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わずか3分で商標登録できる」わけがない! – さすがにそこまで簡単では... -

執筆者 : 長谷川綱樹

最近、あらゆることがIT化されてきて、何かと便利になってきました。AI(人工知能)によってなくなる仕事、なんて記事も話題を集めています。将来、商標弁理士の仕事はどうなってしまうんだろうか...などとちょっと心配している中で、気になる記事がありました。
「わずか3分で商標登録できる『Cotobox』--登録済みか即座にチェック」(CNET Japan:11月20日付)

https://japan.cnet.com/article/35110383/
https://cotobox.com/
知財業界に関する記事が一般紙など業界外のメディアに掲載される場合、使われている言葉や内容が不正確だったりすることがよくあって、記事を読みながら「違う違う、そうじゃない!」とツッコミを入れてしまうこともしばしばです。この記事では見出しに「わずか3分で商標登録できる」とあったのでまず「おいおい!」と思いましたが、記事本文で「最短3分で商標登録出願の準備ができるサービス」と書かれているので、まぁ、よしとしましょう。

(それにしても最近の見出しはこんな荒っぽい言い回しでもいいんですかね。)

 

商標弁理士が使ってみたところ...

とはいえ、じゃあ本当にそんな短時間で「ちゃんとした」準備ができるものなのでしょうか?ということで、「cotobox」を試してみました。

確かに、完全同一の商標がある場合には、どの商品・サービスの区分に同一商標があるのか知ることができます。とある出願済みのアルファベット商標を入力して検索したら、その商標で指定している区分についてのみ「△登録できるものもあります」という結果が出ました。

ただし、商標権は同一商標だけでなく類似範囲についても権利が及びます。完全同一だけを調べることができても正直意味がありません。そこで、同じ出願済みアルファベット商標をカタカナで検索したところ、完全同一ではないので全区分で「○登録できそうです」という結果が出ました。

これはどういうことかというと、この「cotobox」で検索したとしても、結局は完全同一の商標を見つけることができるだけで、同じ読み方で別表記したものをチェックすることはできません。例えば、ひらがなで商標を検索しても、カタカナで出願・登録された商標は検出されず、完全同一でない限りは「登録できそうです」という結果が出てしまいます。

もちろん、この点は検索結果にも明記されています、検索結果(商標サーチレポート)の中に「注意」として「入力キーワードと完全一致の商標のみ結果に表示されます。」と明記されているので、仕様にミスがあるわけではありません。とはいえ、一般の方はこの「完全一致の商標に結果に表示されます。」ということがどういう意味なのか、説明もなく理解することはできないでしょう。これは利用者の誤解を招くと言わざるを得ません。

 

調査ツールという名の集客ツールです、これは。

商標弁理士が触ってみた感想としては、商標の登録可能性を調査するためのツールとは思わないほうがいいと思います。検索結果(商標サーチレポート)の最下段には「Cotoboxで商標登録出願しよう!」という見出しで「ステップに従い入力すれば、わずか3分で出願用の書類を作成できます。」とありますが、願書を作成するにあたり、弁理士が適切なアドバイスをしているとは決して思えません(さすがに3分でアドバイスはできませんよね)。

もちろん、中にはこのサービスを利用して願書を作ってもらえればそれでよい、という人もいるとは思いますが、実務経験のない”素人”の方にとっては、このツールの簡単さが逆に自身の首を絞める結果になりかねない、という点は指摘しておきたいです。

 

専門家だからこそ提供できるサービスを

商標弁理士は商標の専門家である以上、依頼人からの相談を受けた際は、具体的な商品・サービス内容を確認して必要な区分を選定し、商標の使用状況や予定を確認した上で最適な商標態様を判断し、実際に使用し・使用を予定している商品・サービスに加えて関連する商品・サービスを予防的に押さえるよう提案する、といった“どれだけプラスアルファを提供できるか”が重要だと私は考えています。

とはいえ、記事にもあるとおり、商標登録を希望される方々の中には、商標登録の費用が(=弁理士費用が)高額である、という考えがあることも理解しています。だからこそ、いわゆる格安事務所に多くの依頼が集まっているのでしょう。一方、我々はITやAIに負けない「専門家だからこそできるサービス」を提供すべく、腕を磨いていこうと思います。

 

<ブランドの保護は、商標専門弁理士へ!>
プライムワークス国際特許事務所 弁理士 長谷川綱樹

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  • この記事を書いた人

長谷川綱樹

30歳になるまで、知財とは全くの別分野におりましたが、一念発起して弁理士となり、商標専門で現在に至ります。 そのせいか、法律よりも「人の気持ち」のほうに興味があります(いいのか悪いのかわかりませんが)。 商標は事業活動と密接に関係していて、関わる人々の「気持ち」が大きく影響します。「気持ち」に寄り添い、しっかりサポートできる存在でありたいと思っています。 出願案件では「取得する権利の最大化」を目指して、商標のバリエーションや将来の事業展開の予定など、丁寧にお話を伺います。 係争案件では「いかに円満に解決するか」を重視して、目先の勝ち負けだけでなく、将来的な問題解決を意識して対応して参ります。 経歴など詳しくはこちらを

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