03-6826-5161

プライムワークス国際特許事務所
無料電話相談受付中

ニュース

「COACH」と「高知」、うーむ...。- パロディと便乗の違いは?

執筆者 : 長谷川綱樹

以前、スイスの高級腕時計ブランド「FRANCK MULLER(フランク・ミュラー)」のパロディ商品「フランク三浦」の登録商標に対する無効審判とその取消訴訟が話題になりましたが、最近また、似たような(?)話が出てきているようです。

「ノンスタ・石田の投稿で話題の“高知の財布”、注文殺到中! 独自のSNS戦略にも注目」(@niftyニュース:2018年8月15日付)
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12184-42129/

概要は、アメリカの高級ブランド「COACH」と似たようなデザインの財布が「高知」ブランドで販売されているというものです。「高知」ブランドの財布を見ると、「COACH」の典型的な財布のデザインや色味と近く、同じ「コーチ」ということもあり「寄せていった?」と思わせる仕上がりです。

初のテレビ取材と話した内容について

この件を私が知ったのは、昨日、フジテレビの朝の情報番組「めざましテレビ」の方から取材依頼の電話を受けたことがきっかけです。夕方に電話取材して翌朝に放送したいとのことで、そのスピード感に驚きましたが、今朝放送された番組を見てさらに驚きました。この「高知の財布」を作った中島匠一さんご本人が登場してインタビューを受けていたからです。中島さんは「名前の面でもデザインの面でも『COACH』さんとは関係ない」とコメントしていて、その後に、私の電話取材が入り、商標の世界で言うと明らかに非類似であるとか商標権侵害となる可能性は低いなどのコメントが続きました。

ちなみに、私には中島さんを応援したり、彼の商売に”お墨付き”を与える意図もありません。あくまでも、「COACH」というブランド名と「高知」を比較して、さらに、「COACH」が使用するデザイン化された「C」の図形(商標)と「高知」の装飾文字(商標)とを比較すると、類似商標ということはできず商標権侵害が認められる可能性は低いだろうという見解を出したまでです。商標法にはこういったパロディ商品(に関する商標)について長く争われてきた歴史もあり、元ネタとなる商標とパロディ商標との「距離感」が問題となります。その点、今回のケースは侵害が認められる程に「近い」とまではいえない、と考えた次第です。

また、放送中で「問題となる可能性は低い」と、商標に限らず問題なし、と受け取られかねない言い方をしていましたが、この点も私の意図するものではありません。コメントは商標権侵害に関するものなので、他の法域でどういった問題が生じるか、道義的な問題はないのか、などの点には触れていません。放送で誤解を招きかねない流れになっていたので、念のため私の立場を明らかにしておきます。

なお、個人的にはこういう「パロディ商売」は好きじゃありません。パロディ化すること自体は別にいいとは思いますが、それを商売に利用した時点で、他人の褌を利用した「便乗商売」になるわけです。「面白いからOK」という風潮もあるようですが、だからって商売に利用するなよ、と思ってしまいます(あくまでも個人的な意見ですが)。

 

「専門家の見解」として出てしまうことの怖さ

いずれにせよ、こうしたテレビの取材を受けたのははじめてなので、いろいろ勉強になりました。電話の際は30分以上話しましたが実際に使われるところは一瞬であるとか、言葉遣いに細心の注意を払わないといけないことだとか、やってみないとわからないものですね。

ちなみにこの前、とある飲食業界絡みのポータルサイトから取材を受けて、その内容が記事になりました。こちらは最近精力的に関わっているトレードドレス(店舗内外装のデザイン)に関するものです。もしご興味あればご一読ください。

https://www.foods-ch.com/gaishoku/1531823446118/

<ブランドの保護は、商標専門弁理士へ!>
プライムワークス国際特許事務所 弁理士 長谷川綱樹

 

弊所へのお問い合わせはこちら→ Sodan

 

「弊所では弁理士(特許)を募集中です。」https://primeworks-ip.com/recruit/

この記事が気に入って頂けたら、下のボタンのクリックをお願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ
にほんブログ村

  • この記事を書いた人

長谷川綱樹

30歳になるまで、知財とは全くの別分野におりましたが、一念発起して弁理士となり、商標専門で現在に至ります。 そのせいか、法律よりも「人の気持ち」のほうに興味があります(いいのか悪いのかわかりませんが)。 商標は事業活動と密接に関係していて、関わる人々の「気持ち」が大きく影響します。「気持ち」に寄り添い、しっかりサポートできる存在でありたいと思っています。 出願案件では「取得する権利の最大化」を目指して、商標のバリエーションや将来の事業展開の予定など、丁寧にお話を伺います。 係争案件では「いかに円満に解決するか」を重視して、目先の勝ち負けだけでなく、将来的な問題解決を意識して対応して参ります。 経歴など詳しくはこちらを

-ニュース