あなたの商標権、「アップデート」していますか?:更新か再出願か、商標権の見直しを検討するタイミング

商標権の見直しを検討するタイミング

商標権は、登録後10年ごとに更新することができ、更新を続けることで半永久的に権利を維持できます。これは、権利期間が決まっている特許権や意匠権にはない、商標権独自のメリットです。しかし、単に更新するだけでは、貴社のビジネスを十分に守りきれない場合があります。

事業内容に変更はありませんか?

例えば、商標登録の後に新規事業を立ち上げたり、逆に一部の事業を終了したりしてはいませんか?その倍、事業を終了した範囲はまだよいのですが、新規事業について、商標権で保護されていない可能性があります。現在行っているビジネスと登録されている権利範囲(登録されている指定商品・役務(サービス)の範囲)とがズレてしまっている状態です。例えば、自身のブランドが人気となって、取扱い商品が増えた場合などが典型的なケースです。

商標権をそのままにしておくと…

商標権の効力範囲は、登録した内容(商標登録時に指定されている商品やサービスの範囲)以外に及ばず、商標登録の範囲を後から追加・拡大することもできません。新規事業の分野について保護を受けるには、新たに商標を出願する必要があります。
もし、何もせずに新規事業の分野で商標を使い続けていると、誰かしらがその分野で同一類似の商標を登録してしまうリスクを放置することになります。誰かに商標登録されてしまうと、最悪の場合、自社が商標権侵害に問われてしまう可能性もあり得ます。

更新前は絶好の「アップデート」タイミング

商標権の更新時期は、事業内容と権利範囲が合っているかを見直す絶好のタイミングです。
• 新しい商品やサービスを始めていないか
• もう扱っていない商品・サービスが商標権に残っていないか
• 使用している商標と登録商標は同じものか(どこに違いがあるか)
これらをチェックし、必要があれば新たな分野での商標出願を検討しましょう。具体的には…

「更新期限の2年前」がおすすめ

商標権を更新するか、それとも再出願するかを検討するタイミングは、「更新期限の2年前」頃が適しています。
その理由は、もし再出願を選択した場合、新たな商標出願が登録されるまでに通常1年程度かかるためです。仮に、更新期限ギリギリで再出願を決めた場合、再出願した商標が登録される前に、現在の商標権の更新期限が到来してしまうおそれがあります。
この場合、商標権を切らさないためにやむを得ず「登録済商標の更新」と「新しい商標の出願」の両方を行う場合もあるでしょう。コストが二重に発生してしまうのはもったいないので、早めに確認を始めるのがよいです。

権利範囲だけでなく「商標」(マーク)も確認を

「更新期限の2年前」とは、商標登録から8年が経過しています。となると、事業範囲だけでなく、商標の構成や色が、出願当時と異なっていることもあり得ます。会社のロゴの色が変わっている、コーポレートスローガンが併記されるようになった(または外された)、などなど、登録商標と使用商標の間にズレができてしまうこともあります。せっかくのタイミングなので、この商標について、社内で「どのように使用されているか」を洗い出して、どのような商標権が必要なのかを改めてチェックするのがよいでしょう。

更新するか再出願するかを判断

ということで、実はこのタイミングで検討することは、商標の新規出願の場合とほとんど変わりません。どのような商標を何について使用しているか、「商標」×「使用範囲」を確認して必要な権利範囲を確定するという点は共通しています。今回は、それに加えて「このまま更新で問題ないか」「再出願しないとリスクがあるか」を検討・判断する程度です。むしろ、適切な保護を得られるように「商標権をアップデートする」重要な機会と考えてみてください。

商標権の「アップデート」はぜひ弁理士にご相談を

実際にこの手続を行われている方は少ないですが、安全な事業継続に役立つので、ぜひ皆さんに取り入れてほしいと考えています。とはいえ、使用商標の確認や権利範囲と使用範囲の照合など、事業者の方々にとってなかなか難しい(面倒な)作業ではないかと思います。

そこで、商標権の「アップデート」には、ぜひ弁理士をご活用ください。
ご相談を頂ければ、現在の事業内容や商標の使用状況、過去からの変更点などを丁寧に確認した上で、貴社のビジネスに最適な再出願プランや、今後の商標管理戦略をご提案します。
場合によっては、すでに必要なくなった商品やサービス(役務)を登録から除外することで、商標登録の区分数を減らし、更新や再出願にかかる費用を削減できる場合もあり得ます。再出願しないとしても、この手続は有益なのです。

商標権は、ビジネスの変化に合わせて柔軟に見直すことが大切です。
ご不明な点やご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。プライムワークスは、最適なご提案で貴社のブランドとビジネスをしっかり守るお手伝いをします。

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この記事を書いた人

長谷川 綱樹

長谷川 綱樹

30歳になるまで、知財とは全くの別分野におりましたが、一念発起して弁理士となり、商標専門で現在に至ります。 そのせいか、法律よりも「人の気持ち」のほうに興味があります(いいのか悪いのかわかりませんが)。 商標は事業活動と密接に関係していて、関わる人々の「気持ち」が大きく影響します。「気持ち」に寄り添い、しっかりサポートできる存在でありたいと思っています。 出願案件では「取得する権利の最大化」を目指して、商標のバリエーションや将来の事業展開の予定など、丁寧にお話を伺います。 係争案件では「いかに円満に解決するか」を重視して、目先の勝ち負けだけでなく、将来的な問題解決を意識して対応して参ります。