【解説】中国で商標登録出願の際に注意!公衆に誤認を与える語

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公衆に誤認を与えるという拒絶理由

外国で商標登録をするときでも、基本的には商標登録制度は同じような考え方に基づいています。法制度の国際標準化も進みつつありますので、日本で商標登録をしたときと同じように考えていただいて結構です。しかし、たまにこの国は独特だなと感じることがあります。

そういう独特なもの、影響が大きいのは拒絶理由だったりしますが、を事前に知っておくことで不要な費用をかけずに済んだり、スムーズな登録が図れます。今回は「中国では公衆に誤認を与える語の審査が厳しい」です。

日本の商標法にも「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」は登録できないと規定されていますが、指定商品役務を限定することでこの拒絶理由を回避できます。たとえば、「○○のレモンサワー」という商標を33類(酒類)で登録しようと思ったら指定商品は「レモン果汁を加味した酎ハイ」といったように商標内の「レモンサワー」の語に対応する指定商品の表記にすれば拒絶理由に対応できます。

ところが、中国では指定商品を限定しても拒絶を回避できる可能性は低いと考えてよいでしょう。審査過程では、画一的にそのような語が含まれている商標を拒絶査定にする傾向がありますので、日本の拒絶査定不服審判にあたる再審を請求して、商標全体をみればそのような誤認は生じない旨を主張することになります。

公衆に誤認を与える語の類型

拒絶査定を受けないために、最初から公衆に誤認を与える語を含めないようにするのが望ましいです。以下がそのような語の類型です。

原材料

商品の原材料を表示する語は含めない方がいいでしょう。食品の原材料や化粧品の成分などの語を使った商品名がありますが、拒絶査定をうける可能性が高いでしょう。あまり一般に知られていないものでも、ネットで検索すると原材料などとしてでてくるようなものは良くないでしょう。

地名

過去に原産地を誤認させる商標が多数登録され、問題となりました。日本の地名(「青森」など)も中国で勝手に登録されたというニュースが報じられました。その経緯から、最近では特に地名のはいった商標の登録は難しくなっています。ブランドのロゴに「TOKYO」や「PARIS」などの地名が入っていることがありますが、出願にあたって削除した方が望ましいです。

その他

機能、用途、重量や数量を表示する数字、有名な書籍・歌曲などの題号。日本でいう識別力のない語の多くが公衆に誤認を与える語に該当します。

日本の審査実務との相違

日本では上述した語のみで構成される商標は識別力が無いとして拒絶されますが、中国の審査実務ではそれらの語が含まれていると、他の識別力がある要素も含むのにもかかわらず拒絶されます。審査官は大量の案件を処理しなければいけないので、画一的に判断しているようです。

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この記事を書いた人

木村 純平

木村 純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。