人工知能チャットボットであるChatGPTを提供していることで話題の米OpenAI社がChatGPTを含む自社のブランドイメージを統一するため、新しいブランドガイドラインを公開しました。ロゴマークやその利用方法、また「ChatGPT」などの文言の利用についての注意点が記されています。
ガイドラインの内容
ガイドラインではたとえば、以下のように示されており、
Do: | Don’t: |
Written with ChatGPT Caption written with ChatGPT Created with DALL·E Image created with DALL·E | Written by ChatGPT Caption written by ChatGPT Created by DALL·E Image created by DALL·E |
「○○GPT」のように「GPT」の文字を一体化した製品・サービス名を使用することは推奨されておらず、「○○ powered GPT-4」(GPT-4を搭載した○○)といったように米OpenAI社が提供するサービスを分離して明示したうえで、自社の製品・サービス名を表示することを推奨しています。
また、米OpenAI社が提供するプラグイン、モデルを利用する場合も、サービスを分離して明示したうえでバージョン名も含めた正確な表示が推奨されています。
ChatGPTを使用して作成された文章や画像について、必ずしも「ChatGPT」の表記を求めていないものの、必要に応じて表記する場合は、のように「~ by ChatGPT(ChatGPTによって~)」ではなく「~ with ChatGPT(ChatGPTを使って~)」と表記することが求められています。
米OpenAI社の商標出願・登録の状況
米OpenAI社は日本では以下の出願を行っており、現在審査中です。
出願番号/登録番号 | 商標 | 区分 | 出願日 | 登録日 |
登録第6690200号 | DALL・E | 9,42 | 2022/12/28 | 2023/4/14 |
商願2023-013916 | GPT | 9,42 | 2023/2/13 | |
商願2023-020373 | WHISPER | 9,42 | 2023/2/28 | |
商願2023-024842 | OPENAI | 9,42 | 2023/3/9 | |
商願2023-026713 | GPT-4 | 9,42 | 2023/3/14 |
「GPT」と「GPT-4」については、これらの出願が指定する商品・役務(第9類、第42類)と抵触する範囲で先行商標はないようですので、無事登録できるのではと思います。
他社のGPT商標も乱立
調べたところ(2023年5月1日現在)、米OpenAI社と抵触する範囲で、以下のように米OpenAI社の他にも「GPT」を使った商標出願が乱立しているようです。従来の商標審査では「GPT」と何らかの識別力のある語を結合すると非類似となって審査が通る可能性が高いと思うのですが、いまや「GPT」は世界的な著名商標になりつつありますので、他社の結合商標は米OpenAI社の商標と混同を生じるため登録できない(商標法第4条第1項15号)との判断がされる可能性が高いと思います。
商標 | 区分 | 出願人 | 出願日 |
SmartGPT | 42 | 碩網資訊股▲ふん▼有限公司 | 2023/01/06 |
GPT4TEAM | 35, 42 | Otsumu株式会社 | 2023/02/01 |
ChatGPT | 9,42他12区分 | 上田 育弘 | 2023/02/14 |
GPT | 9,42他12区分 | 上田 育弘 | 2023/02/14 |
managpt | 42 | Otsumu株式会社 | 2023/02/24 |
Y4GPT | 9 | 株式会社Y4.com | 2023/03/14 |
まとめ
米OpenAI社の出願だけでなく、これら他社の出願が登録されるのか否か特許庁の判断がどうなるか興味深いところです。