インドネシアで商標登録するとは?インドネシアで商標登録するポイントを解説

インドネシアで商標登録するとは?

インドネシアでビジネスを展開するのであれば、インドネシアで商標登録を行うことはビジネスの上で必須事項です。しかし、日本では商標登録の経験があるけれどもインドネシアで商標登録の経験が無い、特許事務所に手続を依頼しようと思うが基本的な知識は知っておきたいといった方に、インドネシアでの商標登録の基本的な知識、知っておくと役に立つ情報などを紹介します。

インドネシアの商標登録制度の概要

インドネシアの商標に関する法規則

インドネシアの商標に関する法規則は、商標法、商標規則の2つが重要です。商標法は商標の登録や保護に関する法律を定めており、商標の権利や侵害について規定しています。商標規則は商標出願や審査の手続きに関する具体的な規定を含んでおり、商標出願者はこれに基づいて手続きを進めます。また、これらの法規則は商標出願者が法的な要件を遵守し、商標登録を取得するために重要な役割を果たします。正確な法規則の理解と適切な対応は、インドネシアでの商標登録を成功させるために欠かせません。

インドネシアの商標登録の手続の概要

インドネシアでは、主な商標登録出願手続は、出願、方式審査、出願公告、実体審査、登録・登録証の発行の手順で進められます。商標登録出願の公告後2ヶ月以内に異議申立てをすることができ、異議申立を踏まえて実体審査が行われ、拒絶理由がなければ登録証が発行されます。商標権の存続期間は、出願日から10年であり、更新により10年間延長することが可能です。さらに、インドネシアはマドリッドプロトコルに加盟しており、国際登録出願を利用して商標登録が可能です。これにより、他の加盟国にも商標の保護を拡大することができます。

インドネシアにおける商標登録のメリットと重要性

インドネシアにおける商標登録には多くのメリットと重要性があります。まず、商標登録によって独自のブランドイメージを確立し、商品やサービスの識別力を高めることができます。これにより競争力を強化し、市場での差別化を図ることができます。また、商標登録は商標権の法的な保護を受けるため、他者による商標の不正使用や模倣品の流通を防止することができます。さらに、商標登録は事業拡大や国際展開にも重要です。インドネシアは東南アジアでのビジネス拡大の拠点として注目されており、商標登録を通じて近隣諸国にも商標権を保護することができます。総じて、インドネシアにおける商標登録は企業の信頼性や競争力を高め、ビジネスの成功に不可欠な要素となります。

商標先行調査

商標先行調査はインドネシアで商標登録を考える際に重要なステップです。aseanTMviewを利用することで簡単に先行商標を調査することができます。aseanTMViewはインドネシアを含むASEAN諸国の商標データベースであり、無料でアクセスできます。このデータベースを利用して類似商標や競合他者の商標権を調査し、自身の商標登録の可能性やリスクを把握することが重要です。先行調査を行うことで、重複や衝突を避け、商標登録の成功率を高めることができます。商標先行調査は商標登録を検討する際の基本的な手続きであり、信頼性と確実性を追求するために欠かせないものです。

インドネシアの商標登録手続きの詳細

インドネシアで商標登録するには、インドネシア知的財産権総局に出願手続を行う方法(個別出願)と国際登録出願を行う方法があります。

個別出願とは

インドネシアの現地代理人(特許事務所、法律事務所)を通じて、出願を行います。直接、現地代理人に依頼することもできますが、通常は日本の特許事務所などに依頼すれば、提携する現地代理人を通じて行うことができます。

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

英語の表記が必要です。

商標

ブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。英語(ローマ字)だけでなく日本語の登録も可能です。

文字、図形、記号、立体的形状、色彩の組み合わせ、これらの結合、音声などの商標の登録も認められています。連合商標、証明商標、団体商標といった商標の登録制度があります。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。1出願で多区分にわたる商品・役務を指定することができる1出願多区分制を採用しています。

所定の商品・役務の表記でない場合、補正を求められる場合があります。

委任状

署名入りの委任状が必要となります。

国際登録出願(マドプロ出願)とは

国際登録出願(マドプロ出願)とは、1つの手続で複数の国に商標登録出願を可能とする国際的な枠組み(マドリッドプロトコル)を通じた、商標登録出願のことです。日本で手続を行う場合、特許庁に出願書類を提出するか、オンラインで出願することができます。日本の特許事務所に依頼すれば、手続を行ってくれます。インドネシアを指定国の1つとすることで、インドネシアへの出願手続となります。

出願に必要な情報・書類

出願人の名称・住所

英語の表記が必須です。

商標

日本のブランド名や商品名、サービス名といった文字や、ロゴ、図形マークといった登録したい商標を決めます。英語(ローマ字)だけでなく日本語の登録も可能です。

指定商品・役務(サービス)

製造・販売する商品や提供するサービスを指定商品・役務として決めます。商品・役務は国際的に決められた45の区分に分類されます。指定商品・役務がきまれば自然に区分も決まります。区分の数によって費用が変わってきます。依頼する特許事務所などに商品・役務の情報を伝え、費用を確認しましょう。

所定の商品・役務の表記で無い場合、補正を求められる場合があります。国際登録出願で認められる商品・役務表記はMadrid Goods & Services Managerで調べられます。フィリピンの審査で認められる商品・役務表記はaseanTMclassで検索できます。

登録までの審査:審査の内容及び期間

マドプロ出願

マドプロ出願をした場合、出願書類を日本の特許庁に提出してから約6ヶ月程度で国際登録され(形式審査で補正などを指摘された場合、さらに2~3ヶ月要します。)、その後、インドネシア特許庁で、インドネシアでの商標権の効力を認めるべきかどうかの審査が行われます。この審査結果は、遅くとも国際登録の出願から1年6ヶ月までに通知されます。

直接出願

現地の代理人を通じ、各国の特許庁に出願した場合、そのまま形式審査、実体審査が行われます。

指定商品・指定役務に関わる留意事項

国際分類を採用しており、日本と同様の商品・役務区分となります。

異議申立

出願公告後、2ヶ月の間に異議申立が提起される場合があります。

実体審査は、異議申立が行われなかった場合、公告期間終了後 30 日以内に開始され、150 日以内に終了すると規定されています(商標法23条)。他方で、異議申立が行われた場合、異議申立に対する答弁書提出期限日後 30日以内に開始され、実体審査において、異議申立書および答弁書が検討され、150 日以内に終了すると規定されています(商標法23条)。

絶対的拒絶理由:識別性が無いとの拒絶

インドネシアの審査では、絶対的拒絶理由、つまり、商標に識別力があるか(普通名称や記述的な表示にあたらないか)、ということが審査されます。商標に識別力があるか否かは、その表示が不特定多数に使用されているかなどの、その国での状況から判断されますので、日本では登録になっても、インドネシアでは識別力が無いと判断される可能性があります。

相対的拒絶理由:他人の商標と抵触するとの拒絶

インドネシアの審査では、相対的拒絶理由、つまり、類似する他人の登録商標が存在しないか、ということが審査されます

拒絶理由通知への対応

拒絶理由通知を受けた場合、30日以内に回答書の提出が可能です。

審査期間

審査期間は出願日もしくは国際登録日から18ヶ月程度です。

拒絶査定に対する不服申立

拒絶査定に対しては、拒絶査定の送達日から90日以内に、商標審判委員会に対して拒絶査定不服審判を申し立てることができます。審判委員会は、審判請求を受け付けてから3か月以内に審決を下します。審判請求が認められた場合、出願は登録されます。一方、審判請求が認められなかった場合、出願人は拒絶審決の受領日から3か月以内に商務裁判所に訴訟を提起することができます。

商標侵害対策と権利の保護

商標登録を行った後も、商標侵害には注意が必要です。インドネシアでは商標侵害に対して法的な保護措置があります。侵害が発生した場合は、民事訴訟や刑事訴訟を通じて権利を主張することができます。差止命令や損害賠償の請求などの対策を取ることで、商標権の保護が可能です。また、商標監視や定期的な商標調査を行うことも重要です。適切な対策を講じることで、商標の権利を確実に守ることができます。

まとめ

インドネシアで商標登録を行うことは、企業や個人にとって重要なステップです。商標登録によって独占的な権利を確立し、ブランド価値の向上と消費者の信頼を獲得することができます。しかし、インドネシアでは模倣品や横取り商標の問題も存在し、これらに対処するために商標登録のメリットと重要性を理解する必要があります。商標登録手続きの詳細や出願資格、必要な書類や情報、商標先行調査の重要性など、正確な知識と適切な戦略が成功につながります。インドネシア市場でのビジネス展開やブランド保護を考えるなら、インドネシアでの商標登録について詳しく理解し、専門家の助言を受けることが重要です。

費用は?

直接出願の場合、現地費用(現地の特許事務所・法律事務所、特許庁に支払う費用)と日本の特許事務所の費用で25万円~、マドプロ出願の場合、トータルで25万円~の費用が発生します。
※上記費用はあくまで弊所を通じて行う場合の参考費用で、区分数、商標の種類、為替レートなどで変動します。是非お見積もりのお問い合わせをください。マドプロ出願の場合、同時に出願する国が多いほど割安になります。

インドネシアを始めとする海外・外国商標登録のご相談、お見積もりを無料で受け付けております。ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

木村 純平

木村 純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。