職場の同僚、交流のある弁理士の方々と飲んでいますが、年齢のせいか最近は翌日に響くことが増えてきました。特に日本酒を飲むと酔っぱらってしまって、翌朝「よく帰れたな」と思うことも多いです。なので翌日に大事なことがあるときは、我慢して「ビールと酎ハイだけ」としています。でもやっぱり、お刺身やお寿司のときは日本酒を飲みたくなりますよね。お寿司をつまみながら日本酒を飲んでいると「あぁ、日本人で本当によかった」と思います。

さて、今日付で特許庁から「日本酒」に関するこんなアナウンスが出ました。

「指定商品・指定役務の表示中に「日本酒」を含む商標登録出願の取扱いについてのお知らせ」(特許庁:2018年4月13日付)
http://www.jpo.go.jp/seido/shohyo/seido/bunrui/nihonshu.html

「日本酒」の定義が狭くなる背景

要は「日本酒」という指定商品が含む範囲が狭くなりますよ、というものです。

なお、ここでいう「地理的表示」とは、いわゆる農林水産省による地理的表示保護制度とは別のもので、国税庁が「酒類の地理的表示」として認定(指定)しているものです。例えば、単式蒸留焼酎について「壱岐」「球磨」「琉球」「薩摩」が、清酒について「白山」などが登録されていて、2015年 12 月に国レベルの地理的表示として「日本酒」(清酒)が指定されています。

「酒類の地理的表示」における「日本酒」の定義は、「原料の米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒」とあり、これに該当しない清酒は「日本酒」と名乗ってはいけないことになりました。そういえば何かのテレビ番組で、とある国で現地産の米を使った「日本酒」が出てきた、というニュースを見た記憶があります。そうした商品との差別化を図る目的もあるのでしょう。外国産のものが悪いとは思いませんが、日本産のものとは違いますよ!という「区別」は必要だと思います。シャンパンとスパークリングワインと同じように考えればわかりやすいのではないでしょうか(実際、あまり美味しくないシャンパンもおいしいスパークリングワインもありますからね)。

 

「日本酒」の定義から外れるものは?

前置きが長くなってしまいましたが、2015年12月以前は、商標の世界で「日本酒」という言葉は広めに定義されていて、「清酒、合成清酒」だけでなく「泡盛、焼酎、日本産以外の清酒、白酒、直し(みりんに焼酎を加えたものだそうです)、みりん」等も含まれていました。これが2015年12月に「日本酒」が「酒類の地理的表示」とされたことを受けて、商標出願中に指定商品「日本酒」が含まれていた場合、その内容を明確にするよう拒絶理由が通知されるようになりました。つまり、「日本酒」の表示を認めずに、「泡盛、合成清酒、焼酎、白酒、清酒、直し、みりん」や「濁酒」のうちの必要なものを具体的に記載する補正をすることが求められていました。

しかし今回のアナウンスで、今後は「日本酒」を指定した場合、「地理的表示の表示基準を満たした日本酒」と理解しますよ、という運用になります。その結果、「日本酒」という表示は認められますが、それに「泡盛、合成清酒、焼酎、白酒、日本産以外の清酒、直し、みりん」や「濁酒」は含まれないことになり、出願後に補正することもできなくなるので注意が必要です。

商標の世界では、権利範囲は指定した商品・役務(サービス)が基準となるので、こうした権利範囲に直接影響する運用変更はとても重要です。業界の方々はぜひお気をつけください。

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プライムワークス国際特許事務所 弁理士 長谷川綱樹

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劇的に早く商標登録する方法~早期審査制度を解説~

早期審査とは

商標登録したいと思っても、通常は出願手続から登録までおよそ7ヶ月(一次審査結果の通知までの期間は約5ヶ月)はかかってしまいます。最近はさらに数ヶ月時間がかかっているケースも少なくないようです。そんなには待っていられない、すぐにでも登録の必要があるといった事情を抱えている方のために早期審査制度という制度があり、この制度を利用することにより、3ヶ月以上登録までの期間を短縮することができます。

また、特許庁は2017年2月に早期審査の対象案件を拡大し、早期審査が受けやすくなりましたので、それほど緊急な事情が無い場合でも早期審査の適用を受けることができるかもしれません。

早期審査対象案件の拡大

特許庁は、昨年、ライフサイクルの短い商品・役務を扱う事業者等の早期権利化の要請に応えるため、「一部の商品について既に使用している又は使用の準備を相当程度進めており、かつ、類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみを指定している出願」等を早期審査の対象に加えました。

これにより、早期審査の利用者は大きく増加し、2016年では早期審査を申請した出願案件が2,210件だったのに対し、2017年にその数は3,447件になりました。

早期審査の対象となるための条件

拡大した対象案件を含め、どのような案件が早期審査の対象となるかまとめてみました。

指定商品・役務を使用していて、権利化について緊急性がある出願

既に使用している場合だけでなく、相当程度使用の準備を進めている場合も大丈夫です。使用の主体は出願人だけでなくライセンシー(使用を許諾した第三者)でも許容されます。

権利化についての緊急性は、以下のような場合です。

  • 第三者がその商標を勝手に使用している場合・・・この場合は早く権利化して、権利行使を行う必要があります。
  • 逆に、第三者から警告を受けている場合、つまり、別の商標権者から権利侵害だと言われている場合・・・権利侵害でないことを主張するためには、自分の商標を登録するのが一番です。なぜなら、特許庁の審査において、第三者の登録商標と自己の商標が非類似であることが証明されるからです。
  • 第三者から使用許諾を求められている場合・・・その商標を登録した方が、ライセンシーも安心ですし、その価値も上がるためライセンス料も高く設定できます。
  • マドプロ国際出願や日本以外の国外に出願している場合・・・マドプロ国際出願では国内の基礎出願が拒絶されると、マドプロ国際出願も失効してしまいますので、早期に審査結果を知りたいとの要請があります。マドプロ国際出願以外でも、国内で商標登録できない場合は、別の商標で国内・国外の出願をやり直すことも考えなければいけないので、同様に早期に審査結果を知りたいとの要請があります。

使用している商品・役務だけを指定している出願

①のケースとの違いは、①のケースが一部の商品・役務の使用又は使用の準備の証明で要件が満たされることになりますが、このケースでは、全ての指定商品・役務について使用又は使用の準備の証明が求められることです。

指定商品・役務を使用していて、指定商品・役務が類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみである出願 【新設】

この場合、一部の商品・役務の使用又は使用の準備の証明で要件が満たされることになります。また、指定商品・役務が類似商品・役務審査基準等に掲載されていれば、指定商品・役務に対する審査負担が軽減されますので、早期審査の対象に追加するとの判断になったようです。

早期審査制度活用のポイント

早期審査制度を活用するうえで一番のポイントは、上記3番目の「指定商品・役務を使用していて、指定商品・役務が類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務のみである出願」が早期審査の対象となったことから、各段に利用しやすくなったことです。類似商品・役務審査基準等に掲載されている商品・役務だけの指定であっても、基本的には類似群コードを基準に商標権の権利範囲が定められる日本の商標実務においては、ほとんどデメリットはありません。

したがって、一部の商品・役務を既に使用するか、使用の準備をしていることを証明できれば、早期審査制度を利用できることになります。

これから行う出願に早期審査を利用できるかもしれません。皆様も早期審査制度を活用してはいかがでしょうか。

プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

 

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これで根絶できることを期待。 -他人が商標を出願している件について(ほぼ)完成版 –

大量出願人(U氏という個人とB社という法人)が、世の中で話題になった言葉を勝手にかつ大量に商標出願している件を採り上げていますが、ついに決定的な対策が出てきた模様です。

「「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」(経済産業省:2018年2月27日付)
http://www.meti.go.jp/press/2017/02/20180227001/20180227001.html

※新旧対照条文:http://www.meti.go.jp/press/2017/02/20180227001/20180227001-6.pdf

経済産業省のニュースリリースには「商標出願手続の適正化」としか言及されていませんが、商標法の改正で地味に重要なことをしています。今回の改正で下線部分が追加されるようです。

・商標法第10条1項

商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。

これらの大量出願人は出願手数料を支払わずに、片っ端からあらゆる言葉を商標出願しています。出願費用を払っていないからこそできるやり方といえます。

そこで特許庁は、手数料を払っていない商標出願をどんどん却下していましたが、大量出願人側が出願の分割を繰り返していたため、彼らの出願はいつまでたっても減りませんでした。「出願の分割」とは、出願の一部を切り分けて別の出願とする手続です。分割しても出願日が最初の出願のままなので、後から本来取るべき人が商標出願したとしても、大量出願人の出願がずっと残ってしまって問題となっていました。

そこで特許庁は、出願手数料を納付していなければ出願の分割が認められないという運用に変更するという荒技を出してきました。これにより、仮にあなたの商標を大量出願人が勝手に出願したとしても、ご自身で商標出願を行って、大量出願人による出願が却下されるのを待つだけでよくなります。大量出願人による出願が却下されれば自身の商標出願が最先の出願になり、しかも彼らが出願を分割しても出願日の遡及が認められなくなるためです。

勘のいい方は、「じゃあ大量出願人が出願手数料を払ってしまった場合はどうなるの?」と思ったでしょうが、特許庁もぬかりありません。その場合もしっかり“網にかかる”ように運用が変更されています。

「商標審査便覧の改訂のお知らせ」(特許庁:2018年3月19日付)
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/h30-03_oshirase_syouhyoubin_kaitei.html

「商標診査便覧:41.100.03 商標の使用又は商標の使用の意思 を確認するための審査に関する運用について」https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyoubin/41_100_03.pdf

本来、商標登録はそれを使いたい人に認められるもので、使うつもり(使用意思)がなければ登録は認めない、という基本的な考え方があります。そこで特許庁は、「これだけ多くの商標出願をしていて、それら全部を使用するつもりの(=意思がある)わけない!」という考えの下、大量出願人による商標出願はまとめて拒絶することができるように運用を変更しました。具体的には、下記の要件を満たす場合は出願が拒絶されます(根拠条文:商標法3条1項柱書)。

(ア)出願人の過去の出願件数から、一出願人が自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標としては、到底想定し得ない多数の出願を行っている(概ね年間1000件以上)

(イ)ウェブサイト、報道等から商標の使用及び使用の意思があることが確認できない(例:出願人のウェブサイトによれば、出願人は、もっぱら商標の売買や使用許諾を行っている事実が認められる等)。

実際、彼らが膨大な数の商標に関する事業を行っているはずはなく、使用意思を主張立証することは困難です。これらの対策によって大量出願人の商標出願は軒並み拒絶されることでしょう。さて、これにより特許庁が勝利するのか、それとも彼らが新しい”抜け穴”を見つけて逆襲するのか、これからも見守っていこうと思います。

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