衆議院が28日に解散しました。安倍首相としては来年の任期満了の期間までの間で最も自民党が優位に選挙戦を戦える時機を図ったのでしょうが、国民にとっては寝耳に水の安倍首相の決定でした。
小池新党の体制が整わないうちに選挙を行ってしまえ、というのが、この突然の解散の大きな意図だったかと思うのですが、ところが、すぐさま小池都知事も反応し、「希望の党」の立ち上げを発表しました。民進党の合流や他の野党の動きも含め見応えのある選挙戦になりそうです。
「希望の党」
ところで、小池都知事が「希望の党」と発表する前、小池新党がどのような名称になるかが話題になっていました。しかし、実はこの名称はとっくの前の今年の2月には決まっていたようです。
希望の党、2月に商標出願「誰かに取られる…」(毎日新聞)
記事によれば、今年の2月に「希望の党」は小池都知事の政治塾の名称「希望の塾」とともに商標登録出願されていたのです。
特許情報プラットフォーム(J-Plat-Pat)で、出願人「小池百合子」の条件で検索すると、確かに、「都民ファーストの会」「希望の塾」とともに「希望の党」がすでに登録されていました(いずれも指定商品の区分は第16類、41類、42類)。
党名の商標登録
では、他の政党は党の名称を商標登録しているのでしょうか?現在の衆議院の会派登録されている政党について、名称が商標登録されているか調べたところ、自民党、日本共産党、社会民主党は商標登録していないようですが、その他の各党は何らかの商標登録を行っているようです。
政党 | 商標 | 区分 | 登録日 |
---|---|---|---|
民進党 | 民進党 | 16,41 | 2016/12/02 |
公明党 | ![]() |
9,14,16,26,41 | 2012/02/17 |
日本維新の会 | 日本維新の会 | 16,30,41 | 2016/11/11 |
自由党 | ![]() |
16,41 | 2017/03/10 |
政党が商標登録する意味
国政政党の政党名ともなれば、商標登録されていなくとも使われていれば、選挙や国会などの政治活動によって全国的に周知になるので、第三者はその政党名を商標登録するのはかなり困難になります。しかしながら、周知になる前に悪意、もしくは何らかのかたちで便乗しようとする第三者が出願した場合、商標登録出願は、早いもの勝ちなので、後から登録できないということが起こってしまいます。使用するのにもその商標権者の承諾を得なければならず、現実としてその政党名を採用するのは難しくなるでしょう。なので、新しく設立される政党名については先に商標登録をしておいたほうが安全でしょう。
過去には、商標「日本維新の会」をドクター中松(中松義郎)氏が出願した事件がありますが(最終的には拒絶)、ドクター中松氏は今回も、「国民ファースト党」「日本ファースト党」「国民第一党」の出願を行っています。また、他人の商標を先取りするような大量の商標出願をすることで有名なベストライセンス社は、「民進党」「日本共産党」「社民党」など既存の政党、もしくはそれに類似する名称の出願を26件持っています。
商標「希望の党」は9月初めには商標登録され、名称で面倒なトラブルになることは避けられました。リスクを事前に回避していた小池都知事の手腕が優れていたといっていいでしょう。
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