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商標情報

特許庁ステータスレポート2017

執筆者 : 木村純平

特許庁ステータスレポート2017が発表されました。

「特許庁ステータスレポート2017」(特許庁)
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/status2017.htm

特許庁ステータスレポートとは?

「特許庁ステータスレポート」とは、最新の特許庁の統計情報及び政策の成果をいち早く発信することを目的として特許庁が発表している報告書です。最新の知財動向を概観するうえで有用な資料ですので、今回は、この報告書の、商標に関する部分を中心にピックアップ・解説してみたいと思います。

国内の商標登録・出願の動向

2016年の国内の商標登録出願件数は、前年比9.9%増の161,859件で、2013年以降、増加傾向にあるようです。2013年の出願件数が117,674件ですので、3年で年間4万件以上、出願数が増加していることになります。しかし、昨年の5月に特許庁が喚起したように、一部の出願人が出願手数料を支払わずに大量の出願を行っているのは周知の事実ですので、実質的な出願の増加はこれらの出願を差し引いたものと考えるべきです。

「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm

これらの出願のほとんどは却下処分となり登録に至っていないものと思われますので、商標登録件数の推移が実体的な社会における商標登録へのニーズを図るものと言えるでしょう。商標登録件数はここ10年の間、10万件前後を推移しています。そう考えると、社会における商標登録への関心は非常に安定していると言えます。

201120122013201420152016
出願108060119010117674124442147283161859
登録89279963591033999989698085105207

「特許庁ステータスレポート2017」(特許庁)より

登録件数の上位10社は、1位から「サンリオ」「資生堂」「コーセー」「花王」「富士通」と続き、化粧品メーカーの商標への関心が印象に残ります。やはり個人向け消費商品のメーカーが上位を占める結果となっていますが、この中で「富士通」は若干意外な印象を受けます(2015年も3位)。どのような出願をしているか調べたところ、1出願1区分で複数の出願を行っている案件が非常に多いことがわかりました(例えば、同一の商標についても、9類と42類を別で出願)。管理上の方針なのでしょうが、このようなやり方が出願件数を増加させているようです。

海外の商標登録・出願の動向

レポートでは2015年までの世界の商標登録・出願動向も報告されています。世界の商標登録・出願は全体として増加傾向にありますが、圧倒的なのは中国の商標登録・出願の増加です。出願は2,876,000件の前年比25.8%増で、商標登録は2,226,000件の前年比61.9%増となっています。登録件数の増加は、2014年の商標法改正の審査期間の短縮により、審査中だった案件のバックログを処理する必要があったことに要因があるかもしれませんが、出願件数は堅実に伸びていますので、今後も中国における商標登録のニーズというものは衰える兆しはないと言えます。

また、相変わらず、この増加には他人の商標を先駆けて登録しようとする悪意の出願が貢献しているでしょうから、日本の企業はそれらの被害に遭わないために早期の商標権取得計画が求められます。

国内出願・審判の審理期間

2016年の出願から一次審査通知までの期間(FA期間)は平均4.8か月で、早期審査制度を活用した場合、平均1.8ヶ月でした。この期間もここ数年は4ヶ月から5ヶ月の間を推移しており、今後も安定していると思われますので、出願後4~5ヶ月で審査結果が得られると想定して問題無いでしょう。

プライムワークス国際特許事務所 弁理士 木村純平

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  • この記事を書いた人

木村純平

2人目の子供の誕生をきっかけに弁理士を目指してから、早くも20年が経過しそうです。商標から始まり、意匠、著作権、現在の事務所に来てからは特許、実用新案も手がけるようになり、それぞれの分野でクオリティを上げ、ユーティリティプレイヤーとして重宝されるよう精進しています。 経歴など詳しくはこちらを

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