昨日、ある依頼人の方から問合せがありました。概要は、出願している商標について振込を求める書面が届いたそうで、ご自身で調べたところ、振り込め詐欺のようなもののようなので、念のため確認してほしい、というものでした。ちなみに、実際の書面は以下のとおりです。
外国出願案件を取り扱っていると、時々、同様の問合せを受けることがあります。これは、外国の登録機関のフリをした外国企業が公報(と称した冊子や電子媒体)に商標を掲載するから、その費用を支払うように、という請求書です。もちろん、実際に商標出願等をした外国の特許庁や公的機関から、こういった書類が送られてくることはありません。
実際、こうした悪徳業者はたくさん存在していて、特許・商標の国際出願業務を行っている世界知的所有権機関(WIPO)でも、下記のような注意喚起を行っています。
「ご注意ください:WIPO国際事務局以外の者からの手数料請求書について」(WIPOウェブサイト)
http://www.wipo.int/pct/ja/warning/pct_warning.html
数多くの業者がありますが、特に目を引くのが、2014年12月17日の「WIPO」(World Intelligent Property Office)ですね。実際のWIPO(世界知的所有権機関)は「World Intelligent Property Organization」なので、これは紛らわしいです。しかも、住所もウェブサイトアドレスもほぼ同じなので、弁理士等外国出願業務をしていない方が見破るのは、なかなか難しいかもしれません。
ちなみに、こうしたレター・DMが正しいものか否かを判断する方法ですが、弁理士等に依頼して商標出願した件であれば、直接出願人・商標権者に送付されたものはそのほとんどが業者からのDMです。というのも、現地登録機関とのやり取りを代理するために弁理士等がいるわけなので、それ以外の経路から来るものは、オフィシャルではないものがほとんどということです。
ただ、過去には、WIPOが誤って出願人に直接レターを送付してしまったこともありましたが、そのレターも請求書ではありませんでした。いずれにせよ、外国からよくわからない書類が届いた場合には、遠慮なく担当弁理士に相談してください。手続全般について依頼人に安心してもらうことも、弁理士が代理する意味であり、我々の大事な仕事の一つと考えています。