【2026年版】中小企業・スタートアップ向け減免制度の活用ガイド

自社の技術やアイデアを守るための特許出願は、事業競争力を高める上で重要性が高い取り組みです。一方で、特許庁へ支払う手数料等のコスト負担が課題となるケースも少なくありません。
特許庁では、技術開発を促進するため、一定の要件を満たす中小企業やスタートアップ等を対象に、特許やPCT(特許協力条約)国際出願にかかる料金の減免措置を実施しています。本記事では、2026年4月版の最新情報に基づき、制度の概要と活用のポイントを解説します。

1. 減免の対象となる費用

特許庁の減免制度を活用することで、審査や権利維持に関わる主要な費用を抑えることが検討されます。対象となる主な費用は以下の通りです。

  • 出願審査請求料
  • 特許料(第1年分から第10年分まで)
  • PCT国際出願に係る手数料(送付手数料、調査手数料、国際出願手数料、予備審査手数料、取扱手数料など)

※PCT国際出願に係る手数料については、日本語で出願をする場合に対象となります。

※注1:出願審査請求料
特許を出願した後、特許庁の審査官に実体審査を依頼する際に支払う手数料です。
※注2:特許料
審査を通過し、特許権として登録・維持するために1年ごとに支払う費用(年金)です。
※注3:PCT国際出願
1つの出願手続きで、複数の加盟国に対して同時に出願したことと同じ効果を得られる国際的な特許出願制度です。

2. 対象者の区分と減免の割合

企業の規模や設立年数、所在地等の要件によって、適用される減免率が「2分の1」「3分の1」または「4分の1」に分かれます。

3. 実務上のメリットと留意点

本制度を利用する上で、手続きの簡素化が進んでいる点は企業にとって実務上の利点となります。

証明書類の提出が不要
中小企業等の皆様が特許料や出願審査請求料の減免申請を行う際、証明書類を提出する必要はありません。出願審査請求書や特許料納付書の【手数料に関する特記事項】や【特許料等に関する特記事項】の欄に、「減免を受ける旨」及び「減免申請書の提出を省略する旨」を記載するだけで手続きが完了します。

件数制限に関する留意事項
令和6年(2024年)4月1日施行の減免制度の改正により、特許出願の審査請求料の減免制度について、一部件数制限が設けられています。制度を利用するにあたり、以下の具体的な制限内容に留意が必要です。

  • 対象となる手続きと費用: 制限の対象は「出願審査請求料」の減免申請です。特許権を維持するための「特許料(第1年〜10年分)」については、件数制限の対象外となります。
  • 制限を受ける対象者と上限件数: 「中小企業」等の区分に該当する場合、申請人ごとに1年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)あたり「180件」が上限となります。
  • 上限が設けられない対象者: 「小規模企業」や「中小スタートアップ企業」の区分に該当する企業等については、減免の件数上限は設けられていません。

出願件数が年間180件を超える可能性がある企業におかれましては、自社が制限の対象区分に該当するかどうか、予算計画の段階で事前に確認することが推奨されます。

4. まとめ

本記事では、特許庁が実施している中小企業・スタートアップ向けの特許料等の減免制度について解説しました。一定の要件を満たすことで、出願審査請求料や特許料(第1年分から第10年分)、PCT国際出願手数料の負担が「2分の1」から最大「4分の1」に軽減されます。
また、申請時に登記簿謄本などの証明書類の提出が不要となっており、願書等の特記事項への記載のみで手続きが完了するため、実務上の負担も大きく軽減されています。一方で、令和6年(2024年)4月からは審査請求料の減免に一部件数制限が導入されているため、利用にあたっては留意が必要です。自社がどの区分に該当するか要件を確認し、知財予算の最適化にお役立てください。


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