03-6826-5161

プライムワークス国際特許事務所
無料電話相談受付中

ニュース

アディダスvsプーマ~ストライプ商標の戦い~

執筆者 : 木村純平

世界的スポーツブランドのアディダスが、プーマ・ノースアメリカが販売する側面に4本線ストライプがデザインされたサッカー用のスパイクシューズについて、自社の商標権を侵害しているとして、同社に対し販売差し止めを求める提訴を行ったとのニュースが入ってきました。

アディダス、商標権巡り米プーマを提訴 「ストライプ」を問題視(Forbes JAPAN)

http://forbesjapan.com/articles/detail/15338

アディダスの3本線ストライプといえば、スポーツシューズだけでなく、同社のほぼ全ての商品にそれをモチーフとしたロゴが使用されているなど、アディダスのブランドイメージの中心となるものです。ちなみに、現在使用されている、3種類のロゴも全て三本線ストライプをモチーフとしたロゴです。

日本の裁判例

アディダスの3本線ストライプが商標権の紛争となったのはこれが初めてではありません。日本でも比較的最近4本線ストライプの商標登録に対し、アディダスが無効を申し立てた事案が存在します。

その内容とは、株式会社ニッセンホールディングスが出願・登録した4本線のストライプからなる商標に対し、アディダス社が無効審判を提起したものですが、審判ではアディダス社の主張は認められなかったものの、審決取消訴訟において、裁判所は指定商品(「履物,運動用特殊靴」)の取引実情等を総合勘案すると、本件商標を指定商品に使用したときは、当該商品がアディダスの業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるとして、本件登録の無効を認めました。

(本件商標)

知財高判平成24年11月15日(平成23年(行ケ)第10326号)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/728/082728_hanrei.pdf

商標としてのシューズデザイン

この判決の是非は別として、アディダスはこの3本線ストライプを採択時から単なるデザインとしてだけでなく商標として認識していたのでしょうか?どうやら、創始者であるアドルフ・ダスラー氏はこの極めてシンプルな3本線ストライプを商標として強く認識していたようで、設立の翌年の1949年に「adidas」の文字上に3本線ストライプのスパイクシューズの図形を配したロゴが商標登録され、使用されるようになりました。また、その後、1951年にフィンランドのスポーツブランドKARHUより3本線(スリーストライプ)の登録商標の権利譲渡を受けています。そして、その後、3本線をモチーフとした「トレフォイル(三つ葉のロゴ)」(今は「Originals」というブランド名で使用されています。)、「アディダス スポーツパフォーマンスロゴ」(3本線で山型を形成したロゴ)を用いて世界的なブランド価値を高め続けています。

ちなみに、アドルフ・ダスラー氏のお兄さんが創業したプーマのフォームストライプは、1958年のスウェーデンワールドカップで供給された競技用スパイクに初めて採用されたもので、ナイキのスウッシュ (Swoosh)と呼ばれるロゴは1971年に商標登録されています(ナイキの創業は1964年)。日本の誇るスポーツシューズブランドであるアシックスの「アシックスストライプ」は、1966年にメキシコオリンピック向け商品に初めて採用されています(アシックスの創業は1943年)。

デザインの商標的価値

商品の優れたデザイン、特徴的なデザインが他社ブランドの商品との差別化を生じさせる、これはまさに商標の自他商品・役務識別性と共通する特徴です。そのデザインの商品がシリーズ化され、定番商品となることにより、同時に消費者にブランドイメージが構築され、そのデザインの商標的価値が高まってくるのです。

商品デザインに関わる方には、ぜひこのデザインの商標的価値という側面にも目を向け、商品計画、販売計画を考えてみてはいかがでしょうか。

プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

弊所へのお問い合わせはこちら→ Sodan
  • この記事を書いた人

木村純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。 経歴など詳しくはこちらを

-ニュース