「特許を出願したけれど、審査結果が届くまでにどれくらいかかるのか?」
これは、新製品のリリースや事業展開を控えた経営者・開発者の方々にとって気になる関心事の一つでしょう。
2026年現在、日本の特許庁(JPO)は世界トップクラスの審査スピードを維持していますが、最新の統計(ステータスレポート2025等)を見ると、「通常審査」と「早期審査」の間には審査期間に大きな差があります。
今回は、最新データをもとに現在の審査期間の実態と「早期審査」の活用法を解説します。
1. 最新統計:特許の「待ち時間」は今どうなっている?
特許庁が発表した最新の統計データによると、現在の平均的な審査期間は以下の通りです。
審査期間の最新データ(2024年実績ベース)
| 区分 | ファーストアクション(FA)期間 |
| 通常審査 | 約 9.1 か月 |
| 早期審査 | 約 2.3 か月 |
| スーパー早期審査 | 約 0.8 か月 |
ファーストアクション(FA)期間は、出願人が審査請求(または早期審査、スーパー早期審査の申請)をしてから、審査官による最初の審査結果(拒絶理由通知または特許査定)が届くまでの期間です。
近年の傾向として、特許出願件数は微増傾向(2024年は約30.7万件)にあり、審査官の負担は高まっています。特許庁は「権利化までの期間を14か月以内」に維持する目標を掲げていますが、通常審査では最初のアクションまで9ヶ月程度かかるのが実情です。
2. なぜ「早期審査」が重要なのか?3つの経営的メリット
通常審査の順番を待たず、優先的に審査を受けられる「早期審査制度」。これを利用することにより、事業の優位性を高めることができます。
① 競合他社への「牽制」が早く効く
特許は成立して初めて排他権を発揮します。早期審査で早く権利化できれば、競合他社の類似製品に対し、早い段階で警告やライセンス交渉を行うことが可能になります。
② 技術力の信頼を獲得
スタートアップや中小企業にとって、「特許出願中」と「特許査定受領済み」の差は他者からの評価に影響を与えます。早期に権利を確定させることで、企業の技術力を早く公的に証明できます。
③ 外国出願の判断材料になる
「パリ優先権」を利用して外国へ出願する場合、国内出願から1年以内に外国へ出願するかどうかを判断する必要があります。早期審査を利用して国内の審査結果を早めに知ることで、「日本で通る見込みがあるから米国にも出す」といった効率の良い外国戦略が立てられます。
3. 早期審査を利用するための条件と手続き
早期審査の利用には一定の要件が必要ですが、多くの日本企業にとって、そのハードルはそこまで高くありません。
早期審査の対象となる出願の例:
o 実施関連出願: 早期審査申請から2年以内に生産開始を予定している場合など。
o 外国関連出願: 日本だけでなく、外国(米国や欧州など)にも出願している場合。
o 中小企業・個人・大学等の出願: 中小企業等による出願の場合。
注釈:スーパー早期審査とは?
「実施関連出願」かつ「外国関連出願」の両方を満たすなど、特に重要な出願に対して適用されるものです。
4. 知財戦略のポイント:スピードを武器にする
2026年の知財実務において、「いかに早く適切なタイミングで権利化するか」は重要な要素の一つです。
• 予算の最適化: 全ての出願を早期審査にする必要はありません。主力製品に関わるものなど、重要な出願について優先的に活用しましょう。
• 拒絶理由への即応: 早期審査を利用すると、特許庁からの通知への回答期限も早くなる場合があります。弁理士とのスムーズな連携が重要となります。
まとめ:スピード感のある知財活動が事業を守る
特許庁の審査期間は安定していますが、通常審査では待ち時間が発生します。ビジネスを加速させるために早期審査制度を戦略の一部として利用することが重要であると言えます。

