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2004年04月27日

商標の類否-t-solutions v. SOLUTION

 アルファベット1文字と既成語をハイフンで結合した商標と、ハイフンに後置された既成語からなる商標との類否判断は非常に難しいものです。
 下記は、審決における特許庁の判断です。

類似と判断された商標
Q-LOCK v. ロック (旧第7類)
A-Licence v. Licence (旧第17類)
U-Flex v. Flex (旧第12類)
L-TEC v. TEC(旧第9類)
D-MAIL v. MAIL (第38類)

非類似と判断された商標
S-TEC v. TEC (第37類)
T-Basis v. Basis/ベイシス (第9類)
D-NET/D-ネット v. Net (第36類)
T-NET v. Net (第36類)
t-solutions/ティーソリューションズ v. SOLUTION/ソリューション (第35類)
s-solutions/エスソリューションズ v. SOLUTION/ソリューション (第35類)
E-VISION v. VISION (第7,9,37類)

 類似と判断している審決は、ローマ字1字又は2字は、商品の品番、型式、規格等を表示するための符号等として使用されているため、要部は、ハイフンに後置された語であることを類似の理由としています。
 これに対し、非類似と判断している審決では、外観上の一体性や称呼の簡潔さから、ハイフンの前後が一体として認識されることを、非類似の理由としています。

 しかしながら、類似と判断されている商標の中にも、非類似の理由が当てはまるものも多数存在しており、上記理由のみでは、類否を明確に判断することは非常に困難です。上記以外に、類否の判断の基準はあるのでしょうか?

 非類似と判断された商標についてみると、ハイフンに後置された既成語に関し、その指定商品との関係で識別力が比較的弱いと考えられるものが多いように思われます。とすれば、識別力が弱い場合には、ハイフンがその前後の語を結合させやすいのではないかという仮定が成り立ちます。
 しかしながら、類似の判断がされた「D-MAIL」等を見ると「MAIL」がその指定役務「電子メール通信」について識別力がないとして拒絶されているところをみると、識別力の強弱では、全体の一体性の成否の判断はできないようです。

 とすると、結局のところ、現段階では、特許庁における判断に基準を見いだすことは難しいと思われます。今後の審決等の蓄積を検討する他はないようです。

Posted by TM : 17:55

2004年04月21日

商標の識別力の判断 2

 商標の識別力の判断の難しさを実感させる審決を紹介いたします。
 
異議2002-90820
商標「ツヤ感プラス」第3類「化粧品」等
 本件商標は、「「ツヤ感プラス」の文字を横書きしてなるところ、これを本件指定商品(例えば、口紅、リップグロス及びファンデーション等)に使用するときには、「自然な感じのツヤを与える効果を有する商品」を直感させるものであるから、当該商品の品質、用途を表示するにすぎず、また、上記以外の商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録を取り消されるべきものである」、ことを理由として異議申立がなされたものです。

 これに対し、審決は、「構成中の「ツヤ感」の文字は、「ツヤツヤした感じ」を直感させるものとして一部使用され、また、「プラス」の文字が「加える」ことを意味するものとして使用されていることは認め得るが、これらの語を結合した本件商標「ツヤ感プラス」が、直ちに、申立人の主張するような「自然な感じのツ ヤを与える効果を有する商品」を直感させるもの、すなわち、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章として、取引者・需要者の間に認識されているものとは認められない。」と判示して、本件商標は、識別力を有する旨の判断がなされました。
 
私見:需要者である主に女性は、本件商標を「口紅」等の商品について使用する場合、「ツヤを与える効果がある商品」であることを直感しないでしょうか。特に、最近では、唇にツヤを与える口紅が多数販売されていますので、余計にそのように感得させる商標だと思ってしまいます。

不服2000-12329
商標「ウォータリーワックス」第3類「化粧品」等
 原査定は、「本願商標は、『水っぽい』等の意味を有する『watery』の表音と認められ、化粧品等を取扱う業界において『水っぽい、ウォーターベース、リキッドタイプ』等の意味合いで使用されている『ウォータリー』の文字と、指定商品との関係においては、『ヘアワックス』等を認識させる『ワックス』の文字とを『ウォータリーワックス』と一連に書してなるものであるから、これを本願指定商品中の上記意味合いに照応する商品(例えば『ウォーターベースのヘアワックス』等)に使用するときは、単に商品の品質を表示したものと認識されるにすぎないものと認める。」として、本願を拒絶したものである。

 これに対して、審決は、「ウォータリー」と「ワックス」は既成語であるが、「一連一体に表した本願商標は、本来特定の意味合いを有する既成の語ではなく造語と認められるものであり、これが直ちに原査定説示のごとき意味合いを看取し得るものとはいい難く、また、当審において職権をもって調査したが、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実も見出すことができなかった。」として、本願商標は、識別力を有し、需要者に品質を誤認させないと認定しました。

私見: 一般的な需要者は「ウォータリー」が「水っぽい」を意味し、「ワックス」が整髪剤の一種であることを直ちに認識すると考えられます。とすれば、本願商標が、「水っぽい感触のワックス」以外の商品に使用された場合に、需要者はその品質を誤認するのではないでしょうか?
 特許庁は、「ウォータリー」が品質表示として使用されている事実はなかったと判断していますが、実際に「ウォータリー」の語は化粧品等の業界で「みずみずしい」という意味を表す表現として普通に用いられています。
 たとえ、本願商標が、一連一体に表されているとしても、本願商標を構成する2語を結合させるところに創作性があるとの認定は妥当でしょうか?

 特許庁の判断基準は、明確なものではないため、どのような商標であれば、識別力があると判断されるのかを見極めるのは非常に困難です。
 したがって、実務においては、識別力がないのではないか、と考えれらる商標であっても、とりあえず出願しておかなければならないと考えます。上記の審決を見ると、識別力がないから、登録されることはないだろうと判断したら、他人が出願して登録になってしまった、というリスクを無視することができないからです。

Posted by TM : 18:51

商標の識別力の判断

 最近の審決を見ていると、本当に識別力の有無を判断することは非常に難しいと感じます。
特に気になった審決を紹介します。

不服2001-14124
商標「KURI MARON/栗マロン」第31類
 「栗」と「マロン」の2語を結合させた「栗マロン」及び「KURI MARON」の語が、品質表示とは言い難く、一種の造語であるから、需要者が、品質表示であると認識することはなく、商品の品質を誤認することもない、と審決においては判断されています。

私見:本願商標を「栗」以外の商品に使用すれば、需要者は、その商品が、栗又は栗を使った商品であると誤認するのではないでしょうか?
 また、商品の包装に、日本語と外国語又は片仮名を併記することが日常的に行われています(例えば、「栗」の文字を正面に記載し、「Maron」又は「マロン」の文字を側面に記載する等)。したがって、「栗」「マロン」を並べて記載することもあると考えられますが、本願商標の権利者以外がそのように使用すれば、商標権侵害となる可能性があります。
 このように考えると、本当に、本願商標の出願人に独占権をあたえてしまってよいのでしょうか?


Posted by TM : 17:01

2004年04月20日

リメイクバッグの違法性

 2003年前半頃から、有名ファッションブランドの紙袋を無断で加工したリメイクバッグが流行しました。1万円~3万円くらいの加工料で、持ち込んだ紙袋にビニールコーティングなどの加工を施して、ブランドロゴの入ったオリジナルバッグを作るというものです。
 比較的安い値段でブランドのロゴの入ったオリジナルのバッグが手に入ることから、様々なメディアを通じて紹介され、大人気を博し、現在においてもリメイクバッグは様々な業者により製造販売されています。

 しかしながら、本来、このように、ブランドのロゴについて何ら権限のない者が、勝手にそのロゴを使って商品を作り、販売することは、違法行為であって、認められません。そのため、有名ブランド(商標)を有する企業は、リメイクバッグの製造等の行為に対して、警告書を送付する等の対応を行っていましが、企業側の製造販売停止要求に応じない者、また新規参入する業者も後を絶たない状況でした。
 そして今回全国で初めて、このような行為を行った者が商標法違反として逮捕されたのです。

 商標法は、商標権者は、指定商品等について登録商標の使用をする権利を専有する旨規定しています(商標法第25条)。すなわち、権原のない者が、登録商標と同一の商標をその指定商品について使用すれば、商標権の侵害行為であるとして、損害賠償請求、差止請求及び刑事罰の対象となるのです(民法709条、商標法第36条、78条)。

 つまり、有名ブランドのロゴが「バッグ」を指定商品として商標登録されている場合に、権利者以外の第三者が権利者の許可なく、そのロゴの入ったバッグを製造、販売した場合は、権原なき第三者の登録商標の使用行為に該当し、商標権の侵害となるのです。
 今回逮捕された者の行為は明らかでは有りませんが、上記の行為と同様の行為であったと推測されます。そのため、商標権侵害の罪(商標法第78条)で逮捕されたのでしょう。
 
 上記のような違法行為を、違法行為と認識せずに行っている者も多く存在していることから、今回の逮捕がこのような行為が違法行為であることを認識していない者に対する警告となり、また、商標権侵害行為を行おうとする業者に対する抑止力となることを期待します。

 

Posted by TM : 15:55

2004年04月19日

拒絶理由通知って何ですか?

 拒絶理由通知とは、商標登録出願した商標が、審査において、識別力がない、類似する商標が先に出願されている等、の商標法上の拒絶理由を有すると判断された場合に、審査官により出される通知です。

 この拒絶理由通知は、出願した商標のうち、およそ半数近くのものに出されます。この拒絶理由通知に対して、何ら応答しなければ、拒絶理由に記載されている理由により拒絶査定がなされてしまい、登録されません。

 一方、拒絶理由通知に対して、適切な応答、例えば、補正により、先行商標と抵触する商品を削除したり、意見書において、出願商標は識別力を有する旨を主張する等、が認められれば、出願した商標は、登録されることになります。

 したがって、拒絶理由通知がきたからといって、あきらめず、特許事務所(弁理士)に相談するとよいでしょう。自己の商標と全く同じ商標が引用されている場合であっても、登録の可能性はゼロではない場合もあります。

Posted by TM : 14:44

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