これも商標なんでしょうか...。 – ロックスターと”メロイックサイン”

なんとなく知財系ニュースサイトを眺めていたら、ハードロック・ヘビーメタル好きにグッとくるニュースが見つかりました!皆さんお馴染みのモンスターバンド、キッスのベーシスト、ジーン・シモンズ(以降、人名の敬称略)が「デヴィルホーン」(個人的には「メロイックサイン」というほうがしっくりきますが)というジェスチャーの商標登録を試みていて、それを、あのロニー・ジェイムス・ディオの奥さんが批判している、というものです。

「KISSのシモンズさん、ハンドサインを商標登録申請」(TBS NEWS:6月17日付)

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3081239.html

「ロニー・ジェイムス・ディオの妻、ハンドサインを商標登録しようとしているジーン・シモンズを批判」(NME JAPAN:6月19日付)

http://nme-jp.com/news/39607/

記事にあるとおり、この「デヴィルホーン」(メロイックサイン)とは「人差し指、小指、親指を立てるハンドサイン」、「アーティストがライブパフォーマンスなどで使用するサイン」とされています。ちなみに、こちらが実際に出願された商標の画像です。

(出典:米国特許商標庁ウェブサイトより/商標出願第87/482739号)

 

アメリカの商標制度:結構何でも“商標”となります。

アメリカの商標制度というのは日本とは大きく異なっていて、日本では登録されないはずのものが登録されてしまったりします。強引ですが、アメリカでは「それが誰のものか示すものであれば」商標として登録を受けられる可能性がある、と言ってしまってもいいかもしれません(もちろん、他にも要件はありますが)。

とすると、このジェスチャーがジーン・シモンズの(若しくはキッスというバンドの)サインとして認識されているか否かが問題となるわけですが、どうでしょうか?

 

このジェスチャーから「誰」をイメージするか

ここで、もう一人の主役、ロニー・ジェイムス・ディオが出てくるのですが、彼はあのディープ・パープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアが結成したバンド、レインボーのヴォーカルであり、僕の世代では、自身の名前を冠したバンド「ディオ」のヴォーカルとして有名でした(あの『ジョジョの奇妙な冒険』の「ディオ」の元ネタ!)。

で、このディオさんはライブなどでこのサイン(とよく似ているもの)をよく使っていました。実際、ディオさんはメロイックサインの”元祖”とも言われているようで、今回、奥様がジーン・シモンズを批判しているのは、そのことがあるんですね(残念ながら、ご本人は既に亡くなられています)。確かに、中学生時代にディオの「Hungry for Heaven」という曲があり、そのプロモーションビデオ(PV)がライブ形式だったのですが、曲中、ディオさんがこのサインを連発して観客をアオりまくっていたのが印象に残っています。

さっそく、YouTubeでPVを確認してみました(いやー、今見てもカッコいいね)。ん!?でも、よくよく見ると、親指の形が違いますね。出願されたサインは親指が伸びていますが、ディオさんのサインは親指が握られています。とすると、と出願されたサインとは別のものとして、ジーン・シモンズが登録を受けてしまうのでしょうか...。

でも、Wikipediaの記事「コルナ」にもこのサインがヘヴィメタルでよく使われているとの記載があり、ジャーマンメタルの雄、スコーピオンズのライブ写真が掲載されています。また、「コルナサイン」で検索すると、親指を伸ばしているものも握っているものも、どちらもコルナサインの一種として考えられているようです。

Wikipedia「コルナ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%8A

さらに言えば、この親指が伸びたサインは「I love you.」という意味もあるようです。こうした状況から見ても、このサインがジーン・シモンズの、そしてキッスの「マーク」である、という認識はなさそうですね。であれば登録が認められる可能性は低いのではないでしょうか。今後の進展について個人的に注視したいと思います、笑。

 

蛇足ですが、このハンドサインを見て、 “不沈艦”スタン・ハンセンの「テキサス・ロングホーン」をイメージする人も多いのではないでしょうか。僕の小学生時代はプロレスが大ブームだったので、みんなでこのサインをしながら「ウィー!」と叫んでいたものです。これまでの話とはまったく関係ないですが。

 

<ブランドの保護は、商標専門弁理士へ!>
プライムワークス国際特許事務所 弁理士 長谷川綱樹

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この記事を書いた人

長谷川 綱樹

長谷川 綱樹

30歳になるまで、知財とは全くの別分野におりましたが、一念発起して弁理士となり、商標専門で現在に至ります。 そのせいか、法律よりも「人の気持ち」のほうに興味があります(いいのか悪いのかわかりませんが)。 商標は事業活動と密接に関係していて、関わる人々の「気持ち」が大きく影響します。「気持ち」に寄り添い、しっかりサポートできる存在でありたいと思っています。 出願案件では「取得する権利の最大化」を目指して、商標のバリエーションや将来の事業展開の予定など、丁寧にお話を伺います。 係争案件では「いかに円満に解決するか」を重視して、目先の勝ち負けだけでなく、将来的な問題解決を意識して対応して参ります。