マドプロを選ぶか各国個別に出願するか? ― マドプロ出願の注意点

外国で商標権を取得したい場合、各国別に商標登録出願を行い、商標登録を行います。これは権利の効力は各国の領域にのみ及ぶという考え方(属地主義)をとっていることが理由です。ですので、各国でそれぞれ現地代理人費用などがかかってしまい、多数の国で商標登録したい場合、コストが大きな問題となってしまいます。

 

マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録

そこで利用したいのがマドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録(略してマドプロ)です。マドプロとは、各国で異なる手続や言語を経由しなくとも、日本の特許庁を通じてスイスにある国際事務局に国際登録をすることによって、それぞれの国に簡単に商標権を得ることができる国際的な仕組みです。

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マドプロを使う場合、現地代理人を通じずに手続をとることができるので、現地代理人費用を削ることができるのが大きなメリットとなります。

じゃあ、海外で商標権を取得する場合は、いつもマドプロを使えばいいんでしょうか?

 

加盟国が限られている

マドプロを使って海外で商標権を取得しようとする場合、商標権を取得したい国が加盟国かどうか、つまり、マドプロを使える国かどうか確認する必要があります。マドプロの加盟国は年々増加していますが、全ての国でマドプロを使えるわけではありません。香港・マカオは中国とは別個の商標登録制度を有していますが、マドプロでは商標権を取得できません。台湾やカナダもマドプロでは商標権を取得できません。

マドリッドプロトコル加盟国一覧(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/kokusai/files/madopro_kamei/members.pdf

 

内容が同一の基礎登録・出願が必要

マドプロを利用するには基礎登録・出願となる日本の商標登録又は商標登録出願が必要です。基礎登録・出願とするには商標は同一、指定商品役務は同一またはその範囲内に限られます。なので、所有している商標登録・出願に日本語が含まれているのだけれども海外で使用するには日本語文字部分は不要ということで、再度、日本でローマ字だけの基礎出願をするようなケースもよくあります。マドプロを検討する場合は、自分の持っている日本の商標登録・出願が海外での登録に適しているのか、ご確認ください。

 

基礎出願が拒絶になったり、基礎登録が抹消されたりすると、国際登録も消滅する

商標登録出願と国際登録を同時にするような場合、出願が審査で拒絶されてしまい、国際登録自体が消滅してしまうというリスクがあります。そのような場合、別途手続で各国への出願に切り替えることはできますが、追加費用がかかってしまいます。ですので、少なくとも出願前に調査を行うなど、拒絶されないような対策をとっておくことが重要です。

 

国の数や区分数によっては、個別出願の方が、コストが低い

マドプロでも、日本の代理人(特許事務所など)を通じて手続を行う場合、その代理人費用が発生します。日本の代理人は、現地代理人を介さずに自身で日本の特許庁やWIPO(世界知的所有権機関)事務局に書面の提出や応答手続を行うため、マドプロ出願の対応について、通常の外国出願よりも高額の料金設定としています。もちろん、指定国の数が増えればその分割安になるのですが、国数が少ない場合は、個別出願との費用の比較をすることが重要です

 

各国の審査における応答は現地代理人を指定する必要がある

マドプロの国際登録が完了すると、各商標登録出願は各国の審査に付されます。審査で何事もなく登録となった場合は問題が無いのですが、審査官から拒絶または補正指示などの通知(局通知)が来た場合、その応答は現地代理人を通じて行う必要があり、当初の見積り以上にコストが発生する場合があります

 

最後に

マドプロでは更新手続や名義変更手続きも一括でできるため、管理コストという面でも非常にメリットがあります。ですので、マドプロを使うか個別出願にするかよく検討し、また、弁理士などの専門家によく相談し、賢く海外で商標権を取得しましょう!!
プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

 

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