外国で意匠権を取得したい場合、各国別に意匠出願を行い、意匠登録を行わなければいけません。これは権利の効力は各国の領域にのみ及ぶという考え方(属地主義)をとっていることが理由です。ですので、各国でそれぞれ現地代理人費用などがかかってしまい、複数の国で意匠登録したい場合、コストが大きな問題となってしまいます。
国際意匠登録出願
そこで利用したいのが国際意匠登録出願(ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際出願)です。各国で異なる手続や言語を経由しなくとも、スイスにある国際事務局に国際登録をすることによって、それぞれの国に簡単に意匠権を得ることができる国際的な仕組みです。

国際意匠登録出願を使う場合、現地代理人を通じずに手続をとることができるので、現地代理人費用を削ることができるのが大きなメリットとなります。
メリット・デメリット
海外で意匠権を取得する場合は、いつも国際意匠登録出願を使えばいいんでしょうか?以下のようなメリット・デメリットがあります。
利用できる国が限られている
国際意匠登録出願はハーグ協定という国際協定の締約国にしか利用することができません。たとえば、中国は締約国ではありません。しかし、アメリカ、欧州、韓国、シンガポール、ベトナムなどは加盟国で現在73ヶ国・国際機関が締約しています。
締約国一覧(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/system/design/hague/hague_ichiran/document/index/members.pdf
日本もまとめて出願できる
日本も締約国ですので、意匠登録したい国(指定国)に日本を含めて、他の国とまとめて出願手続が可能です。
コストメリット
上述したように各国の現地代理人費用がかかりませんので、コスト的にメリットがあります。特許事務所によって手数料はかわりますが、弊所の場合、1意匠3ヶ国出願で20万円以上コストを抑えることができます。
各国の審査における応答は現地代理人を指定する必要がある
意匠の国際登録が完了すると、各商標登録出願は各国の審査に付されます。審査で何事もなく登録となった場合は問題が無いのですが、審査官から拒絶または補正指示などの通知(局通知)が来た場合、その応答は現地代理人を通じて行う必要があり、当初の見積り以上にコストが発生する場合があります。
最後に
国際意匠登録出願では更新手続や名義変更手続きも一括でできるため、管理コストという面でも非常にメリットがあります。ですので、国際意匠登録出願を使うか個別出願にするかよく検討し、また、弁理士などの専門家によく相談し、賢く海外で商標権を取得しましょう。
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